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BORNEO RAINFOREST
ボルネオ島の熱帯雨林の森について
モドル
003 - フタバガキの森
28/02/2009

今回は、前頁 002 - ボルネオ島の熱帯雨林の森 の中に出てきた、フタバガキの木について書かせていただきます。 フタバガキ科の木は、英名では Depterocarp (ディプテロカルプ)と言い、意味は「2つの羽を持つ実」と なっています。その名の通り、フタバガキの木の種子は下記左写真のように大きな2枚の羽がついています。

中には右写真のように長い羽が2枚+短い羽が3枚の5枚の羽のものもあります。

何故、フタバガキの木なのか。

それは太古から続く東南アジアの熱帯雨林の森の形成に欠かせない重要な役割を担っている木で、 主にマレーシア、インドネシア、フィリピンに分布し、特にボルネオ島には260種以上ものフタバガキ科の木があり、 この地域の森の優先種であり、ボルネオの森を語る際に欠かせない大切な存在だからです。

フタバガキの木は、樹高が大きいもので70〜80mにもなります。ボルネオの背の高い森を作っている木です。
花を咲かせる成木になるまでに40〜60年もの長い年月を要する木です。70〜80mもの巨木になるまでは、
木に遠くなるような月日を重ねなければなりません。
(私たち人間とは異なる時間のスピードで生きているのですね・・・。)

また有名なのがフタバガキ科の木の花の咲き方です。

フタバガキ科の木は、数年〜10数年の間隔と不規則な間隔なのですが、 何とボルネオ島だけに留まらず、インドネシア、マレー半島、スマトラ島や タイまでの広大な地域で、まるで申し合わせたかのように 一斉に開花するのです。この一斉開花が始まると、 フタバガキ科だけでなくその他の優先種の木々や蘭までもが次々に花を咲かせると言います。

この一切開花の仕組みは様々な機関が研究しており多くの仮説もありますが、今もはっきりした原因は解明されていません。 何と不思議な世界なのでしょう。何て大きなスケールで森は生きているのでしょう・・・。

一斉開花の後に森に入ると、頭上遥か60m以上も上の世界から、上記写真の種子がクルクルクルクルと舞いながら 落ちてくるそう。いつか私もそんな神秘的な光景をこの目で見てみたい・・・。
皆さんも見てみたいと思いませんか?

フタバガキの木。
東南アジアの豊かな森に欠かせない、何とも不思議な生き物の1つです。

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しかし。

残念ながら、現在のボルネオ島には、フタバガキの木々による原生林(元々あった森)は、殆ど残っていません。
フタバガキの木は、真っ直ぐで、軽く硬いため、合板としての商用価値が高く、1970年代〜1980年代にかけて、
先ずはフィリピンの森で伐採され、資源が枯渇すると今度はボルネオ島の当地サバ州、次いでサラワク州、インドネシア、 パプアニューギニアと次々と採り尽くされました。

1970年代前半、ここサバ州での森林率は州面積の86%となっていましたが、現在では50%以下になっていると 言われており、更に日々減少し続けているのですが、元々あった原生林は、たった5〜6%しか残されていません。 80%もの原生林が当時、伐採されたわけです。(現在残っている森は、伐採後に出来た二次林です。)

伐採されたフタバガキの木は、皆さんもよくご存知のラワン材として日本に輸出され、建築ブームだった日本にて 主に建築資材(コンクリートを固めるコンパネ)や、建具材、家具や壁、床材などの合板に加工され消費されました。 皆さんにとっても、ラワン材、ベニヤ板などは、とてもよく知っている身近にある木材ではないでしょうか?

これらの木材は、実は東南アジアの熱帯雨林の森にとって、とても大切な役割を担ってきたフタバガキの木々でした。 近年、当地サバ州には、日本からの直行便フライトも就航しており、気軽に来れるネイチャーアイランドとして 観光客の皆さんの間で人気を集め、年間を通して多くの日本人旅行客が訪れるようになりました。
観光で来られる方々の多くは「ボルネオと言えばオランウータン!是非オランウータンに会いたいです。」と、 オランウータンに会える場所に足を伸ばされます。特にサバ州第二の都市、サンダカンにある世界的に有名な、 傷ついたり孤児になったオランウータン達を保護し、再び森に返せるようリハビリを行っている <セピロック・オランウータン・リハビリセンター>を訪れる方がたくさんいらっしゃいます。

しかし、訪れる皆さんに知って欲しいのが、彼らの森を食い尽くしてしまったのは、他の誰でもない、 私たち日本人だと言う事。知らず知らずのうちに、彼らが暮らしていた森を、私たち自身が 奪ってしまったと言う事実です。

是非、これから何かのために木材が必要となった時、どうかお値段や用途だけを考えて、 安易に木材を選ぶのではなく、森林管理をある基準に照らし、環境保全に適切で、社会的な利益になかい、 経済的にも継続可能な森林管理がなされている森林から産出された木材または木材製品と 認証する国際機関 FSCのマークが入ったものを選ぶよう心がけてみて下さい。FSCのマークが入った 製品を買うことで、消費者も世界の森林保全に間接的に関与できる仕組みになっています。 詳しくは → http://www.forsta.or.jp/fsc/

モドル

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