小説版スレイヤーズ
ゼルガディスの望み
レスター・ポーション…
これは偽りの汝を取り去るもの
これは汝から不純を取り除くもの
これは本来の汝を取り戻すもの
☆ ★ ☆
二人でゼルの身体を治す方法を探す旅に出たのはいつだっただろう。
「リナ…本当にいいのか?」
あたしが付いていくといった時、ゼルは少し嬉しそうな顔をしていた。
「まぁあたしも貴方を人間に戻す方法に興味があるし…」
表面ではそう言った。微笑みながら。
だけどガウリィともアメリアとも別れてゼルに付いてきた本当の理由は
絶対ゼルには教えてやらないんだ。
ゼルガディスとあたしは山間部の街、ファザルツ・シティに来ていた。
ちょっと路銀が乏しくなってきていたので隊商の護衛をしていたのだが…
途中で盗賊の襲撃を受けたので懐が暖かくなってちょっとはのんびりできるかなと思ってる。
え?話が見えないって?
いいじゃない、細かいことは。そーゆー奴はもてないぞ!
☆ ★ ☆
その時あたしはファザルツ・シティの魔道士協会で文献あさりをしていた。
図書館の中は静かで落ち着く。人も疎らでみんな本を静かに読んでいる。
まぁ、図書館で本を読む以外に何が出来るという話もあるけど…
あ、昔こんなところで居眠りした奴もいたっけな。イビキ上げて。
ホムンクルス・キメラ・合成・分離…関係の有りそうな本を机に積み上げる。
…街に来て、本を読んで、がっかりして…
旅を始めてからずっとこの繰り返し。
だけど今回は違っていた。
秘薬の本を見ていた時についに発見したのだ。
レスター・ポーション…
これは偽りの汝を取り去るもの
これは汝から不純を取り除くもの
これは本来の汝を取り戻すもの
この本はレスターと言うファザルツ近郊に住んでいた魔道士について
書かれたものらしく、そう古い物でもなかった。
彼は生涯を薬品の研究に費やし、その最高傑作と自ら誇るのがこのレスター・ポーション。
なんでも本来の自分を取り戻せる物らしい。
らしいというのは詳しいことが記されてなかったからだ。
あまりの効果に封印したのか…途中まで書いてて面倒に成ったのか…
ま、いっか。
本にはレスター・ポーション研究の成果はこの近くの迷宮に埋まっていることが書かれていた。
なんでも自分の篭っていたダンジョンが地震で崩れ、人生最後の研究結果と
ともにみずからも埋まってしまったそうである。
情けない最後…
何度か掘り返す試みも為されたが、あまりにもダンジョンが酷く崩れているのと、
彼の研究成果のほとんどは魔術師協会が保管していたことなどが重なって
結局誰もレスター・ポーションを見たことはないそうである。
この本の記述も彼の研究メモから起こしたもののようだ。
面白そうだから行ってみるかな?
☆ ★ ☆
宿に戻ってゼルと合流すると、夕飯を食べながらゼルにこの話をした。
「ほお…そんなものが…」
「あんまし信用できそうにも無いんだけどね、駄目でもともとだし結構面白そうよ。
行ってみる価値だけはあると思うわ」
「だが…ダンジョンは埋まっているんだろう?どうやって行く気だ?」
「大丈夫!ベフィズス・リングがあるから。穴掘りは簡単よ。
場所も聞いてきたから明日にでも行ってみる?」
「そうだな、リナに任せるよ」
一緒に旅を始めてからゼルは大抵この調子である。
あたしの意見には絶対逆らわないけど、無口であたしが喋らないとすぐ黙って何かを考えている。
いったい何を考えているんだろう…
それにあたしが付いてきたって事どれぐらい分かってくれているのかな?
☆ ★ ☆
「じめじめしてるわね〜」
「…そうだな」
ベフィズス・リングで穴を掘ってあたしたちはレスターのダンジョンに潜り込んだ。
結構深く潜らないとダンジョンには着けなかったが、ダンジョンの深い部分は無事だったようだ。
これなら研究成果が丸ごと残っている可能性も高い。
なかなか期待できそーである。
と思っていたらモンスターが出てきた。
「グォオー…」
ゾンビだ。スケルトンも居る。
「リナ、これは知ってたのか?」
「うん、なんでも偏執狂的に安全に気を使う人だったらしくて、
人に研究成果を盗まれるんじゃないかってわざわざ自分からダンジョンに住み着いたそうよ。
護衛にゾンビとスケルトンまで配するなんてよっぽどね」
そのくせ一度発表した成果には見向きもしなかったそうだから飽きっぽい性格だったんだろう。
「だったら遠慮無く倒していくか」
「そうね」
てきとーにゾンビとスケルトンを蹴散らしつつ進むと研究所らしき部屋に辿り着いた。
一人暮らしの研究所らしく雑然とした雰囲気の中、あたしたちは探し物を始めた。
光量をあげたライティングで部屋を照らすと、書物に当たる。
そうこうしているうちに完成品のレスター・ポーションを発見してしまった。
「ふーん…この調合表を見る限り毒物はできてないわ」
「この秘薬を飲みし者、本来の自分を取り戻す…か」
このレスターという魔道士、下手なポエムが趣味だったか、
薬の効果をはっきり書かないで詩の亜流のようなものを書き連ねてあるだけだった。
「とりあえず飲んでみる?」
「…そうだな、毒ではなさそうだし…そんな変な効果の薬草も混じってない」
ゼルは結構ドキドキしているようでそれがこっちまで伝わってくる。
それはそうだ。長年の悲願なんだもの。
「飲んでみるか…」
フードを外すとはっきりとキメラと分かる顔が姿を出す。
薬の瓶を口に付けると、くいっとそれを傾けた。
「…何も起こらないな…」
「…古かったもんね、効果が切れてたのかも…」
「それじゃあ調合表なんかを貰っていこう。一度あたらしく調合したものも試す価値がある」
「そうね」
その時はそれで済んだのだ。
☆ ★ ☆
ドクン…
ゼルガディスは身体に異変を感じる。
それが何かは分からない。
期待に満ちつつも何も起きないのを確認して落胆した。
宿にとったゼルガディスの部屋。
リナの部屋は隣だ。
まぁまぁの料金の宿はその割にはしっかりとした造りで、泊まるには快適だった。
リナの宿を見る目は確かだ。
☆ ★ ☆
あたしは先に食事を済ませると、魔道士協会で調合表の材料を集めてきた。
結構高価なアイテムなんかも有ったのだが…
ま、いっかマケさせたし。
早速明日にでも調合してみたい。一応打ち合わせをしにゼルの部屋に急ぐ。
「やっほ〜、ゼル居る?」
「ああ…」
ドアを開けて中に入る。
「魔道士協会で材料を揃えたのか?高かっただろう?」
「え〜と、そうでもなかった。結構マケさせたし。明日にでも調合するから…」
「すまんな、いつも…」
「いいっこナシだって」
にっこりと微笑む。
ぽつりとゼルが漏らす。
「可愛い笑顔だ」
「うん、そうでしょ……え?」
今なんて言った?
ゼルもやっと自分がなんて言ったか分かったらしくて真っ赤になっている。
可愛いゥ…じゃなくて!
「ゼ、ゼル…今なんて言ったの?」
「あ…いや…その…可愛い笑顔だ…って、
ちょちょちょっと待て、こんな事を言いたいんじゃない!」
「じゃあ何が言いたいのよ、可愛くないって?」
「そんな事は無い!リナはいつも可愛い!俺は好きだぞ!」
やー…そのー…顔が真っ赤になってるのが分かるなぁ…自分で。
「…面妖しい!こんな事を言うつもりはなかったんだ…なんで…」
ゼルが顔中赤くしながらなんか変なことを言ってる。
もしかして古くなった秘薬なんか飲んだから変になったんだろうか。
「ふーん、じゃあたしなんか好きじゃないんだ」
あたしこそなんか変なコト言ってる…分かるのに…
「違う…俺はお前が好きだ!」
がしっ…
え?
急にゼルに抱きすくめられる。
硬い岩の体の感触が伝わる。そうなんだ…ゼルは…
そのまま暫く動けなかった。
突き放したりなんかしたらゼルとは終ってしまうかもしれない。
抱きしめられている間、ゼルを感じていた。
「す、すまん…勝手なことをして…」
ゼルが離れようとする。
今度は逆にあたしが手を回してゼルを抱きしめる。
「あたしも好きだよ…ゼルのこと…」
そのまま、とっても自然にキスをした。
☆ ★ ☆
ゼルがあたしをベッドに押し倒す。
あたしが今着ているのは室内着だ。
だからショルダーガードとかマントとかはつけていない。
もう一度キスをするとそのままゼルの手があたしの胸に伸びてくる。
手のひらに収まるぐらいの膨らみをゼルは優しく撫でてくれた。
「小さい胸は好き?」
こんな質問は大嫌いだ。自分が可哀想で…でも安心したかった。
「大きさなんか関係ないさ、リナの物だったら爪の先まで大好きだ…」
嬉しい。
「あっ…」
ゼルの右手がシャツの下に潜り込んでくる。
ゼルの手はわたしの乳房を探り当てると優しく愛撫してくれる。
すっぽり手に収まってしまうような胸だけど、ゼルは愛しむように触る。
ゼルの手がだんだんと胸の先端に向かって進んでいった。
硬い手が最大限に優しく乳首をつまんで刺激する。
自分の体が硬いのを知っていてあたしに痛い思いをさせないように気を使ってくれているのだ。
そうおもうと無性に嬉しかった。
ゼルの左手はあたしの股間に忍び込む。
下着の上からでも硬い物が(アレじゃないよ、念のため)当たっているのがわかる。
細かな刺激を与えることは無理かもしれないが、
全体的にゼルに抱かれているということ自体があたしの感度を上げていた。
自分で触っても何とも感じない場所でさえゼルの手が行くとつい甘い声を上げてしまう。
「あ…」
気が付いたらシャツを脱がされていた。胸当ても外されてあたしの上半身があらわになる。
「リナ…綺麗だ…」
ゼルが呟いた。
改めてそう言われるとやっぱり照れる。恥じらうようにして胸を隠した。
でもゼルはその手を引き剥がす。
ゼルが胸に吸い付いてきた。
暖かくてぬめぬめした物が胸を這い回る。
本来なら気持ち悪いはずだが、ゼルにされると却って気持ちがよかった。
ゼルの愛撫は続く、自分が女の子を喜ばせることなんかできないんだと
思い込んでいるような執拗な愛撫であたしは気持ちイイを通り越して変になりそうだった。
ゼルの舌はちろちろとあたしの乳首を苛める。舌が動くたびに電流が通ったようになる。
さらにゼルの指があたしの秘所をもてあそぶ。
奥まで入ってくることはないけど、割れ目に浅く指を沈めて奥の最も敏感なところを焦らす。
ゼルはたぶん焦らすつもりなんかないんだろう。
奥まで指を入れたらあたしが壊れてしまうんじゃないかって思っているんだ…
でも身体の奥がじんじんしてトドメを刺してもらいたがっているのがわかる。
ゼルが欲しい…
「ゼル…入れて…」
途端に真っ赤になるゼル。
「入れて…もっと気持ちよくして…」
あたしももう止まらない。早くゼルが欲しい…
「リナ…」
あたしたちはもう一度軽くキスした。
二人の思いを伝えあうために。
ゼルの手があたしの下着をずり下ろしてあたしの脚を広げる。
あたしはベッドに寝てヒザを立てて脚を開いた。
ゼルが手で彼のモノを掴んで標準をつける。
硬くて温かい物があたしの秘所に当たった。
つい身体をビクッと震わせる。
「リナ…大丈夫か?」
ゼルは優しい…だけど…いまは早く欲しい。
「うん…来て…」
その硬いモノがあたしの中に入ってきた。
ゼルがあたしの上に覆い被さってきて、抱きしめる。
ゼルはあたしの身体の中に完全に埋まったのを感じる。
あたしは痛いぐらいに彼を感じて、ゼルを抱きしめ返した。
身体のなかで彼のモノがわずかに動いた。
身体の奥にそのわずかな動きが増幅されて伝わってきた。
「動くぞ…」
「うん…」
ゼルが動き始めた。腰を少し引くとまた進んでくる。
ゼルのモノが身体の奥でこすれて、
粘膜どうしが摩擦しあう感触が積み重なって快感となってあたしを襲う。
「あっ…う…ふぅん…」
堪えきれず声が出てくる。
「いいか?…」
「うん…ぁっ…あぁっ…イイっ」
ゼルはそれを聞いて微笑んだようだった。
「ゼ…ゼルは気持ちいい?」
「あ…ああ…気持ちいいぜ」
彼の腰の動きが更に激しくなってくる。
「くぅ…」
あたしは身体が燃えてくるのが自分でわかった。
腰をくねらせてゼルの動きに合わせる。
そうするとさらに快感が得られた。
「うっ…リナ…イキそうだ…」
「あ…あたしもぉ…ゼル…一緒にぃ!!」
ゼルのモノから温かい物がほとばしり出てくるのと、
快感の最大の波が襲ってきてそれに押し流されてしまうのはほとんど同時だった。
☆ ★ ☆
「この薬…『真実の自分』なんて言っておいて実は『ホントのことを言ってしまう薬』だったようね…」
「そ…そうだったのか」
あの夜からゼルはあたしと顔を合わせると真っ赤になって横を向いてしまう。
意識するなよ…こっちも恥ずかしくなるから…
とりあえず無視してわかったことを続ける。
「すると昨日言ってくれたことは全部本気だったんでしょ?
ありがと…ゥ」
「あ…ああ…」
え〜いはっきりしない男である。
「結局無駄だったわけね、それじゃ次の町に行く?
じつはこの先の町にクレアバイブルの…」
「リナ…」
「なあに?」
「俺が…人間に戻っても…というか人間に戻らないと告白なんかできない…
そう思っていたんだ…だけど…リナはいいのか?」
「…あのね、ゼル。はっきりさせておくけど貴方が人間でもキメラでも
あたしを好きなゼルだってのには代わりが無いんでしょう?!
はっきりしなさいよ」
「…そうだな、俺はお前が好きだよ。リナ」
だから真顔ではっきりと言われたら照れるんだってば…
ま、いっか。これからも一緒に行こうね、ゼル♪
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Page written by Eque Somatoya
Novels written by Souma Toriya