土地壊発
春には蛍光色の芽を吹いていた枝。
夏にはそよ風と戯れていた木の梢。
秋には甘い実をつけて近所の人を魅了して
いた柿の林。
冬には雪をたたえ銀色に辺りを照らしていた
柿の林。
たっぷりと雨水を含んではそこに水や養分を
送り込んでいた地面。
雨が降るとそこここへ土の匂いを届けていた。
確かに風が吹くと周りの家の窓や車のボディ
が白く染まったり、実のなる季節に毛虫が
出て、ブーイングは有ったけれど、
でも優しい笑顔と暖かい気持ちで私たちに
語りかけてくれていたんだよね。
手を掛けていた主を失って、
柿の木もことごとく切り倒されて、
むき出しになった地面。
社名の入った囲いが張り巡らされて
とても不安そうに見える。
窓を開ければ、こちらに別れを告げている。
雨の匂い、風の薫り、そよ風の優しさ、
緑の美しさ、酸素の濃いひんやりした朝夕の空気・・・。
もう要らないのか・・と
問うているようにも見える。
もうちょっとしたら、
コンクリートですっぽり覆われて
重たい重石を載せられて、
永遠に日の目をみることがない地面よ。
主の行方を知っているのか、
自分たちの行く末を知っているのか、
何もしてあげられない私は、なんだか
申し訳なくて長く見つめていることができない
のです。
だから、私たちが引き換えに得たもの
を
それに見合った価値創造のために
確かに遣うことが、
今の私の使命です。