前頁に書いた、1970年代〜1980年代にかけて私たち日本人が大量に消費してきたフタバガキ科の木々について
もう少し詳しく書いてみようと思います。
フィリピンやボルネオ島で伐採されたフタバガキ科の木々ですが、日本国内では<ラワン材>と呼ばれています。
ホームセンターなどでもお馴染みのラワン合板です。この<ラワン>という名称は、
東南アジアで採れるフタバガキ科の
木の総称で、実際は種や生産地によって名称は異なります。
例えば、フィリピン産は「ラワン」、
サバ州産のものは「トセラヤ」、インドネシア産は「メランティ」と言います。
また現在でもサラワク州から原木(丸太)で日本に輸入されている「メラピ」と言う
種類や、フィリピン、ボルネオ、タイ、パプアニューギニアから輸入されている「メルサワ」と
言う種もあります。
これらのラワン材は、真っ直ぐでクセがあまりなく、加工が容易な事から、主に合板として使われてきました。
ラワン合板(ベニヤ板)、コンパネと言えば、皆さんもどの木材かすぐに思い浮かべる事が出来ると思います。
そうです。私たちの最も身近にあった木材と言っても過言ではない木です。
<メモ>
1.コンパネ = コンクリートを固めるための型枠に使われる板。数回使用後、処分されます。
2.ベニヤ板 = 原木から“かつら剥き”の要領で薄く木を削った板の事。
3.ラワン合板 = ベニヤを繊維の向きを直角になるよう数枚を重ねて貼り付けた板の事。
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安価な事から、建築ブームが起こった頃より大量に輸入し、私たちが消費し続けてきた木です。
主に建築資材や、内部造作、床材や建具として使われてきました。
と言う事は、1億年以上も遥か昔から、数え切れない程の生命を繋いできた東南アジアの貴重な
フタバガキの森が日本の住宅やビルの建物のために消費されてきた、と言う事です。
いつ頃からだったでしょうか。
一戸建ての住宅が3千万以内で建てられるようになったのは・・・。
家が安く建てられるようになったのは、まぎれもなく安価な南洋材の大量輸入の恩恵です。
だけど今の日本の住宅は寿命平均はたったの30年しかありません。昔の家は100年もったと言うのに・・・。
たった30年しかもたない、安くて質の低い住宅を35年ローンで私たちは購入し、消費してしまうのです。
近年は耐震など質を重要視するようになってきているので、徐々に質や強度も向上してきて
いるとは思うのですが・・・。それでも驚くほど安い一戸建てが販売されていますよね・・・。
お陰で国内の林業は衰退し、大工さんも減少し、東南アジアの森は次々と破壊され、自国の森も荒れ放題。
一体、私たちは何をやっているのでしょうか・・・。
「物は大事に使いなさい。」小さい頃から親や先生達にそう言われて育ってきたはずなのに、
経済大国となった
日本の社会がまったく大事に出来ていません。住宅までもが消耗品?経済大国=消費大国ですね。
ちょっと極端な表現&偏った見方かも知れませんが、これが私が思う日本の経済社会です。
もちろん、そんな経済大国日本に生まれ、その恩恵に預かり、何不自由ない贅沢な
環境でノホホンと生きてきたわけですが・・・。何だか怖い事&悲しい事だなぁ・・・と思ってしまうのです。
知らず知らずの内に、本人に自覚がないまま、私自身が大事で尊いと思っている森を破壊しながら生きてきたわけです。
初めて知った時は本当にショッキングで。その時のショックさは、今思い出しても息苦しくなるほどです。
(でもそのショックが原動力となって今の私があるのですが。)
そしてもちろん。ラワンだけでなく、チークや黒壇、アイアンウッド(ウリン)などなどの熱帯材(南洋材)。
また北米からのオーク材やウォールナット、レッドシダーやダグラスファー、イエローパイン。
南米からはマホガニーやなど、様々な国の森から、たくさんの木々が日本に輸入され私たちが消費しています。
でも国内に有り余っている木々があるのだから、それを大事に使いましょうよ!
と同じように思う人々もたくさんいらっしゃるようで、最近は国産材を使った家具や、住宅の建築も、
何だか増えてきたようで嬉しいです。
私は和歌山県出身なのですが、和歌山には、上質で狂いも少なく、強度&耐久性に
非常に優れた 紀州材 があります。
皆さんも是非、木が必要になった際には紀州材、ご検討下さいね。
木造住宅は鉄筋コンクリートやプレハブ住宅のおよそ4倍もの炭素を固定するそうです。
伐採した後は木を植え、育て、森を正しく管理しながら、その森から生み出された木材を大事に使う。
温暖化対策×2!と叫ばれる今、私たちに必要な暮らし方なのでは・・・。
皆さんも是非、身の回りにある木材にも、一度、目を向けてみて下さい。
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