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ファンタジー!
その言葉の本当の意味は恐ろしく広義です。
逆に、その言葉によって印象づけられてしまう定型も存在します。
どちらにしろ、私からは少々理解の外にある世界です。
ま、だからと言って読まない訳にもいかない。
これまた、読んでみると面白かったものもゴロゴロとしてる訳です。
という事で、最近読んだファンタジーなど、という事で、
「ファンタジー特集」。
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まずはお楽しみの、そう、これも又定番、「吸血鬼」より。
ミッドナイト・ブルー 《ミッドナイト・ブルー》 |
ナンシー・A・コリンズ |
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MIDNIGHT BLUE The Sonja Blue Collection |
Nancy A. Collins 一九九七年発行 1995 ISBN4-15-020229-X |
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英国幻想文学賞/ブラム・ストーカー賞受賞。 Tシャツに黒い革ジャン。 赤眼の龍が掘られた銀のスイッチナイフが彼女の得物。 いつもつけているミラー・サングラスを外せば、 そこには龍と同じルビー・アイが輝いているのだった。 血の色の唇から笑みと共にチラリと映るのか、牙。 ソーニャ・ブルー。 彼女は「バンパイア」、そして同時に「ハンター」でもある存在だった。 と、知っている人なら「なるほど、吸血鬼ハンターDの女性版ね」 と一言で終ってしまうのですが(笑) その服装がパンクいっているあたりが現代のダークヒーロー、 もといヒロイン。 第一巻では、彼女の「おいたち」が徐々に明らかにされていきます。 彼女が吸血鬼となったいきさつが、 そして同族狩りを行なう者となったいきさつが。 それは事実の羅列がなされているだけで、今だ謎をはらんだままなのですが。 自分は一体何者なのか…… スリルです。 あらすじ。 精神病棟に重度の拘束服を着せられて転がる狂人が居た。 彼女の笑いと叫びは周囲の人間を狂気へと駆り立てる。 毎夜ごとに、月の輝きが大きくなるごとに、 その狂気は更に狂ったものへと変化していく。 監視人は、その、すさまじい、とも形容できる容姿の美女と目をあわせた。 それは狂気の世界への入口だった。能力のあるものには見える世界。 人の中に、人とは異なる生物が融け込みバッコする本当の世界の姿。 美女の姿が病棟から消え、夜の街に現れた…… 自身を罠にはめた者を探して狩人が行く。 |
ゴースト・トラップ 《ミッドナイト・ブルー》 |
ナンシー・A・コリンズ |
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MIDNIGHT BLUE The Sonja Blue Collection |
Nancy A. Collins 一九九七年発行 1995 ISBN4-15-020233-8 |
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さて、タイトルは変わっておりますが、上述シリーズの完全な続きです。 原題からして、これ、 多分向うでは一冊だった本を日本では三分冊にして出版、 という事なんでしょうね。 前巻では、基本としてヒロインの追い立ちを示した訳ですが…… さて今回。 前巻のネタバレになってしまっている、あらすじ。 自身をこんな忌まわしい闇の生物へと変えた男。怨み重なるその男。 彼女の今を生きる意味は「復讐」だった。 だがそれは同時に「親」への反逆でもある。いやそれ以前に、 昼の光を浴びても耐えれる自分は一体なんなのだ、「普通」の人間でも、 「普通」の吸血鬼ですらない…… 彼女は悩みながらも復讐相手を追い詰める。 彼はゴースト・トラップと名付けられた不可思議な屋敷へ居を構え、 謎の計略を練っていた。世界のダークサイド、 闇の血筋の世界での勢力図を書き変える程の計略を。 |
フォーリング・エンジェル 《ミッドナイト・ブルー》 |
ナンシー・A・コリンズ |
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MIDNIGHT BLUE The Sonja Blue Collection |
Nancy A. Collins 一九九七年発行 1995 ISBN4-15-020235-4 |
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そして、怒涛の勢いで分厚さを重ねた本も、これ一冊で完結を迎えます。 彼女の存在とは一体なんだったのか。 彼女が育てる事になった少女は一体なんだったのか。 しかしまあ、そんな「謎」の解明はほうったらかしにしておいて グイグイと読まされましたねえ、このシリーズは。 パンクでロックで切り裂きジャックな世界、 不良とギャングの世界の中を自在に泳ぐヒロイン。 闇の水と暴力の匂いの似合う女。 そういう雰囲気に圧倒されてね。 前巻のネタバレになってしまっている、あらすじ。 宿敵に一指はむくいたものの、いまだ決着はつかず。 自身のいわば「妹」とも「娘」ともとれる存在の少女を預る事になった彼女は、 相変わらず闇から闇へと渡りながら、彼を「狩り」続ける。 その少女の方にも、不思議な異変が起きつつあった。 それらは並行しながら進んでいき、一つの謎の表裏として最後に一体をなす。 そして、彼女は復讐を遂げるのだった。 |
ブラック・ローズ 《ミッドナイト・ブルー 外伝》 |
ナンシー・A・コリンズ |
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A DOZEN BLACK ROSES |
Nancy A. Collins 一九九八年発行 1996 ISBN4-15-020253-2 |
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RPG<ザ・ワールド・オブ・ダークネス>の世界を借りての 我らがソーニャ・ブルーの活劇談。 時間的には正伝の後、世界的にはちょっとこじつけだけど同一世界、 かな。設定的にちょっと曲げてある所もあるんだけど(笑) これはもう、「ヒーローモノ」(ってヒロインだけど(笑)) として純粋に楽しむが良ですね。 こうなると、 余計に菊池さんの各小説類と雰囲気や楽しみ方がダブりますねえ。 お気に入りとしては、神父さんとの絡みなんかがなかなかいけてる、 今回のキモって感じがします。 あらすじ。 ある街に存在する、地図にない街路。 昔日から力を持つある「貴族」が圧力をかけ、 公的には存在しない事にさせているのだ。 そこにはびこる闇の一族。 闇同士の政略渦巻く中に、ミラー・グラスをかけた狩人が現れた…… |
そしてこれも又定番。
荒野に住む青年と、大河の下に栄える都の王女の物語。
水の都の王女(上・下) | J・グレゴリイ・キイス |
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The Waterborn |
J.Gregory keyes 一九九七年発行 1996 ISBN4-15-020237-0 ISBN4-15-020238-9 |
さて、実はこの本は、下に示す 「神住む森の勇者」 と一緒になって、ようやく完結を迎える本です。 この2冊だけだと何が何か判らないと言っていいでしょう。 合計4冊に及ぶ物語なのです。結構一冊一冊分厚いというのに(笑) でも、この本に関しては実は厚さは問題になりません。 素直に読んでると、素直に時間がながれる、そんな物語なのです。 厚さに恐れず、気楽に読んで下さい。読後もさわやかなもので、 そんな重さを感じさせないでしょう。 俺的に定義をしますと、この物語は、激甘超遅ラブラブストーリー。 になります(笑) この 「水の都の王女」は、その前半部分、二人のカップルが出会うまで、 を書いただけ! という(笑) お前ら、早川文庫FTやめてコバルト文庫へ行け(笑) ところが当然、 出会ってないのだからして特に甘い言葉とかイチャイチャとかない訳で、 じゃあ一体何が楽しいかというと、何も楽しくない(笑) この主人公二人に関しては。 その焦点にあるべきなのは、世界背景の方なのです。魅力的な 「世界」がそこには広がっているのです。 アニミズム、というのでしょうか。日本人なら八百万の神、と言い、 あるいは、ネイティヴアメリカン達があがめ共に暮らした神々。 「等身大」な彼らが存在する、 いわくどくとくの口にしにくい世界がそこにはあるのです。 作者は実際日本にも親しみ、インディアンの暮らしを研究した人。 知識としてでなく、 血となり肉となってその感性を判っている人間でなければ書かない、 書けない世界だと思います。 「自然」の溢れる異世界の風に吹かれたい、と思いたったら、勧めたい一冊。 それ以上でもそれ以下でもありませんが。 あらすじ。 ヒーローは、自分らの部族の土地を護ってくれている 「小川の女神」に惚れていた。少年らしい、そして青年らしいウブさで。 ある時にふと女神が泣きながら漏らした「大河の神が私をくらう」 という言葉に彼はショックを受ける。日々、 彼女は下流でその神に食われ続けているのだ、と。 頭の悪い彼は考える、だったら、その大河の神を殺したら、 彼女は幸せになるんじゃないか、と。 そして、その大河の神に抱かれて栄える都が、下流の中洲にはあった。 その都の王族は大河の神の血をひく一族であり、 水に親和性を持つ力の持主らでもあった。既に神の血は薄く、 力の発現には個人差があるし、 成年に達してからでないとその判断はつかない…… そう、成年に達すれば……この都では、王族は思春期に一度 秘密の儀式に招かれる。そして、何人かはそこから帰って来ないのだ。 王家の秘密とはなんなのか。王の娘であるヒロインは謎の答を探し始める。 ヒーローの神を殺す手段を探す旅、ヒロインの謎の答を求める探索。 交互に二人の視点で語られる章が続き、やがて、二人の旅は一つになる。 キャラクタ的には、図書室のおじいさんと姫のやりとりとか、 好きですねえ。暗殺屋の正体とかもなかなか。 発掘 Reference |
神住む森の勇者(上・下) | J・グレゴリイ・キイス |
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The Blackgod |
J.Gregory keyes 一九九八年発行 1997 ISBN4-15-020246-X ISBN4-15-020247-8 |
と、言う事で、前巻でヒーローとヒロインが出会うまでに2冊。 出会って一緒に旅をして、 お互いがお互いの気持ちを自覚し始めるのに更に1冊半。 ラブストーリーっぽくなって決着はあと半冊でつくのか!(笑) とか思ってると物語クライマックスが重なってそんなのそっちのけ(大笑) こうして書いてみると、今一つパワーにかける本ですね。 世界といいガジェットといい、非常に魅力的な世界を組み立てていると 思うのに、もう一押しがないのが玉に傷、という所でしょうか。 なんというか、ヒーローもヒロインもぬるいです。 それなりの力を持っているのに、根性が煮え切らない故に状況に流されていく。 ま、そこが半熟な青年/女の子という事で可愛くもあるのでしょうが。 ベタ誉めしないが雰囲気やよし、という事で。 前巻に比べ、より「神々の思惑」が絡んで来て、神々のやるチェスのコマ、 として彼らが動いていく物語。神に対してしっぺ返しは出来なかったが、 まあ最後っぺぐらいはできたかな? という感触。 あらすじ。 自分達の我儘の為、沢山のモノが傷ついた。その償いの手段の探索を含めて、 彼らヒーロー、ヒロイン一行の旅は続く。 「大鴉の神」の企てた「大河の神殺し」という計画のコマとして、 はからずも彼らはレールをしかれた旅の続きを続ける。 当然大河の神も対抗策を打ち出す。 多くの神々の思惑に吹き流されながら、ヒーロー、そしてヒロインの覚悟は。 そして旅は終着点へと近付いていく。 |
そしてそしてこれも定番(笑)
いつもの、あのシリーズ、コメディファンタジーのマジカルランド!
大魔術師も楽じゃない! 《マジカルランド 5》 |
ロバート・アスプリン |
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MYTH-ING PERSONS |
Robert Asprin 一九九八年発行 1984 ISBN4-15-020255-9 |
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ええっと。このシリーズに関しては説明不要!(笑) いつもの通りに楽しんで下さい。 ちょっと、ボルテージは低目、かな? 今回の「ライヴァル」の性格がね、私的にツボでした。 あと「ヒロイン」(笑)の方も。 彼女の服装というのは、イラストで見たかったかもだなあ(笑) あらすじ。 屋敷に来ていた客が消えた? しかも彼らはお尋ね者だった! 犯罪者をかくまっていると言われた我らが主人公らは大憤慨、 責任持って首根っこひっつかまえてやる……と屋敷内を探索、 結果、例の封印していた「扉」が開いているのがみつかった。 扉の向うの異世界は、果たして?…… 吸血鬼らの住まう恐怖(笑)の世界だった! シリーズ 1、 2、 3、 4巻までの紹介もあります。 |
ええっと。
これも、やっぱり、定番、ですかね。
”現代”から”異世界”へと渡る物語。
金色の階段の彼方 | ハネス・ボク |
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BEYOND THE GOLDEN STAIR |
Hannes Bok 昭和五十七年発行 1948 ISBN 背中になし |
これもある種の定型ファンタジー。俺の好みからはそれてますね。 最後30ページの活劇シーンがまあ、趣味といえば趣味か。 あらすじ。 刑務所を脱走した主人公らは湿地帯へと逃げ込む。 道に迷ううちにたどり着いたのは廃虚と化した何かの神殿。 そう、何故か彼らはこれを知っていた。 全員が悪夢の中にその姿を見ていたのだ。 神殿の中心には美しい池があり、 更にその中心には青いフラミンゴが立っていた。 その監視者としての鳥の目が光り、それの声が直接頭の中に響く。 「引き返せ」。 だが、無頼漢はそんな言葉を聞かなかった。 鳥を撃ち落とすと共に現れる金色の階段。それは空へと通じ、やがて消え…… だが、それを上り詰めた時、彼らは自分が異世界へと来ているのに気がついた! 現れた賢者=老人が語るには、この世界では、 その者の「本質」に沿った姿へと「変化」してしまう、という…… 発掘 Reference
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以後は、早川から離れまして富士見ファンタジア文庫へ。
はじまりの骨の物語 | 五代 ゆう |
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平成5年初版発行 富士見ファンタジア文庫 ISBN4-8291-2486-5 |
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ファンタジーを、かつては”神話”であったそれを、 ファンタジーと言う名にしたのはなんだったのだろう。 トールキンだろうか、ル・グィンだったのだろうか。 そしてそれが日本に入り、消化され、再び現れて来た時、 一体何があったのだろう。 王子様、姫、そして悪い竜、力持つ神、 そういう”お約束”なキャラクター達の登場と活躍だろうか。 言葉が重みを失い、少し軽くなる事だったろうか。 そうやって、私の認識する「ファンタジー」 と呼ばれるもののフォーマットが完成した。良くも、悪くも。 その形式の中で、日本のファンタジーとしての特徴を上げるなら、 ようやく確立した新規点のようなものをあげるなら、 「神との戦い」が、あると思う。相手を「超越者」とせず、少々位を落し、 敵として渡り合いの出来るもの、人と同じ様に悩むものと位置づける、という。 と前置きが長くなってしまったが、そういう、私の思う所の 「ファンタジー」に、ものの見事にはまっているのが本書だと思う。 なんのケレン味もない正統派、いや、ほとんどケレン味のない、かな。 SF読みにとってははがゆい所も多い (ケレン味や詳細で理の通った設定なんかが甘くて読んでるものな(笑))、 が、物語としての地力があるので結局読み通してしまう、というか。 いや、繰り返すが、全くの普通のファンタジー、 なにもないとすら言えるほどの普通のファンタジー、に近いのだが。 多少キャラ萌え、という風な楽しみ方が出来るのだが。 ああ。 ファンタジーだ。 という読み方でしか良くも悪くも評価できない。う〜ん。 人に勧めるかどうかすら微妙である。 ま、そういう本だって事で。 あらすじ。 ”冬”の軍勢が世界を滅ぼそうとしていた。金の瞳と赤い髪を持つゲルダ、 炎の魔法なら操る事の出来る彼女は、育ての父であり恋人である魔法使いと共に 雪の戦場に雇兵として居た。 思いもしなかった、恋人が冬の軍勢へと寝帰って自分らに死を振りまこうとは! やがて思いは怒りと憎しみへと移り、彼女は復讐を決意する。 かつての恋人を追っての雪中の行軍が始まった。 |
機械じかけの神々(上・下) | 五代 ゆう |
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平成6年初版発行 富士見ファンタジア文庫 ISBN4-8291-2544-6 ISBN4-8291-2551-9 |
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どうも、通して思うに、 ファンタジーの感想や紹介を書くのは苦手だなあ(笑) まあ今回はこの紹介が最後だ、がんばるべ(笑) テーマ的に言って、「はじまりの骨の物語」のリライト版だそうな。 ……そうなのか? 登場人物や設定は全く違う。 一部で絶賛の面白い物語なのだそうな。 ……そうなのか? 私にはよく判らない。面白いかもしれないし、面白くないかもしれない。 五代ゆうさんの作風、というのをこの二作から推測するに、 「どうしようもなく頭の悪いさびしんぼう」どもの物語。 また「超越能力を持ち腐れる」ものどもの物語。 という規則が出てくる気がする。 自分の内側へ語りかける癒しの物語。 これ、芝居でしたら面白くなるんじゃないだろうか? とふと思ったりした。匂い? っていうかが、 私が持つ芝居の雰囲気に近かった。 登場人物が沢山あり、それぞれにドラマがある割に 消化不良っぽく感じるのがおいらがこの本に対して示す不満。 ちなみに、お気に入りキャラは仮面のにーちゃん。 あらすじ。 猫の目、爪、牙。毛がはえた長い耳。主人公の少年は失われた「古代種族」 の血が色濃く出てしまった孤児だった。 技術師である先生に拾われるまで。彼と先生と、先生の造り上げた自動人形。 辺境でのその3人だけの生活が、彼の幸せの全てだった。 だが、先生はギルドの呼び出しに応じて大陸へとでかけ、既に半年。 そして、知らせが伝わった。「先生は死んだ」と。 それは「死んだ」ではなく、「殺された」だった。 とにかく、と、先生の遺言に従い少年もまた大陸へと旅に出る事になる。 そして、旅は途中、テレパシーを持つ少女や大公などの道連れを得、 更に国の中枢へと進む。 大陸の宮廷劇とも絡み、話は混乱。全てのキーは彼にあるらしいのだが…… 各員の思惑はいかに。 |
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