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スタートレックの世界

草莽工房庵主敬白


日本でも一部に熱狂的ファンを持つスタートレックは、アメリカでは一番長く続いているTVドラマシリーズの一つである。
基本的に4つのTVシリーズがあり、それに劇場映画が加わって一大叙事詩ともいうべき壮大な年代記風宇宙ドラマになっている。また短期間に終ったアニメーションもあり、これも数えると5つのシリーズがあるとも言える。ディープスペース9が終了したので、今後、パラマウント社がさらに新しいシリーズを作り出す可能性もある。

まず、カーク船長の活躍する最初の「宇宙大作戦」は「TOS」(The Original Series) と呼ばれる。
これは、今となっては懐かしいテレビドラマで、日本では1969〜74年にTV放映され、その後も深夜番組などで何度か再放送され和製トレッキーと呼ばれるファンを生んだ。
実は、このシリーズはアメリカでは1966〜69年の3シーズンしか放映されなかった。その後、全米各地や日本・ヨーロッパなどでTV再放映され世界的な人気を呼び、再開を求める声が大きくなり、スターウォーズの成功に刺激されて、劇場映画として復活する。そしてTOSの映画は結局、6本も作られたのである。

TOSは、カーク船長のいかにもアメリカ的な正義感とドクター・マッコイの口の悪い人情派的言動に対し、ミスター・スポックの冷静な態度が印象的な宇宙活劇的シリーズで、結構好き嫌いがわかれるドラマであった。
私も最初はカークとマッコイの俗物的な性格が、未来の宇宙ドラマとしてはそぐわない気がして嫌いだったが、何故か途中から許せるようになり、この二人のクセのある性格がドラマを面白くしているのだなあと感じるようになった。

特に1作を挙げるとすれば、映画版の最初の「スタートレック」であろう。この作品は、1979年、ロバート・ワイズ監督を起用し巨費を投じて作られたもので、SFXの壮大で芸術的な映像美にあふれた仕上がりとなっている。 したがって、従来の冒険活劇的作品を期待していたトレッキーからは観念的だとして不評であり、エンターテインメント性に欠けるところから興行的にも大ヒットとまでは行かなかった。
だが、私はそのスケールの大きさや完成度の点から、それまでのTOSの殻を破った作品として高く評価したい。本来、優れたSFの持っているセンス・オブ・ワンダーを映像で体験できる貴重な作品だと思う。 またなにより、年齢を経たカークの魅力が倍増しており、再びエンタープライズに乗船する際のカークの懐かしくも感動的な場面がこたえられない。

次のシリーズが、ピカード艦長が活躍する「新スタートレック」で、「TNG」(The Next Generation)と呼ばれる。
ピカードは、カークに比べると知的でクールな人物として描かれており、搭乗員の人間像も多様化し、カウンセラーのディアナ・トロイや、アンドロイドのデータ、クリンゴン人のウォーフなど、魅力的なキャラクターが登場する。
話も全体的に、よりスマートになっており、現在のスタートレック・ファンにはこのTNGから魅力に取りつかれたという人も多い。 このTNGは、アメリカでは1986年から7シーズンにわたって作られ続けた長寿番組である。実際、アメリカでは視聴率もコンスタントに15%もかせぐ非常に人気のある番組で、視聴率第1位に輝くことも何度もあった。そしてTNGの劇場映画も現在(1999年)までに3本つくられている。
私自身は、ピカードの人間像が結構気に入っており、ボーグに拉致されてから後遺症に悩まされる姿も、心理的な深みを増した感じで好ましい。脇役としては、デニス・グロスビーが二役演じるターシャ(途中で殉職)〜セラ(ターシャの娘で敵役)が非常に印象的だ。

物語としては、私は第1作「未知への飛翔」と第63作「亡霊戦艦エンタープライズ”C”」が好きである。前者はスタート記念の2時間もので、最初から巨大なエンタープライズ号の円盤部分が切り離されたりしててSFXらしい映像が楽しかった。版権の関係でTV放映されなかったのでビデオで買って見た思い出の作品だ。一方、後者は平行宇宙から女性艦長ギャレット大佐が率いるエンタープライズCが登場し、既に殉職しているターシャも現れるという面白い話で、後のセラの存在の原因となる重要なエピソードでもある。




次に、3番目のシリーズが、「スタートレック ディープスペース・ナイン」で、「DS9」(Deep Space 9)と呼ばれる。
これは、宇宙ステーションの話で、司令官のシスコを中心に、DS9で繰り広げられる様々な人間ドラマを軸にして描かれる。
このDS9はエンタープライズ号のように、宇宙を冒険するというストーリーではないだけに、どうしても重苦しい話になりがちで、これまでのスタートレック・ファンからの批判も多く、アメリカではTNGに比べ視聴率が伸び悩んだ。そこで、途中からTNGのウォーフをレギュラーとして登場させたりして人気挽回がはかられた。
やがて話が連続性のある複雑なものになるにしたがって、はまってしまう熱狂的なファンが多数生まれるようになった。そして、全9幕からなる長大なエピソードにより最終回を迎えたのである。 もちろんこの最後の大団円が、ストーリーの連続性を真骨頂とするDS9の最高傑作で、ファンには感涙をさそうものであった。
日本ではCS、ケーブルTVで放映され、深夜TVでも放映されたが、一般的にはあまり話題にならなかった。

そして、4番目のシリーズが、「スタートレック ヴォイジャー」で、「VGR」と呼ばれる。
これは、女性艦長ジェインウェイが活躍する話で、未知の力で約7万光年彼方のデルタ星域に飛ばされた宇宙船ヴォイジャーが、地球に向かって帰るために様々な体験をするという筋立てになっている。
このシリーズは、DS9と違い、初心に帰って、宇宙船が未知の領域で探検するというSTAR-TREK-(星-めぐり-)らしい物語設定になったのだが、アメリカでは期待したほど視聴率が伸びなかった。そこで、故郷指向から冒険志向に雰囲気を変えたり、人気の敵役であるボーグを登場させるなど懸命の努力がはらわれた。
日本では、CS、ケーブルTVで放映され、現在は深夜TVで放映中である。
私自身はこのシリーズは、面白いと感じているのだが、まだ多くを見ていないので、現時点では評価を差し控えたい。ただ、VGRもこれまでのシリーズと同じように途中から人気が上昇し、今後のスタートレックの展開に良い影響を与えるよう願ってやまない。

現時点では、スタートレックの各シリーズは、日本では「スーパーチャンネル」の看板番組である。スタートレックを見たいためにCSあるいはケーブルTVに加入したという人もいる。そして見はじめると、次々見たくなるということになり、トレッキーが増えて行く。アメリカでは、ラスベガスにスタートレックのテーマパークまで出来た。今後の展開がますます楽しみだ。

Ver 1.02 (1999.9.9更新)



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