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2003.9.25 オーマイニュース国際欄より


アメリカ 核研究所で新種細菌兵器研究
<原子力科学者協会報> 最新号で暴露

http://www.ohmynews.com/article_view.asp?menu=c10400&no=131811&rel_no=1&searchtext=

チョン・ウクシク記者




 ブッシュ政権が、イラクで生物化学兵器などのいわゆる大量殺傷兵器開発の証拠 を捜すことができない中で、隠密に核研究所で新種の生物兵器を研究している ことが伝えられ、アメリカの二重性が再び俎上に上がった。

 著名な軍事科学専門誌である<原子力科学者協会報, Bulletin of the Atomic Scientists> 9/10月号によれば、ブッシュ政権は自主的な細菌戦能力を確保す るという名目で、人体に最も致命的な炭そ菌、ペスト菌、ボツリヌス菌などを 操作・変形・実験することができる新しい研究所を建設しているというのだ。
 もっとショッキングなことは、これらの細菌施設が、カリフォルニアに在るロ ーレンス・リバモア国立研究所とニューメキシコに在るロス・アラモス国立研 究所など、核兵器研究地域に建設されているという点だと、この雑誌は強調し た。このような理由から、協会報は、この論文の題名を「細菌と核爆弾の結 合」と付けた。

 またリバモアとロス・アラモスの両核研究所が、深刻な安全問題を抱えている ことから、これら研究所に新種の細菌研究を任せるのが妥当なのかという疑問 も提起されている。特に、新型生物兵器研究施設の建設を主導しているエネル ギー部が、環境評価をまともにしなかったという疑惑も強く提起されている実 情だ。

 9・11テロ直後、郵便を利用した炭そ菌テロが猛威をふるうなかで、ブッシュ政 権は関連予算を大幅に増額して「防御」目的の生物化学兵器プログラムを活性化 させて来た。しかし、新型研究施設が建設されている地域住民と団体たちは、 新しい細菌戦プログラムと関連して秘密裏に推進されているという点を指摘し ながら、疑惑の眼差しを向けている。

 細菌研究施設の目的及び性格、エネルギー部・国防省・国家安全保障局など関連機 関の間の協力関係など、最も基本的な情報さえ提供されていないからだ。その 上、人体と環境に致命的な悪影響を及ぼしうる細菌を扱っていながら、環境評 価がまともに成り立たなかったと<原子力科学者協会報>は強調している。
 現在アメリカには、最も危険な施設に分類される6個の'安全等級4'(BSL-4)施設 を含め、全部で30個の生物兵器研究施設が運営中か建設中であることが知られ ている。これらの施設には、炭そ菌、ペスト菌を含め、いまだに治療方法がな いエボラとマルブルクなどの細菌も取り扱われている。

 このような細菌兵器研究所が増えれば、安全事故及びテロリストの攻撃の危険 もそれだけ高くなるはずだ。また、細菌兵器を扱うことができる人々も増える ようになる。特に、2001年アメリカを恐怖のるつぼに追いこんだ炭そ菌テロの 容疑者が、転職した細菌研究所勤務者だった点を勘案すれば、安全保障を理由 として生物化学兵器の開発に拍車をかけているアメリカが、より安全になること ができるかどうかについての疑問も大きくなっている。


生物兵器禁止協約,存廃の危機に追い込まれるかも

 核兵器を管理しているアメリカのエネルギー部が、生物化学兵器プログラムに本 格的に手をつけた時点は、1997年からだ。エネルギー部は、97年、「生物化学兵 器国家安全保障プログラム」を作ったし、 9・11テロの翌年である2002年に は、前年度よりおおよそ115%増額した8700万ドルの割り当てを得て、生物化学兵 器プログラムに拍車をかけて来ている。

 アメリカ政府は、こうしたプログラムが「防御用」だと強調しているが、兵器 の属性上、防御用と攻撃用を区分するのが易しくなく、その上、最近エネルギ ー部が扱っている生物兵器が致命的な細菌であるという点で、大きな憂慮を引 き起こしている。

 これと関連して、旧ソ連で生物兵器プログラムを扱った事がある、セルゲイ・ ポポプは、「防御用と攻撃用の生物兵器プログラムの最初の研究段階は同じ だ」と言う点を強調する。すなわち、生物兵器は技術的にも物質的にも、攻撃 用と防御用では本質的に同じ属性を持つというのだ。

 このように、「大量殺傷兵器拡散防止」を最優先的な対外政策の目的に立てな がら「先制攻撃」も躊躇しないブッシュ政権が、秘密裏に致命的な細菌兵器プ ログラムを開発していることが確認されたことで、他の国々の強い反発が起き ることが予想される。ブッシュ政権は、すでに生物兵器禁止協約(BWC)の検証装 置構築交渉と関連して、自国の安全保障と企業の保護を理由に拒否した事があ る。

 これと関連して、イギリスで発行されている<軍縮と外交> 2003年2/3月号は、 アメリカ政府の報告書を引用して、 BWC遵守問題に対してアメリカ政府は、た だ国防省の生物兵器関連プログラムだけが統制を受けて、エネルギー部など他 の機関のプログラムは干渉を受けない方案を講じている、と報道した。

 最近のブッシュ政権が、国防省ではなく'エネルギー部'に莫大な予算を投入し て生物兵器プログラムに拍車をかけている理由も、このような脈絡で理解する ことができるだろう。


 (日本語訳  岡田有生)

*)<オーマイニュース>は、現在の韓国で、既成の大マスコミに劣らない影響力を持 つといわれる、独立系のインターネットメディアです。記者が社員ではなく、市民運 動家や一般の人たちの投稿のみによって成立している点に、大きな特色があります。 この記事を書いたチョン・ウクシクさんも、著名な平和運動家です。(訳者)



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