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ネットというパンドラの箱が開かれた
草莽工房庵主敬白
ホームページを開設した人なら誰でも感じることだが、ホームページは「パンドラの箱」であり、公開した瞬間から多かれ少なかれ製作者としての責任にさらされる。(特にサーバーを立ち上げた場合は、なおさらである。)
激励や応援のメッセージも来るけれども、無責任な非難や質問をする人が沢山あらわれる。
会社や公的機関なども、ホームページを作ることで新たな宣伝・サービスが出来るようになるかわりに、問合せメールの山に対処していかねばならない。
また、情報が盗まれたりしないように、クラッカーなどからの不正アクセスに日夜神経を尖らせておく必要も生じる。
新しい努力が、新しい困難な仕事を生んでしまうのである。
従来型の組織にとっては、安全性や無難さだけを考えるなら、インターネットに触れないほうが、どれほどいいだろう。ネットの持つ、そのフラットな人間関係を促進する性格や、サブカルチャー的というかアンダーグラウンドな性格からも、既存のピラミッド型組織とネットとの間に整合性があるとは言えず、組織にとって負の関係性をもたらす(組織を否定する方向にはたらく)可能性もある。
それでも、今後の電脳社会の発展の中で、組織が柔軟に対応して生き残っていくためには、ネットの利用が不可欠であることもまた厳然たる事実なのである。
そういう意味でも、インターネットは非権威主義的な全く新しい世界を作る必然性を内包した(古い社会にとっての)パンドラの箱と言えよう。もしかして、人類史上でも最大級のパラダイム変革が今、始まっているのかもしれないのだ。
ところで、
携帯電話やPHSなどの文字メールサービスは爆発的な人気を呼んでいる。もはやポケベルは存在理由を失ってしまった。インターネットのE-Mailの送受信ができたり、簡単なWWWも表示できたり、喋れない文字メール専用機まで登場してきた。
確かに、相手が同時に対応できなくても送受信可能な携帯電話というのは、非常に便利である。つまりこれは、電話機がインターネットと結びつき、その良さを取り込むことによって進化したわけである。
いわゆる小型モバイルマシンと言われてきたものは結局、携帯電話に吸収されそうな勢いである。移動体用電脳ネットワーク端末とでも位置付けられよう。さらに今後、GPSを利用した携帯電話の新しい応用も可能になるようだ。
一方、これらのことは、インターネット側から見ると、主に電話線をネットワークインフラとしていた時代から、携帯電話・衛星放送・CATVその他あらゆる通信・放送媒体をネットワークインフラとして利用する時代に入ったことを意味する。まさに、いつでもどこでもインターネットが出来ることになったのである。
また、最近、
geocitiesなどの無料の個人サイト提供サービスが人気を呼び拡大している。11メガまで無料といったサイトが主流で今後さらに容量も増えそうだ。
世界を股に架けるサイバー上の街がどんどん発展しているのだ。さらにHTMLの簡易作成ソフトも充実してきた。誰でも簡単にホームページを作ることの出来る環境がますます整ってきたと言えよう。
ホ―ムページ上の文章レイアウトも、スタイルシートなどを使って非常に読みやすい高度なもの出来るようになった。いままでのように、ホームページは、「限られたページと限られた様式で、軽い情報を見せっこしている段階」ではなくなってきている。
次世代インターネットにおいては、さらなる飛躍が見込まれている。
各人の意見や趣味が盛りこまれたホームページは、膨大な量のサブカルチャーの集積に他ならない。民衆の生の声が、これほどまでに顕現する場は歴史上なかったし、これこそ日々刻々変化する人間の叫びの巨大なデジタルアーカイブである。例えば今この瞬間の日本語HPの全てを保存する仕組みがあれば、現在の日本の準文化の記録がそこで凍結されるだろう。
文字メール全般も含めて、従来の権威主義的な文化のありかたからすれば、こうした情報群は「ゴミ」と言えるかもしれない。だが、こうしたフラットな権力関係から生まれてくるものの可能性ははかりしれない。
結局のところ、インターネットは、全く新しい媒体であり、「知」のありかたを変える可能性がある。
出来あがったシナリオにより作られた「本」ではなく、もっと言えば正統的な意味での「文化」でもない。誰でも何処でも何時でも、発信者になれるし受信者にもなれる。権力的「中心」のない全員が主人公の世界である。そういう意味では、全体主義的な完成された「知」とは対照的なものであり、あくまで「サブカルチャー」でありつづける形の、常に生み出されつつある「知」である。
すなわち「インターネットは、画一的な文化であるより、準文化の集積および生態系だと描写される。」(D・ポーター)ということだ。
Ver 1.02 (1999.8.1更新)
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