「第一話・キノコの森2」 シンシアは驚き、急いでパンティーの中に入り込んだ粘着キノコ達を 払いのけます。でも払った瞬間、別の粘着キノコがシンシアの下着の 中に入り込んでくるのです。 シンシアは焦りながら、何度も何度も手で粘着キノコを払いのけました。 でもどこからか聞こえてくる超音波のような音があまりにもうるさくて、 気合を入れて払いのける事が出来ません。 それでも必死になって立ち上がり、手足をぶるぶると振ったり、頭を 振って頭に付いたキノコを落としたりしていると、 足の裏でグチャリという何かを踏み潰した感触がありました。 そしてその瞬間、あの超音波が止んだのです。 シンシアは思わず自分の足元に目をやりました。 すると周りのキノコよりも一際大きな金色のキノコがペッチャンコに なっているではありませんか。どうやら超音波の音の主はこの金色 のキノコだったようです。 シンシアは冷静になり、杖を高く上げると炎の魔法を唱えました。 するとシンシアの体が青色の炎に包まれ、シンシアの体に付いていた キノコ達もその炎の中に巻き込まれました。 キノコ達はピョンピョン跳ねながらシンシアの体から離れ、次々と 森の中に逃げてゆきました。 「ふう……助かったわ、一時はどうなる事かとおもったけど」 シンシアはため息をつくと、再び近くの切り株に座りました。 ふと自分の洋服に目をやると、服が粘着キノコの液体でベタベタに なっていました。 「うわ……せっかく母さんが縫ってくれた装束が台無しだわ」 シンシアは少し肩を落としながらハンカチを取り出し、服の 液体を拭き始めました。 そんなシンシアの様子を、少し離れた木の陰からじっと見つめる黒い影が ありました。黒い影はしばらくのあいだシンシアの様子を伺っていましたが、 長く大きな舌で舌なめずりをするとそのまま静かに去って行きました。 シンシアはそんな存在に気づく事無く、服の手入れに夢中になっていました。 「あーん。もう。全然取れないよ。これ……」 シンシアは涙目になりながら立ち上がるとキノコ民族の村へ向かう為、 ゆっくりと歩き始めました。 <続く……> |