Isabel Harter, Tottori 2002
最近「まちづくり」という言葉がよく使われます。
私はこれはまちを面白くにぎやかにすることだと思います。
ドイツのまちの中で一番にぎやかなところはどこかご存知ですか?
これは朝市が行われる中央広場です。今回は姉妹都市のハーナウ市を例にして、
ドイツの朝市がどんなものかを紹介したいと思います。
中世のヨーロッパでは、市役所の前には、たいてい大きな広場がありました。
ここには、市民が集まって、祭りをしたり、また、商売や政治の場でもありました。
ご存知のように、死刑を執行したり、市長が市民に話しかけたりもしました。
ハーナウ市では、毎週水曜日と土曜日に朝7時から13時まで市が立ちます。
その時には地方の農家や商人が集まって約100店が出店し、自分が作った商品を売っています。
その中には有機栽培農家や、大規模経営農家もいます。商品も、地方の果物や野菜、
手作りパン、蜂蜜、酒、ハーブなど多種多様です。
チーズ屋さん、肉屋さん、魚屋さん、花屋さんなども出店します。
ハーナウ市には外国の方も多く住んでいるので(人口の約20%)、イタリア人、トルコ人、
ギリシャ人の店もあります。おいしいつけもや地中海の珍しいワイン、
オリーブオイルなども買うことができます。
ハーナウ市のホテルやレストランの料理人は、たいてい朝早く市場に行って、
一番新鮮な食材を買います。
12時を過ぎると、売り手は大きな声でそれまで残っている商品を安く売ってくれるので、
広場はとてもにぎやかになります。
ハーナウ市の市役所前広場は、朝市場だけではなく、市民のための祭りやパーティーなど
のイベントにも使われます。例えば、今年8月30日には、ハーナウ市生まれのルディ・フェラー(
ドイツサッカー代表チーム監督)がその活躍(ワールドカップ準優勝)
によりハーナウ市から名誉市民の称号を与えられました。これを祝うため、
市役所前広場に2500〜5000人のファンが集まって、サッカーパーティーが催されました。
大型スクリーンでワールドカップのハイライトシーンを映したり、ライブ、ショーイベント
なども行われました。フェラー監督は市役所のベランダから大勢のファンに向かって、
感謝の気持ちを述べました。
このように、ドイツのまちの中央広場は市民の憩いの場であり、生活の場であり、
にぎわいの場でもあります。日本でいう「まちづくり」の中心となっているのです。
鳥取駅の前にも大きな広場がありますが、あそこでもいろいろなイベントができると思います。
一回「日曜日朝市」をしてみたらいかがでしょうか。