Pitts S-2B 練習記
2004年1月31日
今日土曜日は週に一度のAerobatic Flightの日です。2週間ぶりに飛ぶと技量が落ちていることが自分でも判るため、なるべく毎週飛ぶようにしたいところです。以前天気の関係で3週間ぶりに飛んだときは、自分でも呆れるほど腕が鈍っていました。
Livermore空港のRunway25Rを離陸、Right Cross Wind Departureで北へ、訓練空域に向かいます。MAP (Manifold Absolute Pressure: 吸気圧力) を25in-Hgに絞り、Engine Speedを2500rpmに下げます。そしてMixture Lever (混合気調整機) を引き燃料消費率を15GPHへ。本来このPower Settingでは14GPHが適当ということですが、私はExhaust Valveを焼いてしまうことが気になって、こうしています。何しろ14GPHだと、EGT(Exhaust Gas Temperature: 排気ガス温度) が限界近くまで上がってしまうのです。もっともこの古いEGTもいまいち当てにならないのですが。
私の120LBSの体重で一人で飛行機に乗ると、この飛行機の離陸上昇はまるでRocketのようです。ただ、私の体重のそのままでは軽すぎてWeight and Balance (人や燃料など乗せる物の重さと、重心位置が規定範囲内に入らないといけません) のEnvelopeに入らず、Forward Limit (重心位置の前方限界) よりもさらに前に行ってしまうので、仕方なく30LBSのオモリを付けて飛びます。それでも3000fpm (一分間に3000ftの上昇率) くらいで昇っているような感覚です。

Hammer Head & 1/4 Roll Up

写真1.Sighting Device
今日の課題の一つは、Vertical Lineをきれいに保つこと。このPitts S-2B、N117PSには左右のどちらにもSighting Device (写真1参照。これを地平線に照らし合わせて機体姿勢を計る) がついていないので、翼端を見て地平線からの距離で自分の機体の姿勢を知ります。私の悩みどころは機体を垂直に上にした時に、左の翼が上がってしまうことです。これがVertical Lineと信じて右翼を見ると、左翼よりもかなり下がってしまっています。つまり飛行機が右に傾いて垂直上昇しているのです。何度かこれをやって、自分の目にこの姿勢を焼き付けます。しかし、気がつくとまた右に傾いていることがあったりします。

Four Pint Roll
もう一つの課題は4-Point Rollです。1、2、3、4と、90度ごとに止めてRollをします。左に90度Rollで一度止めて、さらに90度Rollで背面状態。そこまではそこそこなのですが、そこからさらに左にRollした時にどうしても機首が一度下がってしまうのが悩みです。一度下がった機首をLeft Rudderで強引に持ち上げて…これでは醜いです。原因は背面から左にRollする時、Left AileronとCoordinateさせるためにRight Rudderを当てるのですが、これが長すぎて機首を押し下げてしまっているのです。今日の目標はこの二つを確実にさせること、です。
Mt.Diablo北西5Miles。高度5000ft。二回90度旋回をして回りの安全を確認します。Seatbelt Checkを行うためUp Side Downに。Inverted (背面飛行) で徐々にNegative Gをかけていきます。−1G、−2G、体が上に浮き上がってShoulder Harnessに押さえつけられます。まだ大丈夫です。さらに機首を上げて−3G。Seatbelt Check Complete。
機首を下を走る道路に合わせ、Airspeed 170MPH、Altitude 5000ft、Go!Stickを後ろへ引きます。Load Meterが一瞬+5.5Gを指してVertical Up Lineへ。心なしか左翼端が上がっているような気がします。右を見て確認。ああ、やはり右は下がっていました。右左と見ながら再調整してこれでUp Lineになったようです。速度がなくなりThrottleを若干絞ってStick Right Forward、Right Rudder。Pull、Push、PullのHumpty Bump。そのまま機首を真下に向けて、Throttle OpenでVertical Down Line。地面を見る限り機体は垂直のようですが、両翼端を見るとやはりずれています。Down Lineは、地面というもう一つ目に付く要素ができるため、気を取られやすくなります。また、速度超過にも注意が行くためなかなか難しいものです。

Pull, Push, Pull, Hampty Bump
急激な加速と下降で、針の動きに遅れがありますが、120MPHと目標高度の500ft手前で再びStickを引きLevelにすると大体170−180MPH、目標高度で落ち着きます。常にLoad Meterを確認して+6.0Gと−3.0Gを超えないように注意します。そのまま再びVertical Up Lineへ。今度はうまく行ったようです。「One One Thousand」と数えて左に90度Roll。「Two One-One Thousand」と数えて右へ90度Roll。Vertical Rollはまあまあです。90度ではまだごまかせるのですが、これが360度となると私ではなかなかうまく行きません。Vertical Up Lineだった機首がいつの間にか上に倒れてしまっています。Negativeと呼ばれる状態です。速度0でLeft Rudder、Stick Right ForwardでHammer Head。これもどうも左にRollをしながらのHammer Headになってしまうことが多々あります。

Hammer Head & 360 Roll Up
次は少し早めに引き起こして140MPHでLevel。4−Point Rollです。1、2、Invertedのここまではいいのですが、3で右90度。やはり下に下がっています。納得せずもう一度。3回目の挑戦でなんとか勘をつかみました。一通り満足して、Half LoopからのInverted Spin、10回連続Slow Roll、20秒かけて1 RollするSuper Slow Rollなどで遊んで帰ります。

Rolls... Half Loop to Inverted, and 1 1/2 Inverted Spin
最近どうもPittsでの着陸がうまく行かず、今日こそは決めたいところです。おや、Runway25R横では同じ学校のCessna172が離陸待ちをしています。無様な着陸をしたら、帰ってから大笑いされるでしょう。95MPHでFinal。Short Finalだというのに、まだ1000ft AGLあります。通常の訓練機ではありえないほどの高い進入です。Power Off、Slipを使って高度を落とします。以前学校を見学に来ていた人が、「すごい勢いで落ちてくるので、事故かと思った」と興奮して言っていたことを思い出します。でもこれが仮にEngineが止まっても滑走路までたどり着ける、安全な降り方なのです。Touch Down直前でついStickを引きすぎてしまう癖があるので、ほんの少しと心がけてFlare。3回ほど跳ねましたが、前よりはよかったようです。言い訳ですが、S-2BはLanding Gear (着陸装置) にBungee Cord (2cmほどの太さのゴムの束) を使っていて、硬めのためあまり衝撃を吸収してくれません。これが体重の軽い私のSoloではさらに顕著にでて難しいです。取りあえず、先ほどのCessnaに教官として乗っていた同僚が、今の私の着陸を見ていなかったことを祈って。
たった0.7時間、42分の飛行ですが、次から次へと休みなしでAerobaticsをするのでとかなり疲れます。10分ほど飛行機の飛行後のCheckをしているふりをしながら休憩して、それから建物の中に入ります。疲れきった顔とフラフラの体では格好がよくありませんから。
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