Band Aid & USA For Africa
1980年代はチャリティーイベントの多い年でもありました。 代表的なものではエチオピア大飢饉の難民を救済するために結成された英国人アーチストによるBand Aidと、米国人アーチストによるUSA For Africaがありました。
Band Aid 『 Do They Know It's Christmas Time? 』
ブームタウンラッツのボーカル、ボブ ゲルドフがテレビで見たエチオピア大飢饉の惨状に大ショックを受けたことに始まります。 彼のバンドは商業面では長らく低迷の状態にあったにもかかわらず、音楽業界のコネクションはとても太いものがありました。 そしてそれらを活用してエチオピアで苦しむ人々のために募金を募るプロジェクトを発足させたのです。
1984年11月25日、ロンドンのスタジオにてボブ ゲルドフとウルトラボックスのミッジ ユーロによって作られた「Do They Know It's Christmas Time?」がレコーディングされました。 このレコーディングには英国スター約40名が参加し、主なアーチストではポール ヤング、ジョージ マイケル、ポール ウェラー、フィル コリンズ、マリリン、カルチャークラブ、デュラン デュラン、スパンダー バレエ、バナナラマ、スティタス クォー、ヘブン17、U2などがいました。 この作品はクリスマス前にシングルカットされ、英国のみならず世界中で大ヒットしました。 わたしもその年の暮れにこの曲がばんばんかかっていたのをよく覚えています。 一部の間では、ただの人気アーチストの顔寄せ、話題集めじゃないか、などの嫌みな発言もありました。 確かに音は80年代のポップ感が溢れており、参加したアーチストもビジュアル的に派手な人達が多かったからかもしれません。 でもこの『 Do They know・・・』の歌詞をよく読んでみると、随所にさりげなくメッセージが込められており、それが後からじわじわっと胸に響いてくるのです。
この曲は今でもクリスマス時期になるとジョンとヨーコの「Happy Christmas」と共に必ずラジオでかかります。 親しみやすいメロディー、この手にありがちな重たい内容の歌詞ではなく、さりげなく考えさせられる歌詞であるところが今でも多くの人に好まれている所以だと思います。 この曲はラジオや外(デパートや繁華街、居酒屋などで)でよくかかっていましたが、肝心のミュージックビデオはあまり見ていないのです。 当時2、3度見ただけで、クリスマスが過ぎたらそれっきりでした。 USA For Africaの場合「メーキング オブ We Are The World」みたいなものやベストヒットUSAなどでがんがん放送されていたので、よ〜く覚えているのですが、Band Aidはその唄ほど映像の方はあまり覚えていないのです。 バナナラマの娘達がかったるそうに唄っていたのはなんとなく覚えていますが・・・ 今もう一度見てみたいです。 若い頃のボノや旬のアーチストがわんさか出演しているので、お宝映像になること間違いありません。
USA For Africa 『 We're The World 』
今では「聴いているところを人に見られたくない曲」のベスト3に入ってしまいましたが、当時は聴きながら感動して涙ぐんだものです。 イギリスから発生した難民救済イベントはアメリカにも渡りました。 ハリー べラフォンテとクインシー ジョーンズが提唱者となり、エチオピアの飢饉で苦しんでいる人々を救済するための組織が発足されたのです。
1985年1月28日、アメリカンミュージックアワードの翌日にハリウッドのレコーディングスタジオに蒼々たる顔ぶれのアーチストらが結集しました。 目的は「We Are The World」を録音するためです。
ライオネル リッチーとマイケル ジャクソンによって作られたこの曲はクインシー ジョーンズがプロデュースしました。 この「We Are The World」のレコーディングに参加したアーチストはライオネル リッチー、ポール サイモン、スティービー ワンダー、ケニー ロジャース、ジェイムズ イングラム、ビリー ジョエル、ティナ ターナー、マイケル ジャクソン、ダイアナ ロス、ディオンヌ ワーウィック、ウィリー ネルソン、アル ジャロウ、ブルース スプリングスティーン、ケニー ロギンス、スティーブ ペリー、ダリル ホール、ヒューイ ルイス、シンディ ローパー、キム カーンズ、ボブ ディラン、レイ チャールズらがいました。
英国のBand Aidに比べるとアーチストの平均年齢も高く、若手アーチストよりも年季の入ったベテランシンガーの方が多かったように思います。「We Are The World」は「Do They know・・」と同じようにリレー式にアーチストが歌を唄っていくのですが、各パートその歌い手の持ち味が良く生きるように構成されていました。 わたしが感動したパートはシンディ ローパーとブルース スプリングスティーンです(笑)。 曲はとっても丁寧に作られており、歌詞もとっても正義感あふれています。 最初しっとりと始まり徐々に各ソロパートで盛り上がっていき、最後は全員で手をあげての大合唱。 いかにもアメリカ的なのですが、UK音楽大好きの友達に言わせると、アメリカのUSA For Africaはどうも偽善っぽくて鼻に掛かると言っていました。 わたしは体育会系の性格なもので、このような作品にはとっても弱くて、ミュージックビデオを見ては感動してうるうるしていました。
お昼を食べに行った喫茶店でちょうど「メイキング オブ We Are The World」を流しており、ほとんどのお客さんが見入っていたのを覚えています。 早くお店を出ないと次の授業が始まってしまうのですが、どうしても最後まで見たくて居座ってしまいました。 やはり最後の大合唱は圧巻でした。 洋楽に興味のなさそうな人までも画面を見つめていました。 ああ良かったなあと感動の余韻に浸りながらお店を出ようとした時に、友人Aさんが、USA For アメリカっていいわね!といきなり言い出したので他の友人らとガクっときてしまいました。 プライドの高いAさんだったので、USA For アメリカじゃなくてアフリカだよと訂正することもできずそのままにしてしまいましたが。。。
この曲はBand Aidの「Do They Know It's Christmas Time?」と同じように世界中で大ヒットしました。 もちろん日本でも。 レコードの売上金はすべてチャリティーへ回されました。 1984年の英国のBand Aid、1985年の米国のUSA For Africaの大成功は、後に英米同時開催されたLive Aid(1985年7月)へと発展していくのでした。
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