Die Galerie - 地球周航地球周航の旅へ…
地球深部探査船 <ちきゅう>海洋科学技術センターが建造中の新探査船の名称を公募していた。私は余り深く考えずに“ちきゅう”と名称を書いて葉書を出したが、蓋を開けてみるとその名称に確定し、私は二百数十名の名付け親に名を連ねることとなった。地球に住む者達は、最終的には自分達が住む天体そのものに関心を向けることにならざるを得ないのだろう、というような漠然とした思いから、私はこう命名した。
何やら記念品をいただけるというので、「なかなか来ない」などと言っていると、写真のようなものが届いた。クリスタルの海で探査活動を行う“ちきゅう”の勇姿である。
広大無辺な大宇宙にあって、私達が住む星は、丁度このクリスタルの置物のように、小さく完結した空間を構成している天体だ。この置物のように六面体ではなく、球体であるが、自分が立っている天体の姿を感じるような旅をしてみたいと、随分長いこと考えていた。
航空機で欧州へ飛ぶと、8時間に及ぶ時差というものを通じて、地球の形を多少は意識出来る。シベリアを越える西廻りに対し、太平洋を越え、北米に寄ってから大西洋をも越える東廻りであれば、行きつ戻りつの時間を通じて更に地球の形が意識出来る。ここまで経験すると、次は季節が逆になる南半球へ立ち寄るなどの試みもしてみたくなる。
そして私は、南半球の国、アルゼンチンを訪ねてみようと思い立った。9月に稚内へ飛来した大阪のN.HIRAIさんとの話しで耳にしたマレーシア航空の航路-クアラルンプール、ケープタウン、ブエノスアイレス-で、アルゼンチンを訪ねてみることを思い立ったが、予約が一杯という年末時期の予定であり、思うように手配が出来ずに居た。
そうしている間に、「遠いアルゼンチンを訪ねるなら、太平洋を越えて訪ねた後、欧州に立ち寄って戻って来る世界一周でも、航空券代は然程変わらないであろう。」などと考えるようになり、その名も“世界一周堂”という旅行代理店をネットの片隅に発見した。
彼らが扱う目玉商品が、航空会社間の提携ネットワークを利用した世界一周が可能という航空券である。年末の12月28日に出発するのであれば、アメリカのシカゴを経由してアルゼンチンのブエノスアイレスを往復するのと、世界一周とでは5万円程しか差がない。普段の5万円ではない。年に一度程度の趣味の旅行での話しである。惜しい差額ではない。そこで私は世界一周堂へ問い合わせ、航空券が無事に手配出来た。
大宇宙の中でクリスタルの置物のように輝く地球の表面を、小さな点を結ぶ型ではあるものの、遂に周航することとなった。

BACK TO THE TOP
BACK TO THE INDEX