MATSUDA@停戦を呼びかけよう実行委員会です。 停戦を呼びかけようというきっかけとなった、 ユニセフ、WHOのワクチン接種について、リポートをまとめました。 ワクチン停戦を呼びかけた方々への結果報告の第一弾なのかもしれません。 戦局は終盤を迎え、戦争はもう終わった、アフガニスタンの人々は 解放されたという雰囲気の報道の中、アフガニスタンは極寒期を迎え、 多くの人々が餓死、凍死の危機に直面しています。 まだ、戦争は終わっていません。 アフガニスタンだけではなく、パレスチナをはじめ、多くの場所で 武力行使によって無実の人々が犠牲になり続けています。 目を逸らさず、出来るだけ真実を求めて行きたいと願っています。 ************ 転載自由 ただし全文転載のみ可 ************ |
■■■ ワクチン停戦の真実 ■■■ 文責:松田祥世(signature@eeeweb.com) ――――――――――――――――――――――――――――― ユニセフの合言葉、《 Children is Beyond Politics 》。 <子どもへの支援は政治的配慮を超えて行われるべきである> 空爆下のアフガニスタンでは、真実、最善を尽くされたのか。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 11月6日から3日間にわたって、空爆が続くアフガニスタンで、 ユニセフ、WHOは、現地スタッフ他、4万人のボランティアを 動員し、接種対象550〜570万人のこども達へのポリオワクチンの 接種キャンペーンを実施した。 報道では、この結果について『順調だった』という表現が一般的に 使われている。 しかし、それは、真実なのだろうか。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 世界保健機関(WHO)では、ポリオ撲滅を目指し、ワクチン接種 プログラムを世界各国で行っている。 ポリオ・・・日本では根絶されたとされるいわゆる小児麻痺は、 依然として、いわゆる第三世界、30カ国で流行している。 ポリオウィルスは環境由来であるが、自然宿主はヒトのみであり、 排泄物を介して経口感染し、上下水の未発達や衛生環境の劣悪さが この病気の蔓延の理由とされている。 発症率は1000〜2000人に1人と低く、感染者のほとんどは症状を 呈さず終生免疫を獲得するが、発症した場合は高い確率で、死亡 あるいは運動神経マヒの後遺症を残す。 症状は、急激におこる、脱力性の四肢マヒ、呼吸筋マヒ。 満足な医療機関がない場合、特に致死率も高い。 ワクチンの効果が高く、医療設備の整わない場所でも比較的容易な 経口接種なので、天然痘に続いて根絶を目指している伝染病だ。 ポリオは感染力が強く、根絶のためには全世界の協力が必要だと 言われている。これは、根絶したと思われていた地域でも、難民 などの人の移動によって発生する危険性が非常に高いからだ。 ポリオには治療法がなく、予防が最良の方策で、数滴のワクチン剤 が、こどもの命を救うのである。 そして、広範囲でのワクチン接種を各地で一斉に行う全国予防接種 デー(National Immunization Days:NIDs)の実施が効果的と 言われており、現実に、近年大きな効果を発揮してきた。 内戦が続くアフガニスタンでは、2001年に5回のNIDsが予定 されていた。6年前にこのポリオ根絶プロジェクトがはじまって から、ユニセフとWHOの要請により、NIDsのための停戦が 慣習化し、特に4月17日〜19日までの接種のためには「静寂の日」 と呼ばれる休戦日が一週間も為されている。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 9月23日〜26日のNIDsは、9月11日の米国同時多発テロ事件を うけ、外国人スタッフが国外退避する中で、タリバン保健省からの 実施したいという意向もあり、550万〜570万人の5歳未満児を対象 に実施された。 この結果について、ユニセフ、アフガニスタン緊急支援プログラム 特別代表ナイジェル・フィッシャー氏は10月12日に行われた、来日 緊急報告会でこう語っている。 『9月11日以降の最も素晴らしい成果は、全国予防接種デーを実現 したことです。もともと9月の23日〜25日にかけてアフガニスタン 全土で500万人の子どもを対象にポリオの予防接種を実施すること が予定されておりましたが、これが本当に実施できるか危ぶまれて おりました。しかし、タリバン保健省からも実施したいという意向 があり、全土で多くの人を動員し、この非常に困難な状況の中で、 150万人から200万人の子どもに予防接種をすることができました。 外国人スタッフがいない中で、これは素晴らしい成果でした。』 内戦のために多くのこどもたちが、ワクチンを接種される機会を を逸した。このことは、ユニセフの責任ではない。彼らは最善を 尽くしたのだ。そして、接種プログラムは2回で1セットとなって おり、ワクチンの特性のために4〜6週間隔を置いて、もう一度接種 されなければならない。 空爆が続く困難な状況の中、ワクチンを載せたドンキーキャラバン は標高4000m級のシャー・シャリーム峠を超え、NGOなどの4万 人の現地ボランティアスタッフのサポートを受け、アフガニスタン 全土に渡り、11月6日〜8日のNIDsは実施された。 ユニセフ、WHOの停戦要請は行われなかった。 タリバン側からは要請があったにもかかわらず、国連・アナン事務 総長による軍事行動の速やかな終了を求める嘆願がすでに行われて いることを理由に、慣例化していたはずのユニセフとWHOの停戦 要請は行われなかったのだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 1996年以来、ポリオはアフガニスタンでほとんど根絶されつつあり、 これは過去数年間で得られた数少ない成果のひとつであった。 にも関わらず、今、さまざまな困難にワクチンの接種を阻まれ、 根絶されたとされていた種さえも発症の報告があがっており、流行 の兆しが医師の間では叫ばれはじめている。(*2) 爆撃を逃れ、難民として移動している多くの人々がウィルスを運び 周辺国への伝搬の危険性さえも高いのだ。 なぜ、この様なリスクを承知で、慣例化していたはずの停戦要請が アメリカに対して行われなかったのか。 当然の事ながら、停戦しないより、停戦した方がNIDsの遂行は 順調に行われるはずだ。だからこそ、今までユニセフとWHOは 「静寂の日」と呼ばれる休戦日を要請してきたのではなかったか。 空爆がはじまっていなかった9月23日〜25日のNIDsでさえ、 500万人を対象にし、接種出来たのは150万人から200万人。 空爆が続く状況下では、さらに困難だったであろうことは容易に 想像がつく。また、難民となって山岳地帯へ逃げ込んだ集落もあり、 こどもたちの行方が容易に把握出来ない状況にあろうことも同様で ある。 日本ユニセフへの電話取材でも、空爆で道路が寸断されている場所 もあり、いつ起こるかわからない空爆を気にしながらの作業という こともあり、9月のNIDsに比べ、11月は状況的に見ても、接種 出来たこどもの数はもっと少なくなっているだろうとのことだった。 しかし、報道は、順調に接種されたことをアピールした。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 日本のTVニュースでも、パキスタンに駐留している国連職員から のメッセージとして順調さがアピールされ、更に、11月9日付の ロイターは、570万人の対象児童の内、500万人の5歳以下の子供が 接種を受けたと報じたのだ。(*3) ユニセフのHPでも、順調に行われたとの印象を与える報告を掲載 している。 この矛盾を、私たちは、どのように捉えればよいのだろう。 ユニセフ、WHOの真摯な無私の行動には、心からの感動を覚える。 しかし、空爆の悪影響をぼやかしてしまう様な姿勢までも、私たち は許容すべきなのだろうか。 各国のメディアの姿勢も含め、許してしまっていいのだろうか。 ―――――――――――――――――――――――――――――― <子どもへの支援は政治的配慮を超えて行われるべきである> ユニセフの、このポリシーは、本当に最善が尽くされたのか。 政治的配慮に、こどもへの支援が犠牲になったのではなかったか。 なぜ、アメリカに対し、こどもたちの命をつなぐワクチンの接種と いう、こども達を守りたいという人類共有の思いに働きかけ、多く の人々に受け入れられ、支持を受けるはずの理由を掲げた停戦の要 請が為されなかったのか。 私たちは、見過ごしてしまっていいのだろうか。 世界には、貧困にあえぐ危機的な地域がいくつもある。 世界の多くの人々は、そのことに、あまりにも無知で無関心だ。 そして、私たちは、多くのこども達を見殺しにしているのに等しい。 国連は、その多くの場所で、多くの尊い命を救ってきた。 私たちは、そのことに感謝をするべきなのだ。 しかし、同時に、今回の出来事が象徴する問題も忘れてはならない。 ユニセフのポリシーは、100%遂行されることはなかったのだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 世界には、わずか5歳の誕生日を迎えることのできないこども達が、 1年間に270万人いる。今日も、貧困や内戦などで、7000人のこども 達が幼い命を落としていると言われている。 『先進国』において、ワクチン接種に関しては、賛否両論がある。 しかし、それは、伝染病が根絶されたに近い環境を与えられた、私 たちの傲慢さでもあるかもしれない。世界の多くの地域では、ワク チンの接種が、なん百人のこどもたちの命を奪う伝染病の流行を防 ぐ、命の綱なのだ。 戦後15年に渡り、日本もユニセフ、WHOの医療支援、食糧支援を 受けていた。その支援がなければ、私も、そしてあなたもこの世に 生を受けなかったかもしれない。 どうか、あなたの真心も、届けてほしいと心から願っています。 ※募金先一覧※ 国境なき医師団 http://www.japan.msf.org/ "世界の子どもにワクチンを"日本委員会 http://www.jcv-jp.org/home.htm 電話をするだけで300円(15人分のワクチン)の募金ができます。 どうか、あなたも、Tel:0990-588-889へダイヤルして下さい。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 引用先URL (*1) http://www.oocities.org/ceasefire_anet/news/afp1106.htm (*2) http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112501382.html (*3) http://dailynews.yahoo.com/h/nm/20011109/hl/epidemics_1.html 財団法人日本ユニセフ協会・アフガニスタン情報 http://www.unicef.or.jp/afganlist.htm# 世界保健機関(WHO)ポリオ根絶計画 http://www.c-linkage.co.jp/polio/Documents/5_polio.html *********************************************************** ** MATSUDA SACHIYO ** mailto:signature@eeeweb.com ***** *********************************************************** <緊急行動!>アフガニスタンに人道的停戦を!! 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