其の拾弐『昇shouka華』

刹羅は、また走馬灯を見ていた。
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「やっぱ、Vガンだろ?」
「『それいけ、僕らのマーベットさん』だな。ちがうかっ?」
「寿司かっ!?いやそうじゃなくて、カテジナだよ」
「カテ公が何だ?あんなの殺人狂じゃん。ほとんど」
「いや、あれはもっとも女性らしい女性だと思うのさ。愛する男の為だから、、みたいな」
「はへぁー、もうどうだっていいって感じにゃー」
(こんな話したっけ?つーか、幻斗ってば!キャラ壊れてるし。そーまとー塞き止めて、これ以上はヤバイぜっ♪みたいな)
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「げっげっげっ、、(よく寝たなぁ)」
ゲレ造は、結界の入口付近で蘇った。
(ピエルーの目が光った瞬間に、、って、このペンダントは!?沙羅沙は、、)
そして、すでに結界も無いことに気付く。
(ボブは、どうすればいいのだろう、、)

一方、雨宮亭
「ええっ、ちょっと、何っ、どーーなってんの!?」
「やっと戻ってくれたか、よかった、、」
何らかの作用で、深雪の呪いが解けたようだ。
「うわー、ゴンザレス!?げー、あわわわわわっ」
深雪、驚きで超・混乱状態。
「えっと、深雪が急に小刀を持って、私に襲いかかって来て、、」
「深雪、救急箱を取ってきて!止血は、自分で何とかします。私だって、ただの呪術師じゃないので。それから、沙羅沙さん、、そう、うまい料理が食べたいな」
「あぅ、分かったぁ」
「はぃ、ほんとに大丈夫ですか?」
姉妹は、部屋を後にした。

ゲレ造が復活したのと、深雪のご乱心がおさまったのは?
そう、、ピエルーの遺伝子情報を書き換え、幻斗は復活を果たしていたのだ!
「早かったな、刹羅(待たせてしまったな)」
「ううぅっ(それほどでもないよ。ただ、夜勤明けで頭がボーッとする。寝てないし)」
まともに話せない刹羅の心を、幻斗が読み取って話しているようだ。
「さっき言った事は、本当だったのか?(なんて思わないけど)」
「うっ(あぁ、ホントさ!2割ほどね。つーか、早くしろ)」
「さぁ、無に帰ろう(私は、君を吸収する、、)」
「冗談キツイなぁ(やっと、身軽になれるぜ。いろいろ)」
刹羅は、目を閉じ、、

雨宮亭では、、
ゴンザレスが、一人になった部屋で手紙をしたためていた。
(深雪、沙羅沙さんへ
私は、傷を癒すために、旅に出ます。
それはそれとして、お父さんが言っていました。
『光・闇・聖が、一つになれば完全なものとなる』と、これはきっと宝玉の影響を受けた人物のことなのだと思います。
沙羅沙、深雪、、あと、誰だか分からないけど。
近い将来、一つの決断を迫られます。その時に、、)
彼が、快調に名文が書けてると思ってたら
「ゴンザレスさん、ごはんできましたよーっ」
沙羅沙の声で、ゴンザレスの筆が止まってしまった。
「なっ、ごはんだぁ!いま、行きますー」
クシャクシャッ、ぽいっ
(やっぱ、いいじゃん!ねぇ)
と、ゴンザレスは書きかけの手紙をごみ箱に捨てた。

春日井小学校では、、
(人間の手でする最後の仕事だな)
幻斗は、校庭の片隅で70cm四方ぐらいの穴を掘っていた。
(刹羅は吸収されることを望んだのかな?彼は『今の時代でいうところの人間らしい人間でないこと』を望んだ。私が求めたのは、人間としての温もりだったろうか、、結局、刹羅を吸収することができなかった。吸収し終わった時、私は薹霊ではなくなると思ったからだ。)
刹羅の骨が入ってる小箱を、底に置いて元のように埋め始める。
(『武士の本懐とは、殿に御意見を申し上げて死を賜ることなり』か、、まったく、幸せな死に方をしやがって、、)
幻斗は刹羅の墓を作り終えると、ゆっくりと学校の外へ歩きだした。

to_be_real_the_versus...