#5.1 「初めての恋」

   初めての恋愛=「初恋」。
   幼稚園のときの先生に。小学のときに隣の席の子に。中学のときに部活の子に。
   なんてことを普通なら答えだすのだろう。でも恋愛は自由で奔放であるべき、自分勝手なものなのだ。
   だから、どれだけ好きで愛した人がいたとしても、その行為を自分で後から否定してしまえば、
   いとも簡単にそれは「恋愛」というカテゴリーから外れるだろう。

   「人が心から恋をするのはただ一度だけである。それが初恋だ。」

   17世紀末のフランスモラリスト、ブリュイエールは言う。(フランスのモラリストという存在自体、胡散臭いが。)
   過去の恋愛を否定し続けると、常に現在の恋愛が自動的に初恋になる。
   するとこの言葉は真になる。現在進行形の恋愛こそ初恋。現在の恋愛が一番フレッシュなもので、
   それをブリュイエールは初恋と定義したのではないか?

   ワタシはバカなので、以前に好きだった人物に対して恋愛感情が思い出せない。
   ただ、センチメンタルな気分になるだけだ。
   きっと、こんなことを言っていると「何か違う!」、と思う人がいるだろう。
   そして、そんな人に対して、ワタシはそう思ってほしいと思う。なぜなら恋愛は自由で奔放なものなのだから。
   初恋なんて死ぬ間際にでも暇つぶしにぼんやり考えればいい。
   別にそれが3つでも9つでも誰も文句なんて言わない。
   ただただ、現在の初恋に夢中になれること、そんな乱暴な新鮮さがあればいい。
   今日も誰かに「初恋」をすること、それこそが実は一番大切なことなのかもしれない。


   #5.2 「初めての原稿依頼」

   3年前、自分のノートパソコンを購入して、念願の自分のホームページを作成した。
   別にあまり深い意味はなくて、ただ自分の表現場を求めて不特定多数の前に現れてみたという感じ。
   途中で一度挫折した。どうしても自分が思うようなページにならない、ソースが汚い、文章も写真も中途半端。
   しばらく閉鎖したのち、再び今度は自分なりに納得のできるページに仕上げて再び表へ出た。
   それから約1年、ひょんなことからこの「浮街」のメンバーの方に声をかけていただき、原稿を書くにいたった。
   それは自分の思い描いていた結果だったと思う。

   「原稿依頼」、なんてとても大げさな響き。でも原稿依頼。

   別に作家を目指しているわけでもない。けれどとてもうれしかった。
   それは自分の言葉が他人に認められたという快感。
   そして問題は勃発した。書いて送った原稿は字数オーバーだった。
   いつも、自分勝手に文章を織っていた。そして、「違い」を思い知った。
   足りないと思いながら綴った言葉は、溢れていたのだ。メンバーはそれでもいいと言ってくれた。
   でも、字数オーバーにすら気づかずにいた自分に絶望した。
   すなわち、「初めて」という行為はいかに盲目的かに気づいたのだった。

   それでも、ワタシは絶望しながらも「初めて」に挑みたいと思う。
   それは世界を切り拓いてきた人々がそうであったように。


   #5.3 「初めての一人旅」

   初めてこの夏、一人旅に出た。
   場所はヨーロッパのパリから南へ、そしてスペインポルトガル。
   とにかくまっすぐには進まない旅だった。
   元々ワタシのいい加減な性格も手伝ってか、スペインとポルトガルの国境で予定外に一泊したり、
   大雨のためにスペインの田舎町で列車が止まったり。

   しかし、不思議と結果はいつもベターになっているのだった。
   国境の町では、思いもよらずいい写真が撮れた。列車が止まったときも、隣の座席の人と話すいい機会だった。
   そして予定より2時間以上遅れてホテルについたら部屋がなかった。
   しかし、宿の主人が別の日本人の子を紹介してくれて、その子と相部屋で泊まったのだった。
   彼女とは未だに交友は続いている。結果、宿代も安くなり友だちもできたわけである。

   初めワタシは、一人で言葉も通じない土地に飛び込んで旅をすることに非常にナーバスになっていた。
   でも、一度飛び込んでしまうとあとは、ことは流れる方向にしか流れなくて、
   その流れに身を任せているという感じのほうが強くなった。
   すると自然に肩から力も抜けて、さらにことはラッキーな方に進むことが多いのだった。

   神様も仏様も信じていなかったワタシだけれど(あいにくワタシは寺の娘なのだが)、
   一つだけ信じようと思うものができた。それはワタシ自身の「ラッキースター」である。
   何が起きても、ワタシには「ラッキースター」がついている。
   ワタシは初めての一人旅で、「ラッキースター教」に目覚めた。


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