かねてからパラオは憧れの海だった。どこまでも青く抜けた海にギンガメが舞い、バラクーダが押し寄せる・・・、そんなイメージを限りなく抱きつつ、パラオの海に潜った。
確かに魚影がこい。ギンガメアジの群を撮っていると、ナポレオンが現れ、そしてカマスの群が後ろを通っているので追いかけて、今度はバラクーダーが出てきてまたまた撮りに行って...
とにかく疲れる。そう、まるで水族館のようだ。はしゃぐ僕らを無視して、大物達は何事もない平穏な海を優雅に泳ぎ続ける。
そんな穏やかな海はブルー・ホールで姿を変えた。有名な地形スポットで、広い洞窟に4方向から光がさしこみ、幻想的な雰囲気を味わえるという。ブルー・ホールの穴の上にボートが着く。さほど深くない所にホールの入り口がポッカリ見える。
バックロールでエントリー、そして、最大のイベントが始まる。
穴の上までの深度はあまりなく、潜行するとすぐホールの中に吸い込まれていく。
暗闇の中で何かキラキラ光るものが、ホールの中を覆い尽くしている。
んんん何だ?
ガイドがバタバタして騒いでいる。もっと潜行した。
なんとギンガメアジ系の大群だ。
(後でガイドがカツオの一種でソウダガツオではないかと教えてくれた)
群と言っても、数百の群だ。
自分達がホールの底に降りると、カツオの群は洞窟の奥に閉じ込められる形になった。暗い洞窟にベールのような光が射し込み、その光の中で数百の銀鱗の群が踊る。
とその時サメが現れ、カツオの群にアタックを仕掛ける
(多分カツオの群はサメに追われてホールに入ってしまったのだろう)。
群は出口をダイバーとサメに閉ざされ、逃げるところがない。
暗いホールの中で、サメに追われ、群は2つに分かれ、そしてまた1つになる。
宝石のごとく光る鱗を翻し、カツオの群が揺れる。また揺れる。
サメは狂ったようにアタックを繰り返し、そのたびに銀鱗の群は様々に形を変え、神秘的な生命の躍動を見せてくれる。
我に返った、シャッターチャンスだ。
待てRSオヤジ(ボートで一緒だったニコノスRSを持つダイバー)が変なカッコをしている。
なに!!ホールの底で、仰向けになって撮っているのだ。
そうか「カツオの群の向こうに、穴からさす光」
僕はいつの間にかRSおじさんに寄り添って、仰向けになりシャッターを切っていた。
妻とガイド(女性です)と感動してからか、抱き合っているのが見える。
水中でなんて、俺もしたことがないのに...
最後は、自然とダイバーがホールの両側に分かれ、その間をソウダガツオの群が流れるように出て行き幕が下りた。ブルーホールを出てコーナーに向かう、外は明るく穏やかな青い世界が広がっていた。
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