Eric Clapton :Money & Cigarettes(1983)


80年代のクラプトンのアルバムでは1983年にリリースされた「Money & Cigarettes」が一番好きです。 アルバム全体を通してもお気に入り上位に入っています。 当時でもクラプトン関連のアルバムはいくつか持っていましたが、Derek & The DominosやCreamなど70年代、60年代のものばかりでした。 この「Money & Cigarettes」は初めてリアルタイムで購入したECのアルバムだったのでちょっと思い入れも強いのかもしれません(当時高3)。

70年代では1974年の「461 Ocean Boulevard」が有名ですが、それ以降の作品も佳作ながら、イマイチ声の調子が悪いような気がしていました。 ドラッグ中毒は克服したものの、アルコール中毒で苦しんでいた時だったので声もどこかかすれているような、いがらっぽいような感じで(エヘン虫がいるよう)、聴いていてこちらまで苦しく感じてしまうのです。 1981年にリリースされた「Another Ticket」も作品全体はかなり高いレベルだと思うのですが、声の調子はやはり今一つのような気がします。

しかし、この「Money・・・」では、声の調子も演奏もとっても良くて、聴いていてとても心地良いのです。 普段でもクラプトンの声はややこもっているように聞こえるのですが(鼻がつまっている人の声のよう)、このアルバムでのクラプトンの唄声はクリアでとても聴きやすいです。 と同時にこのあたりから更に唄が上手くなったなあと感じました。

Ry Cooderがスライドとエレクトリックギターで参加していますが、クラプトンは有名ミュージシャンらと競演すると刺激されるせいか、自分の力を倍以上に発揮するようです。 アルバムには全10曲収めらてており、4曲が他人の作品で残り6曲がクラプトンの作品です。 わたしはあちこちでこのアルバムは良い、素晴らしい!と触れ回っているのですが、クラプトンファンからはあまりその声は聞えてきません(ま、いいか^^;)。

作品全体はそれまでのブルース系よりもカントリー系に近いです。
クラプトンに馴染みがないうちのダンナでもこの「Money・・・」は自然に聴けるようです。 カントリー系と言っても、アメリカンカントリーのような癖のある唄い方ではないので、カントリーはイマイチ。。。という人でも大丈夫なのではないでしょうか。 しかし辛口で言えば、どの曲も無難すぎるのかもしれません。 ギタープレイを期待しているECファンには、どこか物足りなさを感じていたはずです。 わたしも初めて聴いた時は「あれ、なんか地味だな。。」と感じました。 それまでECと言えばクリーム、ブラインドフェイス、ドミノスの印象がどうしても強かったので、一通り全曲聴き終えた時は「今のクラプトンはこうなんだ。。。」と軽いショックを受けたのを覚えています。

どの曲も好きなのですが、その中でもじーんときてしまうのが「Pretty Girl」です。 当時の愛妻パティ ボイドに捧げた曲なのかもしれませんが、デレク&ドミノス時代の「Bell Bottom Blues」「I Am Yours」に引けを取らないロマンチックな愛の唄だと思います。 このようにクラプトンを唄わせてしまう女性ってすごいなあと思うし、滅茶苦茶憧れますねえ。

わたしがこのアルバムを非常に気に入っているもう一つの理由は、ジャケットのクラプトンがものすごく男前なのです。 ダブルのスーツ姿がこれほど似合うミュージシャンは彼の他に誰かいるかしら(ロバート パーマくらいかな)。 「渋い」という言葉は彼のためにあるようなものです。 右手に煙草、左手はジャケットのポケットに。 当時38歳、(中年の)オトコの魅力がプンプン漂ってきます。 CDでは縮小サイズですが、LPジャケットだとハンサムなクラプトンを思いっきり堪能できます。 レコードを取り出したら、またクラプトンのキザな写真がでてきてびっくりしちゃいました^^;。


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