EMT留学について

  ◆アメリカでEMTになりたいがどうしたら良い?◆追加部分は下線で記しています

 ホームページを開いて以来、この質問のメールを多くいただきます。結論から言いますと、現実は非常に厳しいです。ここでその理由を説明したいと思います。

 まず、EMTになるのは可能です。学校を探し、入学許可を得て、学生留学ビザを取り学校に通い、国家試験に合格すればなれます。ただ私の持つEMT-I資格コースは、多くの学校は技術学校で設けられているので、ビザを出してくれるところはほとんど無いと言っても過言ではないと思います。最近はパラメディックをアソシエート・ディグリー(短大のコース)として設けているところも多いので、そこに入れば学生ビザを出してくれるとは思います。

 さてここからが問題です。元々EMTは高卒で取れる技術資格のため、国からの労働ビザの援助の基準から外れます。つまり資格を取ったは良いけど労働ビザをもらえない → ビザなしでは雇ってくれるところがない、ということになります。前出のアソシエート・ディグリーを取れば、一年のプラクティカル・トレーニング期間(無償試用期間)はもらえるかもしれませんので(未確認)、その一年で経験を得ることはできると思います。

 ただ、就職が難しく、アメリカ人のEMT/パラメディックも多く、ビザがあってもなかなか就職先がみつけられない、ということも多くあります。政府機関の消防では、学生ビザ期間で私のようにボランティアとして経験を得させてくれるところはあると思いますが、労働ビザを援助するということはないでしょう。今までも数人が弁護士を雇ってまでも挑戦しましたが、泣く泣く日本に帰っているそうです。ちなみに私は永住権保持者ですので、雇用条件は満たしています。

 就職先がなく、お金と時間をかけてせっかく取った資格を活かせないほど不安が募ることはありません。まして生活をしていかなければならないから、いつまでも無職ではいられませんよね。更には、日本と外国間では、未だ医療資格の相互活用ができませんので、日本に帰っても救命士としての資格も無いわけです。パラメディック資格を持っていれば、救命士国家試験受験資格を得られると思いますが←の制度はなくなり、日本で救命士学校に通い直し、資格取得挑戦することになります。また現在のところ、日本での救命士としての就職先は消防庁が主で、就職の際の年齢制限等もありますので、こちらも注意が必要です。

そして現実問題として、アソシエート・ディグリーとしてパラメディックの資格を取り、プラクティカル・トレーニングで1年経験したとしても、その経験は無に近い経験であります。こちらでは、EMTとして最低でも2〜3年経験した上でパラメディックになって、2〜3年経験して、やっと一人前のパラメディックとして周りから見られるようになるのが現実です。

 そしてもう一つ。アメリカの救命士及び消防士の給与は非常に薄給です。それに反比例してアメリカの生活費は年々上がっていき、職員の大半は二つないし三つ仕事を掛け持ちしています。消防署フルタイム、パートタイム、プライベート会社、病院、その他技術職などなど生活していくには休日もあまりない状態のようです。公務員の恩給のために薄給で仕事している人は多いようです(恩給と言っても日本とはかなりの差があります)。

 と言うことで、EMT留学は他の留学と違って非常にリスクの高い留学ですので、安易に決断はできないのです。それでも留学したい、と思うのでしたら、ハイリスクを覚悟の上で、数年は無職でいられるような資金を作り、調査に調査を重ねて、納得した上でされていただければ、と思います。その際のアドバイスは、責任を負いかねませんので控えさせていただきますので、ご了解ください。このようなHPを開いているのに、留学のお手伝いができなく残念ですが、これも私の力ではどうにもならないことですので、ご理解いただけると幸いです。

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