![]() |
![]() |
何故旅に出るのか、最近は自分自身でも良く理解出来なくなっていることに気付く…精密な録音機のような耳で世界の音を聴き、精巧なレンズのような眼で世界を眺め、大容量媒体のような頭脳で様々な出来事を記憶し、それらを時折反芻しながら、自らがこの時代のこの瞬間に生きていることを勝手に確認する…旅の後にしていることは、結局そんなところである。どうしても行かなくてはならない訳ではないのだが、少々無理をしてでも出掛けてしまおうとする自分を制することが出来ない… 広大な地球という惑星の一定地点で生きることを余儀なくされている人間の身体は、その地点の地球の運動に対応するように“大自然の摂理”とでも呼ぶべき大きな力で制御されているのであろう。そうしたものに挑みかかるが如く、たったの10日程で地球を周航してしまう計画は、ただの無茶とも言えるものであった。この旅から戻った私に見舞ったのは、身体が何処の時間帯に適応すれば良いのかを理解していないような状況であった。米国西部、東部、欧州と足早に立ち寄りながら戻って来た。この順路は、太陽を抜き去りながら暁を追う順路である。米国時間に慣れかけた頃に欧州へ飛び、欧州時間に慣れかけた頃に帰国する…帰国してからの数日は、毎日違う時間に眠くなったり空腹を覚えたりで、倦怠感が一向に抜けない状況が続いた。 それらから漸く解き放たれようとしている中、頭脳の中で行き場が無い程に溢れ返っているものを、ここに解き放とうと思う… “地球周航”の旅にお付き合い願いたい… |
2002年1月14日記 |
次のページは旅行記の目次です。いよいよ出発です! |
BACK TO THE TOP |
BACK TO THE INDEX |