Winsock Remailer は Joey Grasty が開発した Type-1 (Cypherpunk) Remailer の Windows Socket 移植版で、 Winsock またはその互換 DLL がインストールされた Windows 3.1 上で動作します。この Winsock Remailer を利用することで、個人が Windows が動作しているPC上で匿名リメイラーを稼動・運用することが可能になります。現在運用されている利用可能なリメイラーのいくつかは、この Winsock Remailer を Windows 上で実行して実現しているものです。
実はこの「個人がPCで匿名リメイラーを設置・稼動させることができる」はこのソフトウェアのコンセプトの中でも重要なポイントのひとつです。現在存在するほとんどの匿名リメイラーは UNIX 上で動作するものであり、その数もそう多くはありません。 Winsock remailer を利用する人が増えていけば、それだけ匿名メール/ポストの数が当然増え、かつその経路の数・種類も増えることになります。これは匿名メール/ポストのトレースをさらに難しくすることになります。
Winsock Remailer の機能としては、次のようなものがあります。
- Cypherpunk Type 1 Remailer として動作
- POP3 サーバーからのメール受信
- STMP でのメール送信と NNTP による usenet ニュースグループへの投稿
- 特定発信元あるいは宛先アドレス/ドメインの指定とそのブロック
- トラフィック解析の効果をより低めるメールのオーダーの変更
- プレーンテキストのみ、プレーンテキスト+PGP暗号化メッセージ、PGP暗号化メッセージのみいずれをもサポート
- オペレータへの詳細な統計リポート
- オペレータの設定により、メールの最大サイズ制限も可能
- Cutmarks:、Latent-Time:、Header Pasting (##) サポート (7. Type-1 Remailerの項を参照)
- デバッグ用ログ記録
- Remailer 動作モードなどの情報を outgoing メールのヘッダーに追加可能
- 外部からの要求に従っての remailer (PGP) key、ヘルプファイル、動作状況情報などの送信
1997年3月には(アルファ)バージョン 1.3b がリリースされました。 Windows 3.1 とWindows95 での動作が確認されており、 Windows NT 用バージョンももうすぐリリースされるとのことです。このバージョンでは次のような機能が追加されています:
(以下がこのアナウンスの原文です)
From: jgrasty@gate.net (Joey Grasty) Newsgroups: alt.privacy.anon-server,alt.cypherpunks Subject: New WinSock Remailer Available; Compatible with Win95 Date: Wed, 26 Mar 1997 12:41:54 GMT Organization: CyberGate, Inc. Lines: 308 Message-ID: <3339194d.43159745@news.gate.net>
- リメイラー運営者の個人メールアカウントの利用。使用しているマシンで Winsock Remailer を実行しておくと、ひとつのメールアカウントを匿名メール用と通常メール用として使い分けることができる。(ただしその場合、 Eudora などのメールクライアントは Winsock Remailer に対して送受信を行なうよう設定する)
- 送出メール用スプールサイズの設定が可能になった
- 「 PGP メールのみ」での動作
- リメイラー専用の秘密キーリングファイルのサポート
- POP サーバーからメール・ダウンロード時のハングを解消
- サブジェクトを help としたメールを受信した場合はリメイラーのヘルプファイルを返信
現在 Winsock Remailer のソースファイル群(VC)は公開されています。(1998年4月28日)
- 注意:
- 入手先は http://www.cyberpass.net/~winsock/ ですが、このソフトウェアの入手と実行は、米国法(兵器類輸出規制法)により、米国内に居住する米国市民以外に対しては制限されています。(米国外にいる米国人も規制対象となる)
また、上記サイトから強引にダウンロードして入手した場合、サイト管理者/作者らが当該法を犯したとして罰せられる可能性【(数十万ドル + 最高懲役10年) × 違法に輸出された件数】があります。
上記サイトは情報入手のためとしてここに掲載しました。(なお、一応 export controlled されたサイトとなっています)
ソース、実行バイナリとも、オランダのサイトから「日本からでも合法的に」ダウンロードすることができます。