Los Angeles Gold Cup 2005 1
5月12日 Apple Valleyへ離陸
先月のBorrego Valleyでの競技会から一月。5月にはApple Valley Airportで行われるLA Gold Cupという競技会があります。Sportsman CategoryからIntermediate Categoryへ移行するために、週に2回は練習の機会を作ってみようと心がけます。例年4月に入れば晴れの天気が続き、日によっては真夏の暑さがある季節なのですが、今年は5月に入ってもなかなか安定しません。なかなか思ったような練習の機会もなく競技会の日が来てしまい、少々気分が挫けそうになりました。それでも行ってみるだけでも勉強になるだろうと参戦を決めました。
何度もの修正の後完成したFreestyle Program。
Intermediate Categoryでは、今までのSportsman Categoryと同様3回の飛行がありますが、その内容が違っています。もちろん飛行内容が複雑になるということはありますが、1回目のKnownの後はFreestyleという飛行になり、自分で作った自由演技を行うことになります。Sportsman Categoryでも2回目と3回目の飛行で任意でFreestyleをすることは出来ますが、Intermediate Categoryでは義務となります。そして3回目の飛行はUnknownと呼ばれ、これはProgramが飛行の前日になって発表されるものです。この3度の異なった飛行が楽しめることがこのIntermediateのよいところでしょう。前述のFreestyleは義務付けられた種目をその中に含めていればどんな順番にしてもよい、しかし合計したK-Factor(難易度)が190点にする必要があるので作るのは簡単ではありませんでした。作っていく上で191点になってしまったり、188点になってしまったり、上手く点数が調節できないのです。そしてこの中には同じManeuverを1つまでなので、さらに制約が付くことになります。また、飛ぶからには面白い組み合わせにしたい、そして190点になるようにK-Factorを調整して実際に飛んで、でもここは自分の技量から無理がある、また直して飛んで…。これを繰り返して4回目にしてようやく出来上がりました。

1/2 roll to inverted, and push up to 3/4 loop
Freestyleを作る上でいろいろな注意点があります。当然飛ぶからには高得点を狙って勝ちたいわけですから、なるべく簡素に簡単に飛べるようにします。無理なNegative Gのかかる飛行は避ける、義務付けられていない限りK-Factorの数字の高い(難易度の高い)Maneuverは避ける、Downwindでの45 DownlineはOut of Boxになるから避ける、SpinはUpwind側で行うなど。去年から始めたAerobatic Competitionですが、最初はそのManeuverを連続して行うだけで大変で、きれいに飛ぶなどは次の次元の話でした。これが毎回毎回飛ぶにしたがっていろいろな余裕ができ、次のManeuverに必要な空間的余裕と必要な速度と高度も考えられるようになってきました。練習をするにつれて行うManeuverも徐々に安定するようになったことも確かです。今は粗雑な演技ですが、Freestyle Programに自分に苦手な上級のManeuverを入れておけばいつか自分のためになるでしょう。そう考えて背面での3/4 Loopや90度のOutside Rolling Circleを入れて、練習中も自分が楽しく飛べるようにと設定しました。「そんなに難しく作って何を考えているんだ?」と言われましたが、州内から多くのBest Pilotsが集まってくるこの大会で表彰台を狙えるはずもありませんし、今の私の技量では勝ち負けはどうでもいい話です。

燃料補給のために途中立ち寄ったDelano空港。
楽しかった去年の競技会がまるでついこの間のようです。
Apple Valley Airportまでは、一度の燃料補給を途中で行って3時間未満で行くことの出来る距離です。今回は仲間が仕事の都合で出場が出来なくなってしまったので、私が飛行機に乗って行くことになりました。狭い限られた空間しかない飛行機で工具も予備部品もあれもこれもと積んでいくことは出来ないので、ここで持ち物の選択をすることになります。「この工具はこれで代用できるからこれを置いていって、でもこれは欠かせない。予備のEngine Oilはこのくらいで足りるか…」などと計画を立てます。4日は現地に滞在することになるので、その間の生活用品も必要になるでしょう。そして今回は仲間から寝袋と一人用の小型テントを借りることができ、前々から憧れていた翼の下で眠るということが実現しそうです。

Delano空港を離陸後、左側に見えたBakersfield空港。
ANAの訓練所があることで知られています。
なるべく朝早くに出発しようと思っていましたが、予定の朝8時を過ぎてもまだ仕度が終わらずに、前席の荷物の積み方を変えたりさらに工具を減らしたりを繰り返していました。Apple Valley AirportにはCommercial Pilot(事業用操縦士)の訓練で10年ほど前に一度行った事がありますが、どんな空港だったか覚えておらず初めて行く場所と同じです。GPSに最初の燃料補給地であるDelano Airportを入力して出発します。高度7500ftで追い風を受けながらPoint to Pointで一直線に飛び、1時間と24分で到着。ここDelano Airportは去年の9月に競技会が行われた思い出の場所。私も9月になったらまた戻ってくるでしょう。Delano Airportを離陸し、再び高度を7500ftにして、山間部の谷間を抜けるように飛びます。Edwards Air Force Baseを南側を通り、あの山を越えればApple Valley。周波数を合わせるとすでに練習飛行を開始している人たちがいるようです。「Aerobatic Boxを避けて飛ぶように」と無線で言われて気が付いたのですが、高度7500ftで飛んでいてもそこの標高が海抜3000ftもあるので、Aerobatic Boxの上限に近くなってしまいます。慌ててBox上空を離れて地上の様子を確かめると、そこには白く見やすいMarkerが置かれていて、それを直角に横切るように多くの道が存在していました。また、空港西側には山があり、目標物探しはとても楽そうです。

飛行禁止空域の向こう側にEdwards空軍基地が見えます。
Delanoから1時間と24分の飛行を終えて着陸。すでに多くの仲間が到着していて、聞くと2日前からここにいる人もいました。「俺はおとといからもう3回飛んだよ。もう準備が出来たようなもんだ。」と言っている人もいて、少々遅れを取ったような気分です。Technical Inspection(競技会前の飛行機の点検)を終えて、速やかに登録を済ませ練習飛行のListに名前を書き込みます。

Apple Valley Airportに到着。
Los Angeles Gold Cup 2005 2
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