小説版スレイヤーズ


俺のもの私のもの

さわさわ… 鬱蒼とした木の葉が生い茂る森。 その奥は昼なお暗く、 様々な悪の温床となっている。 両側をそれらにつつまれ、 小さいささやかな街道が一本伸びていた。 街道…それは社会になくてはならないもの。 しかしだからと言ってそこを通る者も安心することはできない。 特にこういう人通りも疎らで視界も充分に得られない場所は、 盗賊の絶好の襲撃場所なのだ。 荷物を背負ったおじいさんが通る… すると『狙い通り』手にダガーを持った若いゴロツキ風の男が数人出てきた。 ダガーを突きつけておじいさんを脅す。 「よーし、おっさん…荷物をよこしな」 「おっと…逃げられないぜ、よく見てみな」 周りは完全に囲まれている。 おじいさんは身構えた。 「待ちなさい!」 天から声が降ってくる。 「天知る地知る人が知る! 貴方達の悪事はすべてみせてもらったわ! 覚悟しなさい!」 「だ、誰だ!?」 うろたえる若者達。 「てーい!」 声と同時にわたしが降ってきた。 そう、私ことアメリア・ウィル・テスラ・セイルーンが! くるくる… 空中で三回転して、着…あれ? メリッ… ☆ ★ ☆ 「…近頃はこーゆーのが流行なのか?」 「さぁ…でもそらから女の子が降ってくるなんて、 良い世の中になったものですね〜」 どう受け止めていいのかわからない盗賊たちが、 口々に勝手な事を言う。 「…ところで女にもずいぶんと御無沙汰だな…」 「まぁ空から降ってきたものは私らのモノということで…」 盗賊の関心がアメリアに向いているうちに老人はこっそり逃げ出した。 だが、そんなことはどうでもいいのか、盗賊は会話を続ける。 「じゃあ持って帰ることに…」 盗賊Bの手が伸びる。 スチャッ… 「…死にたかったら触れ」 突然おそろしくドスの効いた声がした。 そして盗賊Bの首筋に冷たいモノがあたる。 「なんだテメェ覆面なんかしやがって…」 と言いかけた盗賊Aだが、 覆面から覗く冷たい視線ににぞっとしたのか、 後の言葉を飲み込んだ。 どうやら動物的なカンで『勝てない』ということを悟ったらしい。 「お…おい…」 「ああ…」 なんか瞬時に意思疎通が成立したのか、 盗賊達は一斉に逃げ出した。 スチャッ 覆面剣士…ゼルガディスは剣をさやに収めた。 ☆ ★ ☆ 漸く復活したアメリアに不機嫌そうなゼルが言った。 「アメリア」 「なんですか?ゼルさん」 「動き回るなっ!護衛ができないだろうがっ!」 「でも悪が居たんです!」 ふと我に返るアメリア。 「…あれ?おじいさんは?」 「逃げたようだ」 「よかった…」 「良くないっ!こんな事をしてたら、 その内とり返しのつかない事に…」 「…心配してくれているんですか?」 「……もういい」 アメリアの顔に照れたような笑みが浮かぶ。 「さっ、次の街に急ぎましょう!」 「…頼むから急いでくれ…」 意味も無くポーズを取るアメリアに、 頭を抱えるゼルだった。 ☆ ★ ☆ 街に着いて、とりあえず宿を取った。 夕飯時になったので、ゼルとアメリアは食堂に行って食事を注文した。 アメリアが白身魚のソテーを楽しくつついていた時、 いきなり若い男が寄ってきて、 アメリアをナンパしはじめた。 アメリアは鬱陶しく思ったが、 (あ、ここで… ゼルさんが「俺の連れに気安く声をかけるな」 とか言ってくれたりするかも…) などと考えてしまった。 思わず顔がにやけてしまう。 それを見た若い男は脈が有ると勘違いしたか、 さらにしつこく誘ってきた。 そこゼルの声がした。 「すまないが…」 (来たっ♪) 「ビールのおかわりを頼む」 「はい、わかりました〜」 ゴチン!! アメリアがテーブルに頭をぶつける。 売り場のおねえちゃんもちょっとびっくりしたようだったが、 とにかくビールを取りに行ってしまった。 「おい…大丈夫か?」 やっと気がついたようにゼルが話し掛けてくる。 「…ほっといてください!」 食べかけの食事をほっぱらかし、 ナンパしてきた男を押しのけてアメリアは部屋に帰ってしまった。 ☆ ★ ☆ 慌てて支払だけして追いかけるゼル。 アメリアは自室に閉じこもってしまっていた。 コンコン… 「おい、アメリア…」 「なんですか?」 ドアの奥から険悪な声がする。 その声にすこし怯んでしまうゼル。 「その…頭…大丈夫か?」 「…ヒーリングぐらい自分でできます」 「なぁ…その…なんで怒っているか教えてくれないか? 悪い所があったら謝るから…」 「…わからないんですか?」 「…」 「隣で何があったかぐらいわからないんですか!?」 「それは…」 ギィッ… ドアが開いた。 「入ってきて下さい。 廊下でやると迷惑になりますから…」 アメリアは本当に怒っていそうだった。 ☆ ★ ☆ 「"ゼルガディス"さんは一体私の事をどう思っているんですか?」 開口一番がそれだった。 「…それは…」 改めて言うのは気恥ずかしすぎる、 でも… 「好きだって言ってくれたのはウソなんですか?」 「ウソじゃない!」 「だったらなんで私がナンパされているのに放って置くんですか!」 「…何か言っても良かったのか…」 「そんなの当たりま…」 アメリアが口をつぐむ。 どうやらゼルは『本気』らしい。 「すまない…だけど本当にこういうことには経験がないんだ」 いつもクールな魔剣士が部屋の隅に縮こまって謝っている。 「ふふっ」 それが面白くてアメリアは笑い出してしまった。 ゼルの手を取る。 「ゼルさん…」 「アメリア…」 「きゃ…」 急に抱きすくめられる。 「そこまで愛しても構わないのか?」 「えっ?」 「アメリアを俺のものだって言えるぐらい… 全部…全部俺のにしても…」 「…ゼルさんも全部私にくれるなら良いですよ あなたも私のゼルになるなら…」 ☆ ★ ☆ 立ったまま抱き合う二人。 「んっ…」 激しく口を吸われる。 ゼルの手がアメリアの胸に伸び、 その感触を確かめるように揉み上げる。 ぴく… アメリアの身体が軽く跳ねた。 「この口も…」 ゼルの手がアメリアの唇を撫でる。 「この首も… 胸も…腕も…」 アメリアの身体のすべてを確かめるかのように、 なで上げていくゼル。 「腰も…足も…」 ズボンの上からアメリアのやわらかい膨らみを撫でるゼル。 「そして…ここも…」 ゼルの指が足の隙間に割ってはいった。 布地の上から優しく奥を刺激する。 パチッ… ベルトのバックルが外れる。 そしてズボンがするすると落ちた。 ゼルは左手でアメリアを抱き留めつつ、 右手でアメリアの下着の中に潜り込んでいった。 「あぅ…」 アメリアが耐え切れなくなったのかかすかに声を漏らした。 ゼルの指が僅かに湿りはじめたその部分を刺激する。 力が抜けてきたのか、 くたっとゼルにしなだれかかるアメリア。 ゼルは彼女を後ろから抱きかかえ直した。 彼女の体を愛撫する手は休めないままだ。 後ろから彼女の幼い顔立ちに似合わず大きな胸を揉みしだく。 そして…淫らな音がするぐらいになってきた彼女の秘所に指を突き入れた。 ちゅく…ちゅく… 「ふぁ…あっ…ゼル…さん…」 アメリアの足が震えてきた。 もう一人では立てないらしい。 ゼルはアメリアをテーブルの上に仰向けに横たえた。 そしてすでに張り切った自分のモノを取り出すと、 アメリアの亀裂にあてがう。 そしてゆっくりと突き入れた。 ☆ ★ ☆ じゅく…じゅぷ… 欲望が愛欲の身体に入り込む音がする。 その繋がった部分は強烈に、 お互いの存在を確かめさせてくれる。 「俺の…アメリアだ…」 「私のゼル…さん…です」 言葉でも確かめ合う二人。 そしてもう一度キスをした。 ☆ ★ ☆ ゼルが動きを早めた。 ゼルの肉棒がアメリアの身体の奥を擦り上げる。 「あっ…っくぅ…ああっ」 甘い声が部屋に響いる。 ゼルの息も荒い。 「あっ…ああっ…」 「うっ…イキそうだ…」 「あっ…下さい… ゼルさんを…私の中に…」 アメリアがゼルに抱き着く。 「んっ!」 ゼルの肉棒が波打つ。 どくっ…どくっ… 白い愛情をすべて注ぎ終わると、 アメリアも身体の力が抜けたように横たわった。 ☆ ★ ☆ 翌日… 何気にまたナンパされるアメリア。 可愛いからだと思うが。 「やぁ、可愛いお嬢さん、一緒にのみに行かない?」 「…済まないが…俺の彼女だ」 ゼルが照れながら言う。 「…おっと失礼」 ナンパ男は退散した。 「ありがとう。私のゼル♪」 アメリアがキスする。 ゼルはまだ照れている。 慣れないものである。
戻る

Page written by Eque Somatoya Novels written by Souma Toriya