其の九『呪jyubaku縛』
登場人物
雨宮刹羅=この物語(over_last)の主人公。沙羅沙のいとこ
嘉神幻斗=薹霊の力を得た選ばれし者
雨宮沙羅沙=幻斗の元彼女、記憶喪失の美少女
ゴンザレス=伽羅迦に召し抱えられた呪術士。伽羅迦の過去を知る男
雨宮深雪=沙羅沙の妹。何者かに強力な呪いをかけられている
ゲレ造=数奇な運命に導かれた毒小人。ピエルーにより石化された
ピエルー=魔人。人間を憎んでいる
刹羅は、結界の中に入った。
いつもの黒Tシャツに黒ズボンの上にこげ茶の皮ジャン姿だ。
首には、宝玉が付けられていた。オヤジの光・沙羅沙の闇の宝玉とは違うものだ。
そして、手に持ってきた沙羅沙のリュックから石蔵を出す。ゲレ造の首には沙羅沙が所持していた闇の宝玉がかけられていた。
(沙羅沙が世話になった生き物らしい、、オッサンと同じ技を使わせてもらうか)
刹羅は、宝玉を使った。
だが、今は何も起こらなかった。
深雪が眠る側で、沙羅沙は編物をしていた。
戻ってきたら、コタツの上に編みかけのマフラーが置いてあったから、続けて編んでいるものだ。端のほうに「G.K.」ってイニシャルが、すでにあった。その人物に送るためだったのだろうか?
(深雪が編んでたのかな?ゴンザレスのGよね)
「おねぇ、、」
「あ、深雪、目が覚めたのね?」
沙羅沙が振り向くと、深雪は護身刀を手に襲いかかってきた。
「きゃっ!深雪、やめてっ?!ゴンザレス、来てっ、深雪がっ」
隣りの部屋でオヤツを喰っていたゴンザレスは、大急ぎで部屋に戻る。ゴンザレスは、とっさに沙羅沙と深雪の間に割って入った。
深雪の護身刀が、ゴンザレスの腹に突き刺さる。
「ああっ、どうしてこんなことに!?」
沙羅沙は、混乱して立ちすくんでしまっている
「深雪、、、呪いがかけられていたのか」
ゴンザレスは、そのまま深雪を抱きしめる。
「離せっ、離せよ。こらっ!みんな殺してやるっ」
「離しません、呪いが解けるまではっ。沙羅沙さん、逃げてください」
ゴンザレスは、手に力を込めたまま呪文を唱えた。
「あああっ、、」沙羅沙は、足がすくんで動けないでいた。
「離せったら、気持ちが悪いっ」
「深雪、戻って!俺、あなたが好きです。俺は、死んでも、、いいから、、」
ゴンザレスは、流れる血も気にせずに、死ぬまで深雪を抱きしめようとしていた。