魔術師オーフェンはぐれ旅
プレオーフェン牙の塔における最強教室の美について、およびそれに関する投票
<<牙の塔>> 1)世界図塔の別名 2)タフレム市に存在する魔術士養成所 3)上記施設に関連するものの総称 ☆ ★ ☆ この言葉の第二義、魔術養成所である牙の塔には食堂がある。 人間が居住している以上当然だが。 とするとそこで食事をしている人間もいるわけだ。 今日のメニューはマッシュポテトとミンチ肉のグレービーソースがけ。 キリランシェロは別にそのメニューに文句があるわけではなかったが… 罪のないマッシュポテトをぐにぐにと潰していた。 キリランシェロは黒髪黒目で黒いローブを羽織ってはいるが、 少年らしくすべすべした白い肌と穏やかそうな容貌の少年である。 その彼は端的に言えばちょっと退屈である。 詳しく言えばあと三時間だけ自由時間があって、 そのあとはチャイルドマン教師との個人訓練があるのだ。 その訓練のあとは大抵動けなくなっているので、 今は貴重なひとときである。 だが彼は退屈であった。 とりあえずなぜ退屈なのか考えてみる。 ハーティアは珍しく彼女と上手く言っているらしいから 文句を言いに来ないし、また相談を持ち掛けもしない。 コミクロンは三日ほど前に人造人間36号とやらを撃破したので 今ごろは37号に取り掛かっているはずだ。 コルゴンは特殊任務だそうだけど… ちかごろキリランシェロは彼が方向音痴ではないかと疑い始めている。 チャイルドマン教師は…時間になるまで会うことはないし、 当然自分に構って来たりは…あんまりしない。 フォルテは論外だ。彼が自分を騒がしくするようなことがあれば、 世界の終る時だろう。 ここまで考えてみると、自分に迷惑を及ぼして、 時間を浪費させる人物はとりあえずいないようだ。 キリランシェロはほっとした。 しかしだからと言ってこの貴重な時間を何に費やすかはちょっと考え付かなかった。 新聞は…係りの時間に読める。 会いたい恋人は…いない。 小説でも読むか…持ってない。 ピアノ… 愁眉を開いたキリランシェロが一つ手を叩く。 「あ、そうか。ピアノでも久しぶりに…」 「ピアノがどうかしたの?」 身体が大きく震えたのが自分でも分かる。 話し掛けた人物はあからさまに変な表情をする。 なんで彼が震えたのか分からないらしい。 「や・ぁ…アザリィー」 「今日は、キリランシェロ」 アザリーと呼ばれた女性はキリランシェロより二つ三つ年上に見える。 そのブラウンの双眸で一つ微笑むと、キリランシェロの隣に腰掛けた。 同じく黒いローブを纏った彼女は、 白身魚のフライとミックスドベジタブルを載せたトレイをテーブルに置く。 そしてキリランシェロのトレイを見ると、憤慨したように言った。 「あっ、お肉あるんじゃないの…文句言ってくるわ」 「無駄よ…もう品切れなのよ、また明日ね」 「あ、ティッシも来たんだ…」 長い黒髪を垂らした女性…アザリーよりもちょっとだけ年嵩だ、 はキリランシェロ達とまったく同じローブを着ていた。 上級魔術士の称号のこのローブは動きにくいし、うざったいのだが、 とりあえず他に着るべき適当な服もないので着ていると言った状態だ。 まさか牙の塔でパーティドレスを着て歩くわけにも行かない。 レティシャは愛称のティッシで呼ばれたことを気にもせずにテーブルに腰掛けた。 ちょうどアザリーの反対側でキリランシェロを挟むような格好になる。 レティシャとアザリーとキリランシェロは姉弟だ。 血縁の上では赤の他人なのだが、 精神的には並のきょうだいよりもつながりは強い。 (はずなんだけどな…) キリランシェロはこの間の惨事を思い出してぞっとしない気分だった。 この二人は仲が悪いわけではないのだが、 たまに本物の姉妹も出来ないような姉妹喧嘩をするのだ。 この間と言うのは、ミスコンでこの2人が張り合った時だ。 性差廃絶主義の牙の塔でミスコンと言うのも変なものだが、 図らずも参加することになったこの二人の所為で、 トーナメントの参加者に怪我人が続出したのだ。 ちなみに脈絡がないようだが、筋はきちんと通っている。 「さっきから誰に喋ってるの?」 「えっ?」 「そうよ、さっきからなんか変よ?」 「え〜と…」 決まり悪そうな顔でなんと言おうか考えるキリランシェロ。 「くす…変な子ね」 「そうね、この子昔からそういう所あったわね〜」 「そう言えば四年前…」 キリランシェロの昔話を始める二人。 まったく和やかに歓談している。 (こうしているととても喧嘩しそうにないのに) キリランシェロが外見と中身の関連性と詐欺の成功率についてつらつらと考えていると、 少し離れたテーブルで女の子がこけた。 「キャアッ!!」 『大丈夫かっ!!』 どうやらスープをこぼしたみたいで、 あたり一面に具と汁が散乱している。 即座に周囲から男子があつまって世話を焼き始める。 「…何あれ…」 アザリーが嫌悪感を露わにして言う。 男子に助けてもらおうというのが見え見えだ。 というのだろう。 しかしその時の僕はそれに気がつかずに、うかつなことを口走ってしまった。 「ああ、あれは…サディ教室のクレイじゃないの? けっこう美人だって噂になってる…」 「ふーん…」 レティシャも彼女が気に入らないのだろう。 軽蔑したような目をしている。 そのレティシャにアザリーが話し掛けた。 「あのね、ティッシ。私思うのよ」 「あら?アザリーも?私も考えていたことがあったんだけど…」 二人は同時に声を発した。 『絶対私の方が綺麗よね』 ピシッ… 空気が割れる。 二人ともにこやかなのが心底恐ろしい。 「なに?まだ懲りてないの?」 「アザリーこそ…蒸し返したりしてなんの積もりなの?」 とりあえずキリランシェロは気付かれないように逃げ出した。 ☆ ★ ☆ 本棚には本が積まれている。 つまり本来の用途だ。 机には椅子がついていて、椅子には長髪を束ねたローブの男が座っていた。 つまり本来の用途だ。 その男、つまりチャイルドマン教師がうんざりしたように言った。 「つまり…君たちは私に君たちの姉妹喧嘩の原因を提供しろ… そう言っているのかね?」 「いえ、冷静かつ公正な立場より確実性の高い意見を頂きたいと考えているだけです」 アザリーが言う。 この姉妹は幾ら言い合いをしても不毛だったので、 他人の意見を仰ぐことにしたのだ。 チャイルドマン教室の現存する男子5名(含む教師)のうち、 より多数の票を得た方がより美しいということになった 。 「…私は…新たに『塔』の物理的崩壊を招くような行動は慎みたいと考えている。」 「しかし先生がきちんと判定して下されば問題はないのでは?」 レティシャが口を挟む。 「私がどちらかに有利な判定を下しても絶対もう一人から文句が出るだろう? …それではキリランシェロの訓練があるからこれまでだ。」 バタン 扉が閉る。 廊下を歩きながらアザリーが喋り出した。 「とりあえず先生の票は私のものね」 「なんでよっ!!」 即座に抗議するレティシャ。 「あら〜…分かるでしょ?いわせる気?」 「…言っときますけど…あと四人もいるんですからね!」 ☆ ★ ☆ 「私は先生と同意見だな、 これでどちらかに荷担して『塔』破壊者の汚名を甘受したくはない」 フォルテは書類整理を進めながら、振り向きもせずに言った。 「先生もあなたも…いい加減失礼ね。 アザリーはともかく、なんで私が『塔』を破壊するのよ」 「あ〜っ、酷い!ティッシだってこのあいだコミクロン達を制裁した時に 教室周辺50メートルに渡って焦土にしたじゃないの!」 「まぁ…それは置いておいてだ。バラもシャクナゲも美しい花だ。 そして両方とも別の美しさで、上下はない」 書類をテーブルにとんとんと叩き付けると、 フォルテは立ち上がる。 ギィッ… 教室のドアを開けて、不満そうな二人を置いて出る際に、 一言だけ残していった。 「だが、個人的にはシャクナゲが好きだがな。 では失礼する」 バタン… 「フォルテは私に一票〜♪」 レティシャが嬉しそうに身体をくねらせる。 「どうしてよっ!フォルテはそんなこと言わなかったじゃないの!」 「アザリー…あなたがシャクナゲなんて…イメージ的に合わないわ」 ☆ ★ ☆ 「というわけで今の所同票なのよ、だからよく考えて投票しなさいね」 「それは脅迫だ〜〜〜っ!!!」 彼女とデートというか一緒の時間を過ごしていたハーティアに冥界の使者が訪れた。 二人組の悪魔だ。 そして自分の恋人の前で他の女性二人のうちどちらが美しいかを決めろという。 自殺行為である。 どうしようもない窮地に陥った彼に悪魔の短髪の方が囁いてくる。 「ティッシの親衛隊の件…ばれたら死ヌわよ」 「げっ…」 あからさまに顔色が変るハーティア。 レティシャもハーティアの彼女も何が起きたのかわかっていない。 「だ…だけど…どっちみち殺されるんじゃ…」 反論するハーティア。 「あなたの選択だけどね」 冷ややかにアザリーが言う。 「うぅ…アザリーの方が綺麗だと思います…」 覚悟を決めて言うハーティア。 ピシッ… レティシャの顔色が変る。 アザリーは嬉しそうに、 「はい、これで2対1ね!さ、いきましょ〜」 その後、6.62秒でハーティアは振られた。 ☆ ★ ☆ 「ああ、丁度いいところに来てくれたな。 みよ!新たな地平を!人造人間37号「シアン=アルカロイド」君の誕生だ!」 どう見ても新型の木製カカシでしかないものを指差して威張るコミクロン。 「すごいすごい」 気のない拍手をする二人。 「ふっふっふっ…さすがの天魔の魔女もこの究極科学力に対しては、 無力さを噛み締めなくてはいけないだろう… つまり無敵というやつだな。霧笛ではないのであしからず。」 「光よ」 二人の手から放たれた熱光線が「シアン=アルカロイド」君を木っ端微塵に破壊する。 「ああっ!!何をするっ!!」 「それはそれとして、こっちも暇じゃないんだから早く本題に入らせてよね」 ☆ ★ ☆ 「はっはっはっ… つまりそれはどっちに殴られた方が痛くないか選べ。 という問題だな?」 コミクロンはレティシャに話す時だけは「はっはっは」になる。 本当にどうでもいいことだが。 「どうしてそうなるのよ」 「科学的に分析してみた結果、そうなった」 「で、その科学的な分析結果はどっちが美人かでたの?」 「うむ、二人に殴られた記憶を思い出してみるに、 ティッシにおもねっていたほうが傷の回復が平均で三日ほど早い。」 「じゃあ、わたしね!」 またもや同票になったレティシャが喜びの声を上げる。 「はっはっは、つまりはそういう事だな」 「…」 「…ところでアザリー。なにか喋ってくれないと大変恐いのだが」 「…」 何も言わずに動き出すアザリー。 「ふっふっふ…ところで椅子は痛いから止めて欲しい」 コミクロンは涙目だった。 ☆ ★ ☆ 「はぁ…疲れたな…」 先生との個人訓練の時は本当に心身ともに疲れる。 3、4時間ぶっ通しで相手をさせられるのだ。 どうしてもそうなる。 とにかく今日は早く寝たかった。 身体の節々が悲鳴を上げている。 バフッ… ベッドに倒れ込んだキリランシェロはそのままうつらうつらとしていた。 さわ… 「?」 誰かが毛布を被せて頭を撫でている。 「ん…あれ?アザリー?」 寝ぼけた目に映ったのはベッドに腰掛けている見慣れたショートヘアの女性だった。 すまなそうに声をかけてくる。 「あら…ごめんなさい、おこしちゃった?」 「ううん、いいよ、そんなこと。 それより毛布かけてくれたんだね…ありがとう」 「先生との訓練で大変だったんでしょう? 疲れているのね…」 さわ… アザリーの手が髪の毛を撫でる。 気持ち良いのでキリランシェロはそのままベッドに寝ていた。 唐突にアザリーが切り出す。 「ねぇ…私って綺麗かしら…?」 「えっ?…」 おかしい。こんな質問をする姉ではない。 いつもはもっと自信に満ちていて… 内側からの美しさに溢れた女性なのに。 キリランシェロは驚きながらも答える。 「綺麗だよ、当然。決まってるじゃないか」 「ありがと、キリランシェロ。嬉しいわ」 バタン! 突然ドアが開いた。 「アザリー!あなたね〜!!」 レティシャが非情に怒った様子でアザリーに近寄る。 「私に一服もって動けなくしている間にキリランシェロを篭絡しようなんて ちょっとやりかたがあくどくない?」 「え〜っ…でも差し入れのケーキを食べた途端幸せそうに眠りにおちたのはティッシじゃない」 「怪しいとは思っていたのよ、よくあんなワンパターンなことができるわね!」 それにひっかかるほうもワンパターンだと思うけど… ふとキリランシェロはつっこみを入れそうになって自制した。 長生きがしたかったらそういう事は慎まなければ行けない。 ところでこの二人は一体なんで揉めているんだろう… 「ふふふ…もう遅いわ。キリランシェロは私の方が綺麗だと断言したわよ」 『えっ!!?』 同時に驚くキリランシェロとレティシャ。 「あっ!!…まさかそういうこと…」 キリランシェロは今朝のことを思い出していた。 まさか今までその事で揉めていたのでは… という事は… (さっきの発言は致命的だ…) 「無効よっ!どうせ発言の真意を捻じ曲げたか、 きちんと説明もしなかったんでしょう! キリランシェロ…いい? いまね「教室」のみんなに投票してもらっているの。 どっちが綺麗か…って。 いまね、二対二で同点だからその点良く考えてね。」 (…殺される…) 『キリランシェロ、どっちが綺麗だと思う?』 「ぐー」 布団を被って聞こえないふりをするキリランシェロ。 『寝るなぁ!!!』 「ぐー!!」 嫌だ!僕は寝るんだ!と抗議をするキリランシェロ。 「…強情な子ねぇ…」 「ねぇ、キリランシェロ。ねてるの?起きてるの?」 「ぐぐぐ(寝てる)」 寝息で器用に返事するキリランシェロ。 「ふーん、じゃ頭は寝てるから、身体に聞いてあげましょう」 「ぐ?」 さわさわ… 「ぐ!」 キリランシェロの足をアザリーの手が触る。 「今日は特別訓練で筋肉が痛んでるでしょうから…」 「お姉さん達が特別に揉みほぐしてあげるわ!」 「ぐー!」 アザリーの手が足の特に痛んでいるところを中心に揉んでいく。 「肩も痛いでしょう…?治してあ・げ・る」 レティシャは力いっぱい肩をつねり上げるようにして揉み出した。 「ぐぐぐぐぐ〜!!」 キリランシェロはそれでも枕に顔を埋めて耐える。 「呆れた…まだ寝たふりしているわこの子」 右手を口に当てて吃驚するレティシャ。 しかしアザリーは楽しそうな顔で言う。 「うるさいわね〜… ティッシ、そこのガムテープ取って」 「はい、でもこんなものどうするの?」 「こうするの」 ガバッ 「ふぇっ?」 おどろきの声をあげるキリランシェロの頭を掴み上げると、 口をガムテープで塞いでしまうアザリー。 「これでうるさくなくなるわ♪」 キリランシェロの頭をレティシャに放り投げて、 自分はベッドの上に乗ると、 また足の「マッサージ」に没頭しはじめた。 せっかくかけてやったはずの毛布は邪魔物として隅っこに押し込まれている。 「もう…」 レティシャは投げ込まれたキリランシェロの頭を優しく胸に抱きとめる。 柔らかい胸の感触がキリランシェロの頭に伝わる。 (あ、…暖かい…) キリランシェロは涙目になりながらもガムテープの下でにやけてしまう。 「アザリンって本当に乱暴ね、私は優しくしてあげるからね」 レティシャはそういうとガムテープに包まれていない キリランシェロの頬にキスをする。 ☆ ★ ☆ その間にもアザリーのマッサージはだんだんと上に登ってきて… 「あらやだ…勃ってるわ、このコ」 「えっ?」 アザリーの顔の前にズボンの下から盛んに自己主張するキリランシェロがあった。 「はは〜ん…」 レティシャの方を見ながら意味ありげに微笑むアザリー。 「な、何よ…」 恥ずかしさで真っ赤になったキリランシェロを抱きかかえながらレティシャが言う。 「キリランシェロも可哀相にね〜、 欲求不満のお姉さんに胸を押しつけられたりしちゃって… 思春期だもんね」 「な…」 一気に顔に朱が差すレティシャ。 キリランシェロを人形のように胸に抱きしめている事にいまさらながら気がついたのか、 ぽいっとキリランシェロをベッドに放り出すと、 ベッドサイドに立ちあがって意味もなくポーズを取る。 右手を手刀の形にして左頬に立てたまま当て、 左手を腰に当てるポーズだ。 「そ、そんなことはないわっ!」 「声が震えてるわよ」 ニヤニヤしながら言うアザリー。 レティシャは冷や汗を流しながら硬直してしまった。 そしてベッドに仰向けに横たわるキリランシェロの足元に 座り込んだアザリーは膨張したキリランシェロをズボンの上からそっと握り締める。 「フグム!フム!」 (あ、気持ち良い…けど駄目だ!) なんとか姉の魔手から逃れようとするキリランシェロ。 「…あら、起きたの?キリランシェロ。 元気に動き回ったりして、じゃあ質問に答えてくれるのよね」 ビクッ!! 「フグムム(ねてます)」 キリランシェロはまた寝たふりをしてベッドに倒れ込んだ。 (う〜…どうしよう…) 「良いコね〜、じゃあコレはお姉さんがなんとかしてあげましょう…」 そういうとキリランシェロを手でさすりはじめるアザリー。 「フグッ…」 キリランシェロの身体がビクッと波打ち、 与えられる刺激に耐え切れずにブルブルと震え出す。 (僕は寝ているんだ、僕は寝ているんだ…) 必死に自己暗示をかけ、暴発してしまわないように自制するキリランシェロ。 「あら…素直じゃないわね…」 アザリーは不満そうな顔をして、キリランシェロのズボンに手を掛ける。 「フグッ!」 「起きたの?」 また抵抗しようとするキリランシェロだが、 その一言で動けなくなってしまう。 「うん、良い子。じゃあお姉さんが御褒美をあげましょう」 パンツまでずり下ろして、まだ成熟しきっていないキリランシェロを露出させたアザリーは、 それをやさしく口に含んだ。 (ふあっ…あくっ…何これ…) キリランシェロは生暖かい粘膜に包まれて、 さらに巨大なねっとりとしたものが全体を嘗め尽くす感覚に包まれていた。 ちゅる…ぴちゃ…ぴちゃ… 液体が跳ねる音が部屋に響く。 キリランシェロは強烈な刺激に身体を捩らせながら、 それでも暴発だけは食い止めようと必死で精神をコントロールする。 「って気がついたらあなたは何をしているのよっ!!」 ぬるっ… キリランシェロを暫時口から解放すると、 アザリーはつまらなさそうに答えた。 「あら、ティッシ、気がついたの?」 キリランシェロは弓なりになって緊張していた身体をベッドに沈めた。 荒く鼻で息をする。 しかし緊張の糸が切れたとたん、 キリランシェロの精神コントロールが解けた。 ビュルッ…ビュルッ… 「キャッ…」 真っ白な激情が奔騰となって迸り出る。 その大部分が顔を離したばかりのアザリーに掛かってしまった。 「もう…キリランシェロったら」 唇に掛かった分を舌で絡め取ると、 残りはキリランシェロのズボンで拭き取るアザリー。 レティシャはキリランシェロのその部分をもんじりともせずに見つめていた。 驚いているのと、興味があるのと… ちょっとオカシな気分になってきたのがごちゃまぜになっている。 「あらら…一度出したぐらいじゃ収まらないのね…」 キリランシェロはまたもや雄々しく復活していた。 「ふふふ…」 アザリーは自分のローブの中に手を入れるとそこを弄りはじめた。 足の間から、ちゅく…ちゅく…と淫猥な音がする。 「あっ…あふ…」 自分で生み出す適度な刺激に甘い声をあげるアザリー。 寝ているはずのキリランシェロはそんな姉をじっくりと見ていた。 アザリーはさらに胸を手で揉みしだく。 「ふあ…はあん…あっ…」 アザリーの快感はどんどん上り詰めていって… 「と、イっちゃいけないのね さ、キリランシェロ…」 アザリーはキリランシェロの上に跨ると、ゆっくり腰を沈めて行く。 づぷ… 「はぁ…ああっ!」 キリランシェロの若い部分がアザリーに飲み込まれ、 アザリーは歓喜の声を上げる。 「入ったわ…わかる?キリランシェロ…」 初めての女性の膣内はさきほどのオーラルとは 比べ物にならないような感触だった。 締め付けてくる苦しいような気持ち良いような快感に、 キリランシェロは溺れていった。 ☆ ★ ☆ (アザリーがキリランシェロとセックスしてる…) 目の前で繰り広げられる淫靡な行為に、 レティシャも耐え切れずに自らを慰めはじめた。 右手はローブに潜り込んで割れ目をなぞり、 左手でローブの上から乳首を探る。 「あふっ…はぁ…ん…あっ…」 その間にもアザリーは腰を上げ下げしてさらなる快感を求める。 「ティッシ…濡れてるのね…来て…」 誘われるままにベッドに上がり込むレティシャ。 アザリーにキスをすると、 そのまま下に降りていって乳首を口に含む。 「ちょっと…アザリー…動かないでよ」 アザリーもレティシャの胸を揉むのだが、 キリランシェロを咥え込んでいる今は動かないわけには行かない。 「ん…じゃあ体位を変えましょう」 ☆ ★ ☆ キリランシェロの上体を起こし、 それを挟むように二人がすわった。 ガムテープを外し、アザリーが問い掛ける。 「まだ…寝てるわよね」 「うん…」 「じゃあこれは貴方も良く見るエッチな夢… だから好きにしていいのよ」 おずおずとアザリーの胸を揉むキリランシェロ。 そのままアザリーと深いキスをする。 レティシャはキリランシェロの股間に顔を埋めて、 キリランシェロを吸い上げる。 夢にまで見たアザリーの胸の感触、 そしてもう一人の姉にまで口でされるキリランシェロ。 「あ…ああっ…」 「駄目よまだイっちゃ」 「そうよ、二人とも満足させてね」 レティシャが下になる。 キリランシェロはアザリーとキスしながら、 レティシャに挿入した。 「あっ!…ああん!!」 キリランシェロが動く度にレティシャの胸が揺れる。 「ティッシ…私にもシテ…」 アザリーがレティシャの顔の上に跨り、 秘所をレティシャに任せる。 レティシャはキリランシェロに下から突き上げられながらも、 アザリーを責める。 舌を動かして愛液を絡め取り、敏感な部分を刺激する。 アザリーはキリランシェロに胸を揉まれながらも、 逆にキリランシェロの口を舌で蹂躪する。 舌を伸ばして口の内部を隅々まで探り、 キリランシェロの舌と絡める。 「ああっ…イイ…キリランシェロ…」 キリランシェロの動きが早まる。 レティシャの快感も登りつめてきた。 「ふぁ…イクぅ…」 キリランシェロがレティシャの膣内に放出すると同時に、 レティシャも絶頂に達した。 ☆ ★ ☆ 「まだいけるでしょ…? さっきの続き…しよ」 若さに任せてキリランシェロがアザリーを突き上げる。 アザリーはもう何もせずに快感に身を委ねている。 桜色に上気したアザリーの身体を、 キリランシェロが舐める。 乳首を口に含んで、転がす。 指で秘所の敏感な部分を触れながらも、 さらに突き入れる。 (気持ちいい… アザリーの中…) 「やぁ…イクっ…」 アザリーの身体がひときわ大きく震える。 アザリーも達したようだ。 それを見届けてから、 キリランシェロは自分の欲望をアザリーに放出した。 ☆ ★ ☆ 「ねぇ、これ…僕の夢だよね」 「ええ、そうよ」 「じゃあ…もっとする」 『え?』 無邪気にいわれて戸惑う姉達。 顔を見合わせて互いに名前を呼び合う。 「アザリー…」 「ティッシ…」 「だって僕の夢だし… いいよね、僕二人とも大好きだから♪」 『ふええっ!!』 ☆ ★ ☆ 翌朝… アザリーは朝食のマッシュポテトをぐにぐにと潰していた。 「なにやってるの?アザリー?」 「おはよう、レティシャ」 カタッ… レティシャが席につく。 『はーっ…』 二人してため息を吐く。 「死ぬかと思ったわ…」 「なんであんなに元気なの?あのコ」 「でも良かったわぁ…」 「あのねぇ…」 アザリーが気を取りなおしていう。 「私は12発」 「え?私も12発よ」 アザリーが驚きの声をだす。 「ちょっと…嘘はないでしょうね。 勝負がつかないじゃないの!」 「貴方こそ水増ししていないの? 普通24発もできないわよ」 「まさかあのコ…わざと…」 「どうしたの二人とも… またケンカ?」 朝食のミートサラダをもったキリランシェロが一緒の席に就いた。 「あ、キリランシェロ。聞きたい事があるんだけど昨日…」 しかしアザリーの質問を遮るようにしてキリランシェロは言った。 「夢の事?僕見た夢は直ぐに忘れちゃうんだ、だから覚えてないよ」 『え…』 またもや顔を見合わせる二人。 キリランシェロはミートサラダをぱくつきながら言う。 「でも…また夢をみようね♪」 『えっ…』 楽しそうに朝食を平らげるキリランシェロの隣に、 顔を赤くした彼の姉二人が佇んでいた。戻る Page written by Eque Somatoya Novels written by Souma Toriya