phase4『Revenge?』完全調和

場面は、なんとかマート前
「ばんごはん、ばんごはん、食材の買い出しにょ〜♪」
原付で疾走するユキコの前に、一人の男が飛び出した。
「わ、危ない!、、轢く気マンマンの時だったら、どうなってたか知らないよっ」
かろうじて止まるユキコ。
見ると、女性と見間違わんばかりの痩身の青年だった。
「お前がアレかぁ、、ちょい相手してくれ」
「(空羅を倒す前に、こいつで試してやる」ですって?!)嫌だよーん、めんどくさいにょー」
言いながら、原付を道路端に止めるユキコ。
「ふん、Realも俺に会ったのが運の尽きや」
「(不動明王金縛り密法、、、か、そんなのにかからない)ホンキで来いっ」と気合充分のユキコ
「お前は術にかからないと意識した。その時点で勝負は決まってんねん!切っ」
一瞬だった。敵の目が一瞬大きくなった気がした。
(動けない、、かかったの!?私が)
「恐らく初めての敗北やろ?今は、トドメを刺さんといたるわ。お前には興味ないしな」
敵は、すれ違いざまに腹部に膝蹴りを叩き込み、後ろを向いたまま余裕で話した。
「俺はモンド・ニカイドウ。悔しかったら、固まらんようにしい」
ユキコは、木のように立ちすくんだまま言葉を発することも気絶すらも許されなかった。

氷の要塞と化した峠道での闘いは、第三者の乱入によって中断されていた。
「ななっ!?幻斗」
空羅がキョウコへ放った鉄山靠は、間に割って入った幻斗が両手と肩で止めていたのだ。
「や、ひさしゅー♪ってか、そこまでだ」と幻斗
少し後方には、インビジリティも切れて倒れたままのキョウコが見える。
彼女は、まだ腹部を押さえたまま立ちあがれずにいた。
「とどめを刺すことはないのじゃないか?」と幻斗
「邪魔をするなっ!一度抜いた刀を納める訳にはいかないんだ」と空羅
幻斗は、軽く身構えながら言う。
「邪魔をするなら、俺も殺すか?」
「殺す」と即答の空羅
幻斗は、安心したように笑って見せる。
空羅は、何だ?!って表情だ。
「それでこそ、人間らしくない人間だ。日々、修行をして感じただろう?グングンと加速度を増して強くなっていく感覚。走った時に足がバネのように地面から離れ、磁石のように地面に吸い付く感覚を。次元を打ち破ったことにより、自信に満ち溢れる喜びを。でもな、強くなったのじゃなくて、強くなるべき存在であったんだな。」と幻斗
「そりゃそうだが、論点がずれていないか?」
空羅は、ちょっとアキレ顔。
「そうそ、沙羅沙は俺が殺したよ。ほら」
幻斗は、10mほど離れに横たわる沙羅沙を指差す。
「(お前が殺す訳ないじゃん)、、悪い冗談だぜ。」
空羅は悲しみに、キョウコは驚きに支配された。
「ちょい、ゼロと修行の約束をしてるので☆チャオ」
場違いな明るさで言って、幻斗はその場を去った。

場面はW・グルーブ邸。
8年前と同じように、ブルーの牧師服を纏った大男が訪ねていた。
「ユキコさんは、ご在宅かな?マーク」
「(ヤバイですね!この展開は、、)買物に出かけてます。よかったら、夕食でもご一緒し、、」
話すマークの顔面を、ゴンザレスの右手が掴み上げていた。
「では、リベンジをさせてもらおう。お前を殺さねば、私の命が危ないのでね」
宙釣りのマークの下から、激しい竜巻が巻き起こった。
「がぁぁぁっ、、(どうすればいいんだ!ユキコさん、ユキコさん)」
息をすることすら困難な嵐の中で、マークは愛する人の名前を繰り返していた。