夏目 雅子
1957年12月17日−1985年9月11日

美人薄命、享年27歳、若くして亡くなった彼女にぴったりの言葉です。
大輪のバラのような美しさを持ちながら、風にゆれる野菊のようなはかなさ、可憐さも持った女優さんでした。

初めて彼女をテレビで見たのはカネボウ化粧品のCMでした。小麦色に焼けた美しい肢体と情熱的な大きな目がとても強烈でした。このCMによって彼女の名前は一躍有名になったのです。

彼女が出演していたテレビドラマは多数あるのですが、その中でも特に印象に残っているのが「西遊記」の三蔵法師役です。「西遊記」には孫悟空役の堺正明、猪八戒役の西田敏行、さごじょう役の岸辺シロー、ら超個性的な俳優が揃っていましたが、そのような面々の中で彼女の三蔵法師は観音さまのような美しさがありました。一応男性の役だったので髪の毛は帽子のようなものの中に隠されていました。お化粧も女性役を演じる時のようにはしていなかったはずなのに、あの時の彼女はとても奇麗でした。男も女も関係ない性を超えた美しさがありました。本当に思わず手を合わせたくなってしまう魅力がありました。あのような役を演じながら神々しい美しさを放つ女優さんって、最近ではそういないのではないかな・・と思います。

「野々村病院物語」では看護婦役を演じていました。このドラマは毎週見ていたはずなのですが彼女以外の役者さんでは、彼女の不倫(?)相手役だった津川雅彦以外誰も覚えていません。ドラマ中では彼女と津川雅彦のラブシーンが何回もありました。愛に苦悩する表情がとても美しかったです。また白衣姿もとても品があって奇麗でした。こんな素敵な看護婦さんがいたらいいなあと思いました。

映画では「鬼龍院花子の生涯」で、第6回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞、第25回ブルーリボン賞の主演女優賞を受賞しました。わたしも何度かこの映画を見ましたが静から動へと変わる時の演技がすばらしかったです。あの有名なせりふ「なめたらいかんぜよ」は見るものを圧倒する迫力がありました。この映画では彼女の気高い美しさが一気に開花した記念すべき作品だと思います。映画公開時、彼女は25歳でした。競演に大ベテラン岩下志麻や仲代達矢がいましたが、大ベテランの中でもまったくひけをとっていませんでした。

大好きだった人との結婚生活は長くは続きませんでした。舞台「愚かな女」の稽古中に病に倒れて入院してしまいます。急性白血病でした。わたしは週刊誌でこの舞台稽古の写真付き記事を読んだことがあり、随分彼女はやせたなあって思っていたら、そのうちに入院してしまいました。それに伴って重病説のニュースがあちこちの週刊誌やワイドショーで大々的に報道されました。入院後は一切表に姿をあらわすことなく、闘病生活11ヶ月後、多くのファンに惜しまれながらこの世を去りました。

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