其の八『m-consious』

伽羅迦は、2人の娘を担ぎ、光のシャワーの中を走り抜けていた。
(『輝いている輝いている輝いている!ワシはこんな美しい世界に生きていたのか』
つーか、深雪に命を渡したから、残り僅かの時間しかないだろう。
『そうやって追いかけてくるところをみると、お前の動ける時間は僅かなようじゃな』
いや、DIOはDIOとして、スーパーダッシュは体にかかる負担が半端じゃないな。なんせ、後で寝こむらしいからの。
ハッ!?それなら寝こんでから走ったら、めっちゃイケるのじゃないのか?でも、その間は無防備になるじゃん!とすると、護衛が必要になるな。
こうなりゃ、深雪の額に「无」って書けばいいのじゃ?早速、、走りながらなので「肉」みたくなってしまった。
ぁーもぅ、つーか、魂が入ってるのは深雪の方なので、どっちかといえばワシの額に「中」か「米」と書かないと、、いや、どのみち死ぬのだし、本末転倒じゃん!しかも字が違うし。
って、どうでもいいことを考えてるうちに、体力が尽きてきたか、、
『あぅっ、時間切れか!もうちょいなんや、何かがあるんや、確かめさせてくれ〜っ』
とか言ってるうちに、着いたモ)

サボ、、いや、ゴンザレスが緑の光でぽっかりと穴を開けてくれていた。
それが目に入ったので、伽羅迦の力は安堵感で急速に抜けていった。
僅かな力で、小声で話しかけるオヤジ。
「助かったぜ!ゴンザレス、、2人を頼むよ。特に、深雪をな(なんせ、変な呪いがかけられてるし)」
「はい、分かりましたっ!お父様っ、深雪ちゃんを一生大切にします」
「お父様って呼ぶなっ(なんか勘違いをしてるぞ、このデクブードゥー)」
結界の外に、娘達を出しながら伽羅迦は微笑み、、力尽きた。

一夜明けた雨宮亭。
夜勤明けで沙羅沙の家に駈けつけた刹羅とゴンザレスが居た。
刹羅は、ごく普通の身長に細身で顔はどことなくいとこの沙羅沙に似た感じだ。
庭先で、刹羅はゴンザレスに小声で話しかける。
「死んだか、、オッサン」
「あぃ、深雪を私に任せると言い残して、、お父様は、沙羅沙さんの記憶も消去して逝かれました。」
「そうか、、」
そこに女性の声が割って入った。
「あなたは?」
ドアが開き、パジャマ姿の沙羅沙がよちよち現れたのだ。
「お父さんの知り合いのものです」
刹羅の言葉に、ゴンザレスは何も言えなかった。
「・・・・・」
「そう、、、お父さん、どんな人だったのだろう。よかったら、教えてくださいませんか?」
沙羅沙は、全ての記憶を失ったので真剣にたずねているのだ。
「、、戻ったら、お教えします」
刹羅には、そう応えるしかなかったのかも。
「その時は、美味しい紅茶をお出ししますね」
沙羅沙は、少女のように笑った。

刹羅は、親友と過ごした短い時間を思い出す。
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「人って生き物は選ばれしものだよな。その中にも選ばれしものはいるよね」
「うん、一人とその他大勢だな」
「刹羅は最も人間らしい人間で、私は最も人間らしくない人間だね」
「俺は、むしろその逆だと思う」
「そうだろうか?XX日に、春日井小に来てくれないか。君の考えてることを知りたい」
「分かった。僕の壊れた体が、君の腕で受けとめられるかな♪みたいな」
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刹羅は、自分の意思を貫き通す為、結界の中に去っていった。

深雪の部屋で、沙羅沙とゴンザレスはゆったりとした時間を過ごしていた。
「深雪、、よく眠っていますね」
「はぃ、我が妻ながら可愛らしいです。早く目が覚めて欲しいなぁ」
ゴンザレス、あいかわらずの勘違いぽ。
「私も、いい人を見つけないとね、、」
沙羅沙は、なんとなく大切な人が居たような気持ちになる。
「ねぇ、ゴンザレス、、私、幸せだったのかな?今、生きてるってことは幸せなんだょね。きっと」
「はい、あなたは幸せですよ、、」
ゴンザレスは、悲しく微笑んだ。

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