其の四『試練といふもの』
松平トミー忠春は、峰打ち(斬らずに刀の裏側で叩くこと)でゾンビと奮闘していた。
(バシバシバシバシバシバシっ、、)
ワニワニパニックかモグ夫叩きゲームみたいさー。
「う〜ん、なかなかぁ、、」
なかなかぁ、、何なのだろうね?
アゴを上下逆に動かしながら、何だか舌舐めずりしてるょ。
だらしない口からは、よだれが絶え間無く垂れている!その量は、さながら牛並みっ
観衆がいたら、きっと気味悪がったろう、、それほどまでに忠春はヤバ過ぎた。
っか、とりあえず苦戦している様子だったり。
そこへ、、
何物かの人影が、疾風の如く現れた!あまりの速さにグランドに砂埃が舞い上がる
(シュシュシュシュッ、バシバシバシバシッ、、)
来るなり、ゾンビ達を残らず蹴散らした!強い。
舞い上がっていた砂埃がおさまり、そこに立つ人物が明らかになる。
そう、それはジジ臭い金田一な衣装に身を纏った伽羅迦であった。
伽羅迦は、上空に怪鳥が居るのを察知すると、左方向へと素早く走り出した。どんどんスピードを上げていく!やりやがるぜ。
怪鳥も、獲物を逃がさずとばかりに、彼をしっかりと追尾している。
伽羅迦の走る先には、4mはあるブロック塀が見える。行き止まりだ。
しかし、伽羅迦は傍らの木の幹を三歩駆け上がり、そのブロック塀に飛び移る。さらに斜め後方への空中まわし蹴りを繰り出し、攻撃に来た怪鳥を見事蹴り落とした。
「ていやー」
(バキっ)
まさに、三角跳びケブラーダ(プロレス技で、コーナーのロープからロープへ飛び乗ってから相手へ飛びかかるやつ)のような華麗さだ。
伽羅迦は、木へ投げていたワイヤーを使って、振り子運動で木の幹を蹴る。そして再びブロック塀の上へ移り、地上でバタつく鳥の上へ飛び降りた。
「んぎゃ」
ザコキャラのような声を上げ、怪鳥さんは迷わず成仏ちた。
伽羅迦は、当たり前のように爽やかに立ち上がりつつ、、懐から缶ジュースを取り出し飲む。
愛飲ドリンクのメッコールで、気分をリフレッシュみたいさー。
「うめェ、、ん、ぷはーっ」
伽羅迦は、走りだしながら一気に飲み干した缶をポイッと捨てた。
(コンッ)
「アチッ」
何かに当たって声がしたょ。
そう、忠春はゾンビ達と共にKOされてたのでした。
結界内のどこかでも、戦闘が行なわれていた。
1対大多数の大規模で目まぐるしいものだ。
その青年は、名を嘉神幻斗といった。
長身で眉目秀麗、長い髪も美しい絶世の美形だ。
純白のスーツにコート姿が、美しさをより引き立たせていた。
異界の者を相手に戦う姿は、神々しささえ醸し出している。
彼が舞うごとに、敵がバタバタとダウンしていく。
「うがぁ」
「うごぉ」
「こんな奴に、負けるなんて〜っ」
そんな敵の叫びをを聞いて、幻斗がちゃんと応えたりちた。
「悪いが、お前等みたいにチンタラやってる暇は無いんだよ。俺は、今までにない全く新しい世界を作って行くのさ。そういう時代なんだよっ」
発せられた声も甘くて、女性であれば誰もが惚れてしまうほどに、心地よい響きを持っていた。
「ミス・パーフェクトか、お前は〜っ(ねたりろくわかけ〜」
敵が断末魔のつっこみさ。いやー、いい仕事をしてるね。
っか、この幻斗こそが、沙羅沙の探しにきた彼氏?であったりする。
一方、沙羅沙たちは、校舎の3階にある教室で休息を取っていた。
予想外の度重なる戦闘に、さすがの彼女も負傷個所が増えているようだ。
『こんな無茶をするんじゃなかった、、、私、生きて帰れるかな?』と思う。そんなセリフをついついゲレゲレに言いそうになる。でも、カッコ悪いから言わない自分に、ちょっぴり苦笑する沙羅沙だった。
「さて、行こうか?ゲレゲレ」
教室を出ようと立ち上がった時、向こうから戸が開けられた。
「おねぇ、、」
現れたのは深雪だった。酷く傷だらけで、酷く疲れて見えた。
「深雪っ!?大丈夫?どうして来ちゃったの?」
沙羅沙は、妹の姿を見て駆け寄って行った。
ゲレゲレは、『妹か友達かな?』と二人を見ていたが、、深雪の目に殺気が見えたのに気付いた!だから、慌てて沙羅沙に向かって叫んだ。
「様子がおかしいぞ!危ないっ」
「えっ?!」
凄まじい早さの刀身が、近づいた沙羅沙の体を逆袈裟にかすめる。
Tシャツの前が、斜めに切られた。
「おねぇもパパも刹羅も、、どうして?私を殺そうとするの〜っ」
(シュッシュッ、、)
人ではないスピードで、深雪は宝刀を右手に切りかかってきた。
沙羅沙は、斬撃をかわして深雪の右手首を受け止めた。
(バシッ)
「うっ」
しかし、、左手の打撃と強烈な力で振り払われる。
「この子!?どうなってるの」
沙羅沙の驚愕も無理はない。明らかに女の子の力ではなかったからだ。
「強力な呪術をかけられている。しかも、潜在能力を開放されてるようだ。こんなのって、、」
ゲレゲレが、現状から推測して言った。
「深雪、やめてっ!!どうすればいいの?」
凶刃を避け続けるすべはない。強敵と対峙する真なる戦闘の厳しさを、沙羅沙自身がよく知っていた。けど、、やっぱり聞くしかなかったのだ。
「、、殺さなきゃ、殺されるぞっ!」
ゲレゲレは顔をしかめて、言うべきではない言葉を口にした。それでも、沙羅沙に死んで欲しくなかったからだ。
、、シリアスな展開であるが、おバカさん達についても触れねばなるまい。
善活さんは、『猫星人が全宇宙を征服しようとしてる』なんて、誰にも信じて貰えなかったので、、シンエモンさんの思考音?を口ずさみながらら、ピョンピョンと座禅ジャンプしていた。
「ボコッボコッボコッ(中略)ボコッ、、チーン」
そして、動物帝国のムツゴロウさんを訪ねることを閃いたのだ。
「あぉー、あのお方なら信じてくれるかも?うましかっ」
ほへぇ〜って表情でそう口走りながら、鉄砲玉オッサンロケット発射ボタンONっ
しかし、、ふと気が着くと、ガタリンピックで泥まみれになっていた。
電車に乗ってるうちに、干潟に向かってしまったみたいだね。
、、その頃、雨宮亭では
怪しい人と猫星人が水晶占いをしてました。
足の指に挟んだネコじゃらしで、適当にもてあそんでたりする。
「うごっ!?4年後に大変なことが起こるぞ。恐怖の大王が世界を滅ぼすみたいだ」
「にゃーにゃー(中略)にゃんぷー、、にゃーにゃぅ?(訳:それどころじゃないっての!読みが肝心だな、次はこっちかー?)」
順に黒猫のちーとゴンザレスのセリフだ。
にゃんこゴッコですか、、いや違う、奴らは本気だぜ?