Northern California
Regional Aerobatic Contest 2006 1

6月15日 参加登録と練習飛行
例年は6月上旬に行われるPaso Robles空港での競技会ですが、WA州でほぼ同時期に行われるApple Cupとの兼ね合いがあり、今年は2週間ほど遅くに予定されました。CA州内だけではなく、仲間の中にはWA州からCO州まで競技会に参加する人もおり、もっと余裕のある日程で行えたらという希望があったようです。航続距離が短いPittsだとこういった遠距離での競技会参加は躊躇してしまいます。その点、Edge 540やExtra 300などでは途中の給油なしで楽にたどり着けるそうで、最新型機の長距離飛行の性能の高さは羨ましく思います。

左: 今回使用した、Attitude Aviation在籍のPitts S-2C。
右: 相棒のPeterと練習飛行へ。
先日の緊急着陸で相棒二人と私は出場する機体を失い、さてこの競技会の参加はどうしたものか。棄権することも考えましたが、近場で行われるこの競技会を見逃すことは難しく、相談したあげく飛行学校のPitts S-2Cを3人で借りて出場することにしました。事故以来練習飛行を行っていませんが、順位はともかく楽しむことを目標に出かけてみようと結論付けました。Pitts S-2BとS-2Cは外見的にも良く似ていて、操縦した感覚はほとんど同じ、全般的な飛行性能はC Modelの方が高いという意見が一般的です。B ModelではNegative Gの限界値が-3GだったものがC Modelでは-5Gまで上がるなど、確かに数字で見ると飛行性能はC Modelが上回りますが、私の印象では全般的に機体が重くなり動きが遅くなったように思えます。Rollを行うにしても、B Modelでは機敏な動きだったものですが、C Modelでは反応も動きも遅く、どうしても性能の低下を感じてしまいます。もちろん、S-2Cにて上位に入る参加者も多くいるため、これは私の言い訳なのですが。

左: 高度4000ftから見る、Paso Robles空港。Aerobatic Boxの印は写真で見てもわかりませんが、実際に目で見てもよく見えません。
右: 左旋回をしながら順番待ちをするPeter。余裕の微笑み。
この競技会では、PittsのCheckoutを終えていないPeterと、Super Decathlonで参加をするKevinさんの二人のSafety Pilotを行うことになりました。Safety Pilotとは、保険や操縦資格の関係で単独飛行できない参加者と乗り、飛行の安全を保持する人のことです。離着陸や空港周辺の飛行を手伝うことはありますが、最低高度を下回るなど危険が生じたときを除き、Aerobatic Box内では競技中は一切手を出さないことになります。上空からBoxの様子をじっくり見ることが出来るので、自分の飛行に有利に働くだろうと思っていましたが、実際には安全確保と、他人との低高度での飛行という緊張があり、予想以上に体力を消耗することになると知りました。それでも、着陸してからの彼らの嬉しそうな顔を見ると、その疲れも忘れて嬉しくなります。

左: 現在はSanta Paula空港で飛行をする、日本人曲技飛行士の内海氏の愛機、Pitts S-2B。B Modelが懐かしくつい見とれてしまいます。
右: ここPaso Robles空港に格納庫を構えるTom Applegate氏のPanzl S-330。緩やかな曲線が女性的で美しいです。
6月16日 競技会一日目
Paso Roblesまでの車の移動中にも思ったことですが、今年は去年よりも気温が高く、去年のように朝霧に悩まされることがないようです。早朝から空はきれいに晴れ上がり、競技会の進行に支障はなさそうです。ただ、参加者が幾分少なめのためにVolunteerをする人も限られ、またJudgeの資格を持つ人があまりいないために、Categoryの移行で問題が起きてしまいそうだと言われていました。ここは参加者が助け合って何とか乗り切る必要があるでしょう。

左: 早朝からきれいに晴れ上がりました。
右: 初めて競技会に参加する方たちに説明をするAndrew。彼の説明はいつも的を得ていて、私も見習いたいと思います。
飛行順序が発表され、私の出場するIntermediate Categoryは昼過ぎに行われることになりました。一回目の飛行のKnownは無難に行うことが出来ましたが、着陸時に問題が発生。いつものように三点着陸 (尾輪式飛行機において、主輪と尾輪が同時に接地する着陸方法) にて滑走路に降りましたが、接地後の尾輪からの振動と音が異常に大きいのです。どうやら尾輪のゴム部分が外れてしまったようです。このまま滑走路をふさいでしまっては後続に迷惑がかかるため、何とか滑走路を出ようとします。尾輪は主輪と違って操縦性に影響は出ないので安心をしていましたが、異音は益々大きくなり、もしかしたら車輪はとうに落ちてしまい、実は板バネを削っているのかもと心配になって止めることにしました。見ると、金属部分だけになってしまった車輪がそこにあり、心配していた板バネは無事でひとまずほっとしました。

左: Intermediate Categoryの出発前。一番手はExtra 300LのRandyさん。
右: そして、飛行後。車のJackを取り出して尾輪交換の作業を開始。
「またか。悪気はないけれど、お前とはもう乗りたくないな。」 by Andrew
Northern California Regional Aerobatic Contest 2006 2
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