ハレのちグゥ
医者の患者
その娘に初めて会ったのは、
当時俺が研修で入っていた病院でだった。
その娘は小麦色の肌と短く切りそろえた艶やかな黒髪を持っていて、
ベッドの上に横たわっていた。
「えと…担当させて頂くクライヴと申します」
「…随分と若い先生でいらっしゃいますね…」
病室に入った瞬間、
ベッドの傍に立った少年が睨みつけてくる。
「ああ、こちらは若いですけれど非常に優秀な先生で、
私たちも大変期待しておるものです」
優秀?期待?よく言ったもんだ。
カルテを見て思った。
ほとんど只の風邪である。
身体はあんまり強くないらしく、
ちょっとしたことですぐ熱が出る。
だがそれだけだ。
特別な技術も難しい知識も要らない。
ほとんど入院する必要も無いぐらいだ。
「聞いた?特別室の患者、物凄い大金持ちの家なんですって」
「随分と多額の寄付が入ったそうよ。院長先生ウキウキしてらしたもん」
看護婦の噂話が聞こえる。
成る程、金のある親馬鹿は度し難いものだ。
☆ ★ ☆
「検査の結果、他に重大な疾患は見つかりませんでしたので、
投薬は続けますが控えめにして…」
なんだ?
あの娘がこちらの顔を見つめている。
やりにくいな…
☆ ★ ☆
定期診察の為、特別室におもむく。
「ね、ね、ベルもそう思わない?」
「いいえ、思いません。
顔はいいかもしれませんが、
性格は悪いに決まっています」
「え?でも優しいわよ」
「見せかけです」
俺の話か…
「失礼します」
☆ ★ ☆
「では胸を出してください」
「あ…あのお嬢様私は…」
さっきの少年が室外に逃げ出す。
「は…はい…」
なんで顔を赤らめる…
目の前に広がったなだらかな丘陵に聴診器を這わせる。
でも…綺麗な肌だな。
柔らかくて絹のようにすべりがいい。
そのくせ…
ああ、何を考えているんだ。
患者だぞ。
でもこの娘が顔を赤らめたりするから…
「結構です」
そそくさと胸をしまう少女。
「具合はどうですか?」
「あの…なんか良くなってきました…」
「それは良かったですね」
此方が笑いかけると、
少女は恥じらいながらも微笑み返してきた。
☆ ★ ☆
「人形みたいで可愛かったな…」
この間から診察の際に見た彼女の肌が、
なぜか夢に出てくる。
そして彼女の微笑みも。
「彼女気があるのかな…」
あっても…
手を出したらクビなのは間違いない。
まぁもうすぐ退院だ。
そうすればまた忙しい日常にまぎれて、
彼女なんか忘れるだろう。
そうだ…何よりも…
「このままではロリコンになってしまう…」
それは重大な問題であった。
☆ ★ ☆
三日後、彼女は退院していった。
退院する際に何か言いたそうにしていたが、
結局「ありがとうございました…」とだけ言った。
この間の感じの悪い少年ともう一人彫りの深い少年がやってきて、
彼女をつれて帰って行く。
これで縁も切れただろ…
そう思って彼女のことは忘れることにした。
☆ ★ ☆
「ああ、クライヴくん。
また頼むよ。あと今度は専属で頼む」
は?
聞けば彼女はまた具合を悪くして入院するらしい。
しかも先方の希望で顔見知りの担当者(つまり俺だ)をつけることになった。
…縁があるのかな…
でも良く考えれば別に偶然でもない。
熟練の医者を重病でもない患者に専属でつけるわけには行かないから、
他に選択肢がないのだろう。
☆ ★ ☆
「またよろしくお願いします」
「…わたしこそ…よろしくおねがいします…」
消え入りそうな声で言う少女。
熱があることもあるだろうが、
…なんでこんなに可愛いんだろう…
☆ ★ ☆
どうやらロリコンになってしまったらしい。
でもまぁ…
自分だってそう歳は食ってないし、
年齢差だって言うほどには…
と言い訳はしてみる。
だが…毎日彼女のデータを扱ううちに、
何か彼女が自分だけのものになったような気分になってきた。
☆ ★ ☆
「随分と良くなりましたね」
「…は…はい、ありがとうございます…」
彼女はまた元気になった。
すると笑顔が明るくなってくる。
自分の力で彼女にそれを取り戻せたのだと思うと、
なぜか誇らしくなった。
内気なのは変わらないが、
こちらを見て微笑みかけてくれるようになった。
自然無駄話などもできるようになる。
暇を見つけては彼女の病室に行って、
話をするようになった。
☆ ★ ☆
「それでアシオとベルが…」
彼女はいろいろ話してくれた。
両親と兄さん姉さんがいて自分が末っこだとか、
家には使用人が36人いるとか。
「ところで…もう退院ですね」
「……」
彼女の笑顔が曇る。
「…嬉しくありませんか?」
「え…いえ…そんなことは…でも…」
困った表情をする彼女。
そんな表情をされると…
「もっと喜んでいただけないと。
貴女を元気にするために頑張ってきたのですから。
…でも…」
ダメだ言うな。
「本当は退院してほしくないんですけどね」
「え?」
「えと…医者失格だな…こんなこと言って…
だけど…」
彼女の手を握る。
「あ…あの…」
「患者に恋をするぐらいは許されてますよね…」
彼女の顔が真っ赤に爆発した。
「え…あ…だけど…そんな…」
もはや何を言っていいか分からないらしい。
うつむいてしまった彼女を追いかけるように身を乗り出す。
☆ ★ ☆
そして先生の顔があたしの顔のすぐ前まできた。
ヘビに睨まれたカエルのようにあたしは動けない。
先生の顔を見ることが出来なくて目を閉じた。
柔らかいものがあたしの唇に触れる。
「…!!!」
キス…
先生の手が背中にまわる。
そしてあたしは優しく抱きしめられる。
あたたかい…
それしか考えられない。
さっきからあたしの頭は何かで一杯だ。
その温かさに身を任せてしまった。
☆ ★ ☆
(お…脈あり?!)
彼女が体重をかけてきたのを抱きとめた。
やさしく甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
彼女の背中をなで上げる。
シルクの寝間着の手触りを通して、
彼女の体温が伝わる。
もう止まらない。
☆ ★ ☆
ぷち…ぷち…ぷち…
「え…先生…せんせ…っ!」
上半身を脱がされたことに気が付いた彼女が、
俺を呼ぶ。
その口をキスで塞いで、手を胸に這わせた。
なだらかなふくらみを手で包み、
感触を楽しむ。
「…んーっ!!」
彼女が何かを言いたそうにするが、
気付かないふりをして舌を入れた。
「んっ!!」
くちゅ…ちゅく…むにゅ…
舌で舌をなで上げ、歯を愛撫する。
もういちど舌を絞り上げ、
唾液を吸い取る。
「ぷはっ…はぁ…はぁ…はぁ…」
息が荒い彼女をベッドに横たえると、
彼女の下半身を剥いでいく。
ちいさな胸が息をするたびに上下する。
そしてそれが一瞬凍りついた。
「あっ…先生!!…っ!!!」
下着を剥ぎ取ると、
薄く毛で覆われた彼女の秘所があらわになった。
そこに顔を埋める。
ちゅく…ちゅむ…れろ…
割れ目にそって舌を上下させつつ、
彼女の核を捜す。
舌先がそれらしきものを見つけたので、
皮の上から舌で撫で転がす。
「っ!!…ぁ!!!…んっ!!!」
彼女は執拗な舌の愛撫に、
声にならない叫びをあげ、
身体を震わせる。
ちゅむ…
指を唾液で湿らせ、
彼女の秘所を触診する。
まだ熟してはいない青いそこは、
すでに唾液とそれではない液体でぬるぬるになっていた。
☆ ★ ☆
自分のものをあてがう。
「せ…先生…そ…それは…」
感情が高ぶりすぎて目に涙を溜めた少女が何かを言おうとする。
「ウェダちゃん…」
ビクッ!!
名前を呼ばれて反応する少女。
「僕のこと嫌い?」
…顔を左右に振る少女。
「だったら少し我慢してね…」
彼女にキスをすると、自分自身を突き入れた。
ずぬ゛っ…
「っ!!!!!!!!」
目が大きく見開かれる。
口を塞いでいなかったら叫んでいたかもしれない。
それでも彼女の膣内は狭いながらも十分なぬめりけで、
俺のものを飲み込んでいった。
「はっ…全部っ…入った…」
彼女の膣内は熱く、そして締め付けてきていた。
少しでも気を抜けば暴発してしまいそうになる。
ふと彼女の顔を見ると、
ふるふると震えながら何かに耐えていた。
☆ ★ ☆
しばらくそのまま彼女を抱いていた。
耐え切れないのか股間のものがビクビクと律動する。
そのうち、彼女の息がすこし落ち着いてきた。
繋がったままキスをする。
口から、喉、鎖骨、胸、そして乳首へと、
キスをしながら舌を這わせてゆく。
再び彼女の息が荒くなってきた。
しかしこんどは先ほどのような追い詰められた息ではなく、
すこし甘い吐息になってきた。
感じてるのかな…
「…うごくよ…」
あまり早く動かすと破裂しそうになるから、
ゆっくりと腰を動かす。
ずにゅ…ずにゅる…にゅる…
「あっ…あぅ…っ!!…ぅう…」
彼女の吐息に声が混じってきた。
搾り取られるような快感が上り詰めてくる。
必死に目を閉じながら、
痛みと快感に耐える彼女の顔を見て…
腰の動きが早まってくる。
「あっ…ダメだっ…出そうっ…」
引き抜こうとした瞬間、
それは膣内で暴発した。
思わず腰を押し付けて、
最後の一滴まで彼女に注ぐ。
引き抜くと精液と愛液の入り混じった液体に、
うっすらと血がにじんでいた。
☆ ★ ☆
「それではお大事に…」
翌日。
また二人の少年が来て、彼女を連れ帰っていった。
彼女は終日おどおどしていて、
辛うじて別れの挨拶だけは出来た。
☆ ★ ☆
それからしばらくは、覚悟していた。
ばれたら病院にもいられないし、
医者も続けられないだろう。
だから辞表だけは用意してあった。
そしてもし出来てしまっていたら、
結婚してでも責任を取ろうと思っていた。
だけど、何もなかった。
追いかけていこうにも医者ですらない貧乏人では何もできない。
病院での研修期間を終えた俺は、
大学へ戻ることにした。
☆ ★ ☆
しばらくして、
妊娠したのが父に知れた。
父はあたしを問い詰めたが、
あたしは何も言わなかった。
母は何かを言いたそうに、
じっとあたしを見つめているだけだった。
それが、あのときのあたしとかぶった。
あたしもあのとき、言うべきことを言えなかったから。
人形みたいに人がすることに流されるだけ。
だから彼に全部押し付けようとは思わない。
伝わらなかったのだから。
自分の意志を示せなかったのだから。
それに…今は彼のことを考えたくない。
父に勘当された。
大丈夫、あたしにはこの子がいるから。
これからは思ったことはすぐ言おう
言わないで人にわかってもらおうなんて思わない。
こうやって生きていけば、
すくなくとも後悔はしなくなる。
それに…この子が生まれることを後悔なんてしたくないから。
自分に正直に生きよう。
戻る
Page written by Eque Somatoya
Novels written by Souma Toriya