チョコレート革命、ロッテVIPチョコレート

1988年、お菓子メーカーロッテからVIPチョコレートが発売されました。名前がVIPと言うくらいなので、値段も一般の板チョコの2倍の200円でした。巷のOLのあいだでも大評判になり、それまではカバンの中の常備菓子ナンバー1はメントスだったのが、VIPチョコレートにその座を奪われてしまったほどです。

当時のVIPチョコレートのうたい文句は『チョコレートの製造技術上、不可能とされていた高水分原料の生クリームとチョコレートを融合することに世界で初めて成功』というものでした。それまでにもロッテはもちろん森永、明治、グリコなどでそのメーカーを代表するようなチョコレートはありましたが、触感、味ともそれほど大差はなく、VIPチョコレートが登場するまではどんぐりの背比べ状態でした。

わたしもチョコレートは昔から好きでしたので、いろいろなものを買っては食べていましたが、どちらかというとチョコそのものよりもチョコレートがコーティングしてある、ちょっと加工してある、チョコが中に入っているようなお菓子の方が好きでした。メジャーなものではグリコのポッキーや森永の小枝とかがあります。

VIPに出会うまでは、ソニープラザで売られていた西ドイツ製のチョコレートが好きでした。これは一箱300円くらいで売られており、可愛い熊の絵がチョコを包む銀紙に印刷されていました。日本のチョコレートとは食べた感じが違い、口に入れるとすーっと溶けるのです。さすが西ドイツだなあ、やっぱこれだよね、なんて訳のわからないことを言いながら食べていました。

VIPチョコレートには「VIP生クリーム」「VIP半生」「VIPスーパー生クリーム」の3種類がありました。わたしが好んで買っていたのは「生クリーム」と「半生」です。このチョコレートを初めて食べた時は「うう、なんだこれは! すごい美味しい〜〜!」と口に出してしまったほどです。口の中でほわ〜っと、する〜っと溶けていくのです。本当にこのVIPチョコレートの登場は革命的なもので、それまでの「チョコレートはこういうもの」という定義をひっくり返してしまうほどの大事件でした。

思春期以降、チョコを食べ過ぎると必ずニキビがブツブツできてしまうので、チョコの大量食いだけは避けていましたが、このチョコレートを目の前にしたらそんなことはどうでもよくなってしまいました(あとで思いっきり後悔してましたが)。板チョコを割らずにそのままガブリと食べたのは、このVIPチョコレートが最初で最後です。わたしの同期SさんはVIPにがぶりついて差し歯が取れてしまいました。ロッテが世界初の製造法で開発しただけあって本当に美味しかったのです。月末で身体も頭もクタクタになった時などは「これでエネルギー補充しよう」とか言いながら、みんなして食べていました(言いだしっぺ)。ああ、あの頃が懐かしい。。

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