予備カード
ボクシングの世界ダブルタイトルマッチを有明でみてきた。
友人がボクシング・ジムでトレーナーをしており、招待券があるとのことで当日誘われた。
家に引きこもっている感があったので丁度よかった。
前座試合は午後の15時頃から始まっていたが、我々は17時過ぎくらいの8回戦からのんびりと観戦し始めた。
ボクシングでは、4回戦、6回戦、8回戦、10回戦、12回戦と実力別に試合回数が決まっているが、KOなどによって時間通りに終わらないことがしばしばある。
しかし、世界戦にもなると大抵テレビ放映があり、そのために時間調整をしなければならない。
そこで、予備カードというのがメインの前に時間調整で行うことができるように組まれている。もし、すべて判定で時間いっぱいいっぱいで進んでいる時は、メインが終わった後に消化試合のように行われる。
今日は試合が早く進んでいるため、メインの前に予備カードが行われた。
どうもその試合が印象に残っている。
青コーナー
1972年4月生まれ、32歳。
2戦1勝(1KO)1敗
関西でタクシードライバーをしながらボクシングをしている。
今日、この予備カードのために関西から東京にきた。
<彼はなぜ30歳を超えてからプロのボクサーになったのだろう。>
日本では30歳以上の人はプロテストを受けることができない、プロボクサーになれない。
なんで30歳を超えるとプロボクサーになってはいけないのだろうか。
何のためのフィジカルテストとペーパーテストなのだろうか。
テストをして、生理学的・肉体的年齢や、ボクシング知識をそれぞれチェックしているのではないだろうか。
おそらくこのような怠慢なルールを設けているのは日本ぐらいだろう。
彼はその理不尽なルールーのギリギリの制限に間に合い、プロになった。
何かはわからないが彼なりに何かを求めて戦っている。
いや、彼は新しい世界に挑戦し始めたのかもしれない、
多くのプロボクサーが引退する時期に。
試合は1ラウンドか2ラウンドTKO負け。
<まだまだやれた。なんで止めたんだ。>
彼の声が聞こええる。
確かに手を出さずに甲羅になっていたが、戦意は喪失していなかった。
相手は19歳の新人。
血気盛んに突っ込んでくる。
打ち疲れたところで、反撃するつもりだった。
32、年齢がダメなのか。
<まだまだやれる。今度は予備カードではなく。>
短い時間だった。
でもなんか長く、疲れた。
その後の世界戦は、虚しく、寂しかった。
眠ってしまった。
晴れやかな評価。
人はそれを期待して戦う。
太平の勝利を祝うがため、
しっかり戦う。
後はただ上を向いてピースをする。
2005.1.3.
山内潤一郎