Tears For Fears
ティアーズ フォー フィアーズ(以下TFF)の名前を知ったのは「Everybody Wants To Rule The World」が大ヒットしていた1985年のことで、 わたしの友達Nちゃんが「TFFってすごくいいよ。 決してハンサムじゃないんだけど力一杯熱唱しているところが好感もてるんだよね〜」の一言がTFFに興味を持つきっかけでした。 確かにそのとおりでした。 ローランドの歯茎が見えてしまうほどの、鼻の穴丸見えの力強くて情熱的な熱唱。 わたしも一度聴いただけで瞬時にガツンと圧倒されてしまいました。
彼等の代表アルバムは1985年に発表された「Songs From The Big Chair」、1989年に発表された「The Seeds of Love」でしょう。 TFFの二人、ローランド・オーザバルとカート・スミスが組んで作成したアルバムは1stの「The Hurting」から3rdの「The Seeds of Love」までです。 90年代にも「TFF」の名で2作品発表していますが、これらにはカートは参加しておらず、実質的にはローランドのソロ作品と言ってもいいかもしれません。
TFFの代表作品は2ndアルバムからの「Everybody Wants To Rule The World」「Shout」「Head Over Heels」などや、世界的にブレイクする前に本国イギリスで高い評価を受けた1stアルバムからの「Mad World」「Pale Shelter」「Change」などがあります。 けれども、わたし個人的にはTFFの最高傑作は3rdアルバムからの「Sowing The Seeds Of Love」だと思っています。 この曲を初めてラジオで聴いた時はショックに近いような衝撃を受けました。 たった一度だけしか聴いていないのにいつまでも耳にその音が残り、頭からその音が離れませんでした。 そうして「これは何がなんでも今すぐレコード屋へ直行しなければ!」という気持ちに駆られたのです(いつものパターン)。
仕事が終わった後、猛ダッシュで川崎のタワーレコードに向かいました。 しかしどこを探してもTFFのアルバム(この時レコードだった)はありません。 あれ?おかしいな。。と思って店員さんに尋ねてみると、なんと「ただいま在庫切れです」と言われてしまったのです。 いつ再入荷するのですか?と尋ねたところ、「ちょっとわからないんですよね〜」と言う頼りない返事が返ってきました。 タワーレコードでなくても地元のレコード屋へ行けば買えたのですが、輸入盤に比べると値段が高かったので貧乏OLだったわたしにはなかなか手が出せませんでした。
結局買いそびれてしまいました。 その時にちゃんと在庫があれば必ず買っていたのに! やっと手に入れたのは90年代に入ってからでした。
Sowing The Seeds Of Love(1989)
この曲はブリットポップの極み、80年代のフィナーレを飾るのにふさわしい曲だと思っています。 とにかく豪華絢爛! サイケあり、ロココ調あり、ビートルズ風(Johnパート、Paulパート)ありと、あらゆるエッセンスがつまった宝石箱のような作品です。 最初の歌部分はビートルズの「I Am The Warlus」にどことなく似ており、途中では「Sgt.Peppers Lonely Hearts Club Band」を思わせるような部分もあり、ビートルズ好きのわたしにとっては嬉しくなっちゃうような作品なのです。
2ndアルバムから4年経っていましたが、ローランドのボーカルはその間の空白期間を全く感じさせないほど素晴らしいものでした。 元々唄がとても上手い彼ですが、この曲では80年代の総決算と言っていいような素晴らしい歌いっぷりで聴き手を「おおぉ!」と圧倒させます。
歌詞には60年代風のフレーズがたくさん使われており、80年代後期の洗練された音とちょっと懐かしいような歌詞が憎たらしいくらいマッチしています。
ミュージックビデオもとっても豪華で派手です(笑)が、音だけでもその豪華さは十分に堪能できます。
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