ピースとパパ憲法編

もともとは軍人じゃなくて弁護士や大学の先生をしてた人たちだったのよ。それから、さっき言った明治憲法の焼き直しみたいな草案、それこそあの時の日本ではサイコーの憲法学者を集めたのに、あんなお粗末なものしか作れなかったんだわ。大事なのは専門家かどうかってことじゃなくて洞察力のあるなしだったんじゃないかしら。ほら、パパだってカエルが鳴いてるのを見て、今日雨が降るのをピタリとあてたじゃない。さすがパパ、すてきだったわあ。

そ、そうかい？（^0^）でも、ピース、この「上諭」ってところを見てごらん。4)「朕は、日本国民の総意に基いて...帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。ギョメイギョジ」だって。ピースは民主主義だの人権だの言うけれど、ほら、この憲法、結局は明治憲法を改正したものを天皇陛下が裁可して公布しただけじゃないか。どうしてこれが国民に支持されてできた憲法だっていえるんだい？

1)幣原はその後も憲九郎の支持者でありつづけました。朝鮮戦争当時、再軍備を迫るダレス米大統領特使に対して幣原は「たとえ侵略を受けても非暴力・非協力の抵抗で対応する。侵略国だって八千万の国民全部を殺すことは不可能だ」と説いたそうです。

2)GHQ(General Headquarter:連合国軍最高司令官総司令部)

3)「松本委員会」と呼ばれる政府の憲法問題調査委員会は極秘で憲法改正案を作っていましたが、GHQは自主性を重んじる立場からなんの介入もしませんでした。しかし新聞にその内容がスクープされるや国内的にも国際的にも批判の声が上がり、時間的に余裕がなかったこともあって、GHQは自らの草案を示して政府に言いました：
「これを押しつける意思はないが、これが国際水準の最低線だろう。あなた方も天皇制を維持したいというならばせめてこの程度の民主憲法草案を用意してもらいたい。どうしても嫌ならそれはそれでよいが、そのときは政府案とGHQ案の両方を国民に示し、最後は国民投票で決めてもらおう。」国民投票にかかればGHQ案が選ばれるのは確実で、そうなると政府も倒されてしまうわけですから、日本政府（選挙で選ばれていたわけではありません）は保身のためにしぶしぶGHQの草案を受け入れました。

4)上諭=明治憲法（大日本帝国憲法）のもとで、天皇が法令を公布するときに附される文書。日本国憲法は明治憲法73条の改正手続きに従って制定されたので上諭がついています。本当はわざわざこんな手続きをとる必要はなかったけれど、敗戦後の大混乱の中でこのように旧憲法とのつながりを強調してみせたことは、人々に安心感を与えるという意味でそれなりに賢いやり方だった、という見方をとる人が多いようです。