カップヌードル


海外に旅行で出かけたりあるいは住んでいると、日本食が無性に食べたくなるときがある。人間、親しんでいるものがないと欲しくなるものである。
無いものねだり。
ちょっとした短い旅行でさえも、なぜか日本食が急に食べたくなる人がいるらしい。

そんなとき、海外に簡単に持っていける携帯食としてはカップヌードルがあげられる。
でも、わざわざ持って行かなくても、カップヌードルは世界の主な先進国ではすでに浸透して売られているよな気もする。しかし、もしみつからなかったら、突然発作が起きる人には大変である。実際に、海外の小さなスーパーではカップラーメンを売っていないことは多々ある。そうなると、真剣に探し回らなければならない。観光どころではない。
また、各国で売っているカップラーメンはその国ごとの特色がある。その国独特の香辛料の匂いがして、場合によってはクサイと感じることも。それならばなおさら、慣れた味を携帯する必要があるだろう。
最近はわりと韓国などのアジア各国のカップラーメンが日本輸入され、いろいろなところでみかけられるようになった。韓国のは「辛らーめん(しんラーメン)」などの檄辛系である。「辛ラーメン」はカップ入りと袋入りがあり、とにかくものすごく辛いらしい。
その韓国なんかでは、食堂でもインスタントラーメンが食べられるそうだ。これはいいのだかどうだか疑問なところである。少なくても自分の場合は嫌だ。食堂でインスタントラーメンの袋を開けられるとかなりむなしくなる。オーストラリアで韓国系の定食屋でラーメンを注文したら、自分の席の後ろに積まれてある箱の中からインスタントラーメンを取り出し、料理をし始めた。久しぶりに外で食事と思って、奮発したのだが、それが家でたまに食べるインスタントラーメンである。かなりがっかりした。それ以来、そこの食堂には行かなくなった...。でも、はじめから韓国でそういう風習があるのを知っていれば、ラーメンを注文しなかったのだが。

最近はカップラーメンならぬカップ茶漬けなども売っているらしい。自分はまだ試したことがない。近々トライしてみたい。
ただ、アルミ袋に入っている乾燥米にお湯をかけて食べる携帯ご飯は食べたことがある。昔は余ったご飯を干して乾燥させておき、これを干し飯(ほしいい)と言い、旅の時などは竹筒に入れてもって歩いていたそうだ。お湯でなくても水でも元に戻るので、非常食として大変重宝する。現代のは日持ちがよいようにアルミパックなどに入っている。
自分は小笠原の父島に行ったときに、台風に会い、避難所でこのアルミパック入りの乾燥米を非常食としていただいた。みためはレトルト食品のようである。登山用の食事や地震などに備えた非常食として持っていると便利である。もちろん海外旅行の際の非常食としても使える。空港のコンビニエンストアーでも売っているそうだ。
ただ、海外にカップ茶漬けやレトルト乾燥米を持っていくときは気をつけたほうがいいかもしれない。宿泊先の女将さんに「なんでご飯にお湯をかけるんだ!」って騒がれ、間単にお湯を入れてもらえないかもしれないので。そりゃぁ、今まで自分が常識と思っていたことと違うことをされると驚かれるのも当然かもしれない。だって、ご飯はお米に水を入れて炊いてできたものなのだから、それにさらにお湯を入れて食べるなんて、そういう文化の無い人は考えつかないだろう。しいて例えれば、パスタにお湯を入れるようなものかもしれない。

そういう意味でカップラーメンを海外に初めて紹介した人はすごい。相当大変だったことだろう。
某メーカーが、アメリカにインスタントラーメンを売りこみに行った時、どんぶりが無く、マグカップに入れて作って紹介したのが、カップヌードルの始まりだそうだ。
それから、そのカップヌードルの市民権を得るために様々な工夫と戦略が進められた。その一つにカップヌードルの底が空洞になっている。それは、3分で乾燥麺を戻す為の秘策といわれている。
そのカップヌードルのお湯を入れてから3分というのは、日本人にとって長くもなく短くもなくちょうど良い時間ということから決められたようだ。つまり、人間(特に日本人)が何かをする時に待てる限界が3分ということらしい。それ以上長いとイライラしてだめなようだ。日本人はせっかちなのだろう。短くもなく長くもなくという曖昧な3分という数値を、メーカーの人が統計的に処理でもしたのかどうか、どのようにして得たかは不明である。でも、この3分という時間に他の多くのカップラーメンも追随していることから、クレームのない適切な時間ということが伺える。そう考えると、カップヌードルを開発した人たちは本当にクリエイティブな人だと思える。まさにパイオニアだ。

なんだか、世界中のカップヌードルを制覇してみたくなる。


山内潤一郎


参考サイト
http://cupnoodle.jp/cn_library/secret/main03.html