【発明の詳細な説明】

【0001】
【産業上の利用分野】本発明は長波,中波,短波帯の振幅変調送信 機に関し、特に搬送波信号を増幅する複数の高周波増幅器の出力を 合成することにより振幅変調信号を生成する振幅変調送信機に関す る。

【0002】
【従来の技術】従来のこの種の振幅変調送信機は、図3に示すよう に、搬送波発振器14からの搬送波信号Sを増幅する複数の高周波増 幅器21-25を、制御信号C1-C5によってそれぞれオン・オフ制御 し、各高周波増幅器からの出力を出力合成器16によって合成するこ とにより振幅変調信号を生成し送出している。なお、高周波増幅器の 台数は、生成する振幅変調信号に応じて複数設定する。

【0003】ところで、制御信号C1-C5を生成するために、A?D変換 器11,エンコーダ12,制御信号送出器13およびクロック発生器17を 設けている。A?D変換器11は、クロック発生器17からのクロックKに 同期して、アナログ入力信号を多ビットディジタル信号に変換する。エ ンコーダ12は、多ビットディジタル信号から高周波増幅器21-25を それぞれオン・オフ制御するための制御信号C1-C5を生成する。制 御信号送出器13は、クロック発生器17からのクロックKを受けたとき に制御信号C1-C5をラッチし、次のクロックが入力するまで制御信 号C1-C5を保持して高周波増幅器21-25へ送出する。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の振幅変調送信機で は、搬送波発振器とクロック発生器とが互いに独立して動作している。 従って、各高周波増幅器をそれぞれオン・オフ制御する制御信号のタ イミングと搬送波信号Sのゼロクロス点のタイミングとが一致しない。こ のため、図4に示すように、各高周波増幅器の合成出力信号が不連 続に変化するので、不要な高調波成分が発生するばかりでなく、トラ ンジェント電圧等が発生して高周波増幅器の動作を不安定にするとい った問題点がある。

【0005】ここで、図4(a)はアナログ入力信号の一例を示しており、こ の信号レベルに応じて高周波増幅器の動作台数が変化する。例え ば、信号レベルA1のときは高周波増幅器を1台動作させるとすれば、 信号レベルA2では2台の高周波増幅器を動作させる。また、図4(b) はクロック発生器17が発生するクロックKを示し、図4(c)は搬送波発 振器14が発生する搬送波信号Sを示している。クロックKのタイミング と搬送波信号Sのゼロクロス点とは一致していない。図4(d)は合成 出力信号を示しており、時刻t1から時刻t2までは、時刻t1で設定され た制御信号(1台の高周波増幅器を動作させる制御信号)が保持送出 され、時刻t2では、2台の高周波増幅器を動作させる制御信号が送 出されるので、合成出力信号に不連続が生じる。同様に時刻t5にお いても合成出力信号に不連続が生じる。

【0006】本発明の目的は、複数の高周波増幅器の合成出力信号に 不連続が生じない振幅変調送信機を提供することにある。

【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の振幅変調送信機は、それぞれ が制御信号によりオン・オフ制御されて搬送波信号を増幅する複数の 高周波増幅器を有し、この複数の高周波増幅器の出力を合成すること により振幅変調信号を生成する振幅変調送信機において、前記搬送 波信号のゼロクロス点に同期するタイミングパルスを生成する手段と、 前記タイミングパルスに同期して前記制御信号を前記高周波増幅器 へ送出する手段とを備えて構成されている。

【0008】
【実施例】次に本発明について図面を参照して説明する。

【0009】図1は本発明の一実施例を示すブロック図1ある。ここで、複 数の高周波増幅器21-25は、制御信号C1-C5によってそれぞれ オン・オフ制御され、オン状態のときは搬送波発振器14からの搬送波 信号Sを増幅して出力合成器16へ送出する。出力合成器16は、各 高周波増幅器からの出力を合成して振幅変調信号を生成する。

【0010】ところで、同期信号発生器15は、搬送波発振器14からの搬 送波信号Sを受けて搬送波信号Sのゼロクロス点を検出し、このゼロク ロス点に同期するタイミングパルスPを発生する。

【0011】A?D変換器11は、タイミングパルスPに同期して、アナログ 入力信号を多ビットディジタル信号に変換する。エンコーダ12は、多ビ ットディジタル信号から高周波増幅器21-25をそれぞれオン・オフ制 御するための制御信号C1-C5を生成する。制御信号送出器13は、 タイミングパルスPを受けたときに制御信号C1-C5をラッチし、次のタ イミングパルスPが入力するまで制御信号C1-C5を保持して高周波 増幅器21-25へ送出する。

【0012】次に、図2によって動作を説明する。

【0013】図2(a)はアナログ入力信号の一例を示し、信号レベルに応 じて動作する高周波増幅器の台数が変化する。図2(b)は同期信号 発生器15が発生するタイミングパルスPを示し、図2(c)は搬送波発 振器14が発生する搬送波信号Sを示しており、搬送波信号のゼロク ロス点とタイミングパルスPとが一致している。図2(d)は合成出力信 号を示しており、時刻t1から時刻t2までは1台の高周波増幅器が動 作し、時刻t2から2台の高周波増幅器が動作する。この場合、時刻t2 は搬送波信号のゼロクロス点と一致しているので、合成出力信号は 連続的に変化し、不連続は発生しない。

【0014】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、搬送波信号のゼ ロクロス点と同期するタイミングパルスを発生し、複数の高周波増幅器 をそれぞれオン・オフ制御する制御信号を、このタイミングパルスと同 期させて送出することにより、各高周波増幅器の合成出力信号は連 続的に変化するので、不連続による不要な高調波成分の発生、およ びトランジェント電圧等の発生を低減でき、高周波増幅器を安定に動 作させることができる。



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