phase6『Second_adoption』永遠と引き換えに

空羅は、4人の刺客を倒して敵の本拠地である城の奥へと進んでいた。
(コナー、待っていろ!今行くぞ)
絵画が両脇に飾られた豪奢な作りの廊下を進む。
その奥に、一際大きな扉が見える。
そこが、倒してきた敵が言っていたボスであるコナーのいる場所だ。
近づくにつれ、扉は内側へと開いていった。

「来たか、空羅。なるほど、今までの奴等とは別格のようだ」
赤系統のコートに身に包んだ大男は、大きなつくりの椅子から立ち上がって、客人を迎え入れるべく話し掛けた。
上背は2メートルを越えているだろう、彫りの深い端正な顔立ちにブロンドの長髪、ボスキャラらしいボスキャラだと空羅は思った。
「部下は、全員倒したよ」
「ありがとう、無能なのでクビにしようとしていたところさ。だが、お前はいいね!いや〜、いいよ。うん、い〜線いってるよね。良ければ、私の片腕にしてやるぞ」
「じゃぁ、入団テストしてくれ。間違って、殺すかもしれないけどな」
次の瞬間、気の高まりきった両雄は戦闘体制へと入っていた。
俊速でコナーが突進し、ガードの上からボディーブローを叩き込む、踏ん張っても衝撃で後退させられた空羅に、続いて右左の回し蹴り、右腕のハンマーパンチの連続技が襲いかかった。
空羅は、ダウン後に横へ転がり回避を試みる。
追い討ち攻撃にきたコーナーの浴びせ蹴りが、腹部に当たったが深く決まらなかったので大ダメージは免れた。紙一重で見切ることが出来たからだ。
空羅は、潜在能力を完全に開放する。
コナーは、休まずにまだしゃがみ状態の空羅へ右のローキックを放つ。
空羅は体当たり気味にガードし、ドラゴンスクリュー(全身回転しての足決め技)へと移行する。
コナーはダメージを受けない為に、回転方向へ自ら体を捻りながら飛んだ。
空羅、右足をそのまま離さずに、裏アキレス腱固めを狙うが、左足の蹴りを避けて離れて立ち上がる。蹴りをかすった空羅の額から流血していた。
コナーも即座に立ち上がり、構えを取りなおした。

トニーが見ていたら『凄いや、テリー!やっぱ、テリーは最高だ』と感激しただろうか。
「素晴らしい、予想以上だよ。やっと本気で闘える相手と巡り合えたようだ」と興奮気味にコナー
(喜んでやがる、、こっちは予想以上に手ごわいので焦ってるのにな。せめて、ダメージ回復が望める大地の上で闘えれば)
「一つだけ、お願いがある!こんな清々しい闘いは、自然の中でやりたいんだ」と策士な空羅
「いいだろう。では、城の外まで逃げながら闘うがいい」
言うなり、コナーの猛攻が再開された。

ガードを保つのすら出来るのか不安になるような攻撃だった。
(攻めなければ、大地へ出ることもできない)
空羅は、攻撃の合間に割り込んで、超必ランクの技をぶつけてみた。
「喰らえっ(受けてみろ、奥義・蒼天無影脚を)」
飛び蹴り状態から、数十発の蹴りを一瞬で叩き込む技だ。
飛燕の如き連続蹴りが来た瞬間に、コナーはガードを固めてしゃがみから立ち上がった。
きっと、最初に立っていたなら、下半身からガードを突き破られていただろう。
天才的な格闘家の勘が、、いや、キャリアのあるコナーだからこそ出来たのだ。
「凄まじい技だったな。おかけで痺れてしまって、しばらく腕が使えないようだ」
「そうだろう、、またな(ガードしきるなんて思わなかったぜ)」
空羅は、城の出口へと向かっていた。
思いっきり走っているつもりだが、コナーの攻撃をガードし続けたのと、渾身の技を繰り出した後なので、自分の動きがスローモーションに思えてもどかしかった。
走る廊下の後ろから、コナーの声が聞こえてきた。
「嬉しいよ。君と闘っていると、中国拳法の全てをマスターできそうだ」
空羅は、輝きを失った聖なる宝玉をなんとなしにキツク握っていた。