其の零『嘉神のテーマ』

「で、俺に何を言えってか?」
その男、身長188cmの細身で短髪パツ金の美形。パンツもジャンも黒皮&黒ブーツで一色に天下統一している。
場所は、地下鉄の出口の階段を上がったところだ。

「ドルドルTVの『おしおきをしよう』です。戒斗さん、何してるんですかぁ」
女性レポーターが、戒斗にマイクを向けてるとこだったりする。なるほど、カメラを担いでるスタッフが周りに居る。
「メンバーを待ってるんだ(変な番組名だなぁ)」
レポーターはにこにこしながら、砲台モードみたく質問を放ち始めー

「オフの日は何をされているんです?」
「安息日にはミサへ行ってる。その他はトレーニングかな」
戒斗、右手の掌底を左手の平に軽く当てる仕草
「今、好きな人がおられるとか?」
「今っていうか、ずっと一人の人だったりさ」
戒斗、伏せ目がちにやさしく微笑む。温かい気持ちになるのだろうか
「素敵なことですね。これまで自身の過去を明かすことはありませんでしたが、こんかいのR221B戦記シリーズで明らかになるのですか?」
「ぃゃ、実際のところ過去の記憶がないんです」
戒斗、少しだけ困惑の表情になる。
「それは、不安でつらい事だと思います。そんな中での、戒斗さんの生き様っか座右の銘なんかあります?」
「『昨日を思い煩わず、今日を憂えず、明日を清く生きょ』でず。清く生きたら、昨日を煩うこともないんですが」
言いつつ、少し苦笑気味の戒斗
「最後に、R221B戦記シリーズの読みどころは?」
「俺の出てる42話から読みなさぃ」
戒斗の発言にレポーターも驚いたり
「そんな無茶苦茶な!それまでも、戒斗さんに関係のある話らしいんですが...」
「お、ちゅよあいにゃんからメールだぁ」
戒斗、携帯も取り出さず背を向けて歩いて行く
「ちょっ、、あぁ、シカトですか〜」
女性レポーターとスタッフを残して、黒づくめの男は雑踏に姿を消していった