Sky over the sea of fleece


"オレだけど"
"お前どこにいるんだよ。...生きてんのか"
数分前にライトをつけた。6時過ぎ、辺りは完全に暗くなりいよいよ足もとが見えなくなってきたからだ。
"6合目を過ぎた辺りで、そちらに向かってそろそろトラバースする。他の連中は?"
"何やってんだよ。 あいつらは6合目辺りにいるらしい。"
"まだ着いてないのか。"
<遅いな。でも6合目か、ならなんとかなるかな>
"......"
"俺ら大丈夫だから、また連絡する。そっち、なんかあったら連絡頂戴。申し訳ない。"
"おう。"

<とりあえず下るか。 道は一本しかない。 右にそれ過ぎたようだ。>
"電話がつながってよかったね。"
"もう少し下れば左に入っていく道があるはずだから"
<違う下山道を下ってるなんていえない>
"左側注意しといてトラバースする道があるはずだから"
<中腹を周回する道があるはずだ>


2001.10.6 富士登山
<登山>
天気快晴、気温最適、絶好の登山条件。
男5、女4、計9名挑戦
3名=8合目まで;6名=登頂(そのうち3名=剣ヶ峰(日本最高峰)到達+噴火口1周)
<下山>
3名=5時前河口湖口5合目着;3名=6合目遭難、10時河口湖口5合目着;3名=誤下山道を迷下山、7時遭難回避須走り口五合目着
<宿泊>
6名=河口湖5合目登山口山小屋泊;3名=山中湖民宿泊


信仰の山といわれる富士に今回はいろいろとご教授をしていただいた。教科書や本では学べないことを旅、冒険、歩き、スポーツ、、、等といろいろな実経験で学び、そして独創的な(特異な)人間として成長していくことができる、といつも感じている。今回の富士登山も楽しく、興奮し、最高の時を過ごすことが出来た。そして、またカッコウ良くなったのではないかと我ながら勝手に喜んでいる。ただ、今回はいつものように自分ひとりの勝手気ままな行動ではなく、他の仲間達を自分の気まぐれなストーリーの中に巻き込んでしまい大変迷惑をかけたと反省している。しかし、人それぞれいろいろと感じたのではないだろうか。2時間登り始めるのが遅れた以外、登山行程はあまりにも思い描いていたプランどおりに進んでいき気持ち悪いくらいだった。しかし、結果的にはそのあとのことの方が印象に残ることになってしまい、、、、 

だけど、、、

上を見ると空は青く、空気はやさしく冷たい。
登り始めたときの、工事の音はしだいになくなり、変わらない登山道もなんとなく工事現場から山の岩道へと自分の中で自然に変貌していく。
上に向かっていく。 
ただ上にさらに上を目指して。 
息が苦しく、耳になんとなく心臓の音が伝わってくる。
ジンジンする。
立止まり、
静かに光を口から頭に吸い込んだ時、
ふと目の前が明るくなり、
あたり一面に真っ白な海が広がる。
他に何も下に見えない。 
遠くに白と青の間に深いブルーが活きている。 

静かだな。 
人の音がしない。
人がかかわる音がしない。
今このとき日本でこの高さより高い地に立っている人は自分と他に数えられる程の人しかいない。 
自然の何かが聞こえる。 
静かに。 


2001.10.7-8 丹沢
各方面より18名キャンプ

椅子にもたれ空を見上げる。
どれぐらい経っているのだろうか。 
月はもう頭上を越えている。
冷たい空気の中に星が浮いている。 
音がない。 
あるのかもしれない。 
ボーと空の海を見つづける。 
どことなく。
あきない。 
好きなんだな、この無意味な時の空間が。 
感謝。
“おい、、”
まだ自分以外にも起きているんだ。
午前4時過ぎか。 
なんか引き戻された感じだ。 
ありがたい。
涙が出なくてすんだ。 


なんか忘れ物をまたしたような気がする。 また登りにいってみようか。 

ちゃんとしたストーリとしてこれを書きあげたい、でも時は動いているんだよな。 何か書いていると次から次に楽しいことが起きてくる。 結局多くが続くのまま止まっている。 

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2001.10.27-28 富士山単独登山

22:10 富士吉田駅着
22:30 駅近くローソン発
00:15 中ノ茶屋(浅間神社より途中迷う)
01:25 馬返し(吉田口登山道入り口)
01:45 1合目
02:20 2合目
03:10 3合目(2合目より途中迷う)
03:45 4号目
04:02 5合目
04:42 5合目標識
04:48 佐藤小屋?(入り口前寒暖計0℃)
05:33 6合目
07:12 7合目東洋館
08:33 本8合目(7合目半ば過ぎより雨から霙、そして雪の吹雪へ)
09:16 9合目
09:46 頂上(剣ヶ峰への火口周り断念。5分と滞在せず即下山)
12:00 河口湖5合目入り口駐車場

今月10/6の富士登山からなんかいろいろと気になっていた。
土曜日午前の仕事が終わり、今日がやっぱり最後のチャンスかな、冬山の富士を登る前の。なんか頭の中もいろいろとモヤモヤしていて整理しなきゃならないようだし。そう思うと家に帰り、軽く仮眠をとり、8時過ぎの山中湖行きの最終高速バスにのるために新宿に向かった。

夜中からヘッドランプをつけて14時間歩き続けた。途中休みながら寝たりもしたが、時間にしたら1,2分程度。これだけ続けて歩いたのはおそらく四国遍路のときでもなかったのではないだろうか。
疲れた。
今は左足に異常な痛みが生じビッコをひかなければ歩けない状態だが、頭のなかのモヤモヤも整理され、今はこれももう過去のものとなっている。あの時の下山遭難のこともなんとなく自分の中で整理がついてきた。
“なんで道がなくなったのだろうか”、“なんで佐藤小屋まで降りてしまったのだろうか”、“トイレはどうだったのだろうか”、“5合目と6合目のルート関係は”、“須走り口下山と吉田口下山の分岐点は”、などなど。
しかし、まだわからないこともいくつかあり、また行こうと。“佐藤小屋のカレーライスの味”、“下山道で間違えた場合の他のトラバース道の可能性”、などである。

やっぱり富士山はすごいです。本当に好きになりそうです。 
剣ヶ峰の最高峰を前回到達しても、なんか忘れ物をしていると気になっていた。
それがふと先週、あっそっか、下から登っていないんだ、と、、、0から10合目まで。
しかし、今回も一番下までは降りることができなかった。 
すごい山です、恐い山です。突風、落石、雨、霙、雪などの自然の驚異。そして、その環境によって唯一感じる孤独。

また寝ずに仕事に打ち込めそうです。 生き急ぐのもいいかなぁと。 

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2002.9.15.

富士登山は、昨年に2回、その前に1回、そして今年と計4回目。
得られるものは特に‘達成感’かな。特にきれいな山を歩くということではないけれど、雲の上を歩きそこから見える景色は、、なんだろう、、いいんだよね...晴れてても、曇ってても、雨降ってても、雪降ってても。
それにその時日本で自分より高いところに立っている人はいないと思うとちょっとうれしかったりして、、バカですね。
今回の富士登山は朝4時前後から登り始め、昼にはゆっくり降りてこれた。上は運良くガスってなく雲海が見渡すこと出来、爽快。
でも寒かった。登った日の夜に初雪の観測があったらしく、納得。
それでも例年より10日程遅かったらしい。その一週間後に初冠雪。




山内潤一郎