Northern California
Regional Aerobatic Contest 2004 1
6月9日 Paso Roblesまで
平日のこの時間にまだ部屋にいるなど、何ヶ月ぶりでしょうか。予定ではもっと早くに家を出るはずでしたが、あれこれと物を揃えているうちに昼近くになってしまいました。必要なものは全て揃ったか、何度も確認をします。自分の物の忘れ物なら諦めればすみますが、私の用意する物の中には、競技会で飛行機が飛ぶのに必要な書類も含まれています。飛行機の整備記録や保険証書、Airworthiness Certificate (耐空証明書)、Registration Certificate (航空機登録証明書) 、それに工具や予備のEngine Oilに部品。どうやら全て揃ったようです。車に積み込んで出発です。
ここSan Francisco Bay AreaからPaso Roblesまでは、880号線を南に下ってSan Joseを通り、101号線に乗り換えてさらに南へ下ります。走行距離は片道180Miles、約290km。休憩を含めてだいたい3時間半ュらいの旅です。走り始めて気付いたことですが、気温が例年よりも低いようです。私のA/C無しの車では夏場は暑くて大変ですが、今回はそれほどのことはありません。競技会の期間中も過ごしやすいといいなと思います。

Paso Robles Terminal。きれいな建物です。
Paso Roblesまでの距離数がだんだん小さくなって、町に到着しました。市街地もなんとなく埃っぽい、典型的な田舎町です。空港は市街地からさらに5Milesほど走った、農場や草原に囲まれた場所にあります。滑走路が二本、まだ新しいTerminalがとてもきれいです。去年は単なる空き部屋でしたが、一階にはいつの間にかきれいなCafeができています。予約を入れれば、競技会中も昼食を用意してらえるそうで助ります。Ramp (駐機場) にはまだ競技に参加する飛行機も少なく静かです。明日は参加者の登録と飛行機の点検。初めての競技会に、不安と期待が交差します。
6月10日 選手登録と練習飛行
この競技会の選手登録は朝7時から始まります。順番として、まず飛行機の検査、そして選手登録。それを終えた人は、前日に設置されたAerobatic Box内を練習飛行することができます。使用する飛行機PItts S-2B N117PSは、僚友PeterがここPaso Roblesまで飛んでくることになっています。午前11時、これから離陸すると彼から連絡が入り一安心、12時少し過ぎには彼の無線交信が聞こえました。Paso Roblesにようこそ! 車では3時間半かかったのに、Pittsではちょうど1時間だそうです。あっという間です。

運び屋の戦友Peterと、愛機Pitts S-2Bも無事到着。
Technical Inspectorに飛行機と整備記録を見てもらい、無事に検査終了。検査で不合格になったら整備士として恥だなと心配でしたが、意外にもあっけなく終りました。次に選手登録。Terminal2階の部屋で必要書類を提出して、今大会のWaiver (航空法規91条303、曲技飛行に関する禁止事項の特別破棄) の内容に署名、参加費用を払って無事に終了です。練習飛行の予定を見ると、午後4時10分からの10分間が空いていたので、この時間に練習飛行をすることにしました。

選手登録の手続き中。Roanneさん(左)が面倒を見てくれました。
Peter(手前)と私達の教官Dick(奥)。次々と参加者がやってきました。
この練習飛行のためにParachuteを二つ持ってきたことは正解だったでしょう。私もPeterも体重に余裕があるので、お互いの練習飛行の時には前席に乗って、Aerobatic Boxに慣れるようにしようと打ち合わせをしていました。まずは私が後席に乗って操縦、Peterが前に乗で見学をします。練習時間開始まであと10分しかないので、急いで準備をして離陸します。

Aerobatic BoxとHolding Areaの位置関係。
上空ではほとんどいつも北風なので、地上での風向きに関わらず南側から進入、
演技終了後は北に向かって退場します。
離陸後、空港に隣接している刑務所上空のHolding Areaで旋回をして、順番を待ちます。私の前の人がAerobatic Boxを離れたので、Holding Areaを離れ、Boxの南側を平行に飛んでApproachします。これがBase Legになります。地上のMarkingはうっかりすると見落としてしまいそうです。近くによれば見やすいかもと思いましたが、その期待は消えました。またそのBox自体もとても小さく、水平に飛んだら2-3秒で通り過ぎてしまいそうな大きさ。計測を間違ったのでは?とも思ったりもするほどです。これは他の人も「ちょっと小さくないか?」と言っていましたが、その真偽は定かではありません。でも仮にそうであっても他の人もこのBoxで飛ぶわけで、平等なことには変わりありませんが。
90度左に旋回して、Boxへ南から北へ向かって進入します。上空の風は北西から吹いていますが、取りあえず最初は中心線と東側境界線の中間を飛んでみました。最初のLoopはまずまず。しかしHammerheadがうまくいきません。Up Lineは悪くないと思いますが、Down LineがNegativeな状態です。そしてそれを修正しようと、機首が上がったり下がったり。教官からの、「一度決めたら修正するな。修正したら、Judgeに失敗したと言っているようなものだ。」という言葉を思い出します。解っているようで、でも体がつい修正しようとしてしまいます。また、このDown Lineで気付いたのですが、飛行機が風で東側にかなり流されているようです。もうほとんど東側境界線に近いです。この風向きならば、最初から中心線上を飛んでもいいかもしれません。その他のManeuverはそこそこの出来です。ただ、Boxからのはみ出しが何回かありました。Sportsman Categoryでは、Out of Boxは5点の減点で、それほど重大な減点ではありません。でも、少しでもいい点を稼ぐには小さな失敗を出来るだけ無くすことです。

5番の90度のCompetition Turnの後は西向きに3-4秒飛ぶことになります。
西側境界線を飛び越さないよう、最初の進入で予め中心線よりも右側を飛びます。
ただしこれは無風の時です。
今までの飛行は道路などを中心線や境界線に見立てて行うものでした。競技会のBoxにはMarkingがきちんと置かれているので飛行が楽と思いましたが、どうもそうではなさそうです。地上に置かれたMarkingはとても小さくて、一つを見ただけでは全体の大きさや自分の位置がつかみづらく、どうしても2つ以上を見てそれらを判断することになります。練習に使った道路は、上空からもよく見え一直線に伸びているので、実は楽だったのだと思いました。また地上の滑走路も紛らわしい存在です。滑走路とBoxの軸は30度くらいの角度をもって置かれていますが、ついそれに飛行機を合わせようとしてしまいます。極力無視することを心がけます。

三機並んだAmerican Champion Aircraft 8KCAB Super Decathlon。
Sportsman Categoryでは人気の機種です。
「時間だ。次の人にBoxを渡すから、Boxから出てくれ。」と無線で指示が聞こえます。時計を見ていたPeterが「あと1分あるのに?」と言いますが、指示なので仕方ありません。了解を伝えて地上に戻ります。
10分の練習時間はとても短く、数々の不安を残し終わりました。Peterの練習飛行は午後4時50分から10分間。今度は私が前席に乗り、地上の目標物を上空から出来るだけ探します。「この建物が南側の目印に使える。この細い農道は北側に使えそうだ。」というように。Peterも風に吹かれて東側境界線の上辺りで飛行をするような状態になってしまいました。「横風を修正しながら、それでBoxの中を飛ぶ事って難しいな。」と言っています。私も実際のBoxでの飛行の難しさを知りました。
Northern California Regional Aerobatic Contest 2004 2
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