--W・グルーブ邸--
そこには、無傷で多量の返り血を浴びた牧師服の大男だけが立っていた。
マークとキョウコはうつ伏せに倒れ、ユキコは力なく辛うじて方膝を付いていた。
「死ね!realよ」
ゴンザレスが、ユキコの額を再び掴みかけた時。
「ちょっとまったー」
よく通る声が、戦場に響き渡った。
4人の目は、その一点へ向く。
声の主は、小さな子供だった。
深雪を思わせる顔立ちだと4人は思った。
「待つわけないだろうがっ」
ゴンザレスは構わず戦闘に戻るべく、ユキコへ攻撃を振るった。
(スカッ)
「何だ?!」
雪羅が俊速でユキコを移動させた為に、ゴンザレスの拳は空を切った。
「えっ?!」
キョウコは、絶望的状況の中で子供を見つめる。
(味方なの?味方であって、、お願い)とキョウコ
「名探偵の推理を披露するには、人が少ないね。さらに減るしツマンナイのー」
4人の注目を集める雪羅、その次の行動は?
(どすっ)
ユキコの腹部に、雪羅の小さな拳がめり込んでいた。
「痛っ(おなかばっかし、女の子なのにー)」
「イタダキマンボが、どうかしたのでござるか?(なんてね)」と雪羅
ユキコは、気絶してその場に崩れ落ちた。
「敵なの!?、、もう、終わりね」とキョウコのつぶやき
「ははははっ、味方なのかっ!面白いぞ」とゴンザレス
「、、、、、。」微かに気を取り戻しかけのマークは目が虚ろだ。
雪羅は、続いてマークに近づいた。
そして、往復ビンタを連発。
(スパパパパパパパンッ)
「ちょっと、しっかり聴いてくれないと困るんだ。こじゃんと起きなきゃ殴るっち」と雪羅
「あうあぁぁぁぁ、、もう殴ってるんです」とマークは力なく言うしか
攻撃目標を失ったゴンザレス・絶望状態のキョウコ・頬が痛いマークは、雪羅を注目した。そんな雰囲気が、この子供に宿っていたからだ。

「全ては、天才呪術師と一人のアホから始まったのです。サノスは8年前の幻斗の新時代宣言から、この世界へ3人の人間を連れて来てしまいました。
自然の法則で、同じ命を持った者同士が同じ世界に生存できません。そして、オリジナルとアナザーはどちらかが生か死を選ばされることになったのです。それぞれ、沙羅沙=キョウコ・深雪=ユキコ、ゴンザレス=マーク、(ゲレ造=ゼロ、幻斗=私)です。
ゴンザレスは、サノスを倒すことを考え実行にうつしました。彼の最高奥義である時間停止を使い、自らを犠牲にサノスの体を乗っ取りました。それはうまくいきました、、しかし、強大なサノスの精神力は、短時間でゴンザレスの精神を食いつぶしてしまったのです。サノスの恐ろしいところは、精神が1つではなく、善・悪・中立・神聖の4種の精神を持っていました。サノス本来の体を中立の精神が制御し、ゴンザレスの体を善の精神が、サラサ(沙羅沙・深雪)を神聖の精神で制御したのです。そして、地・雷・火・氷・風・時の6種の特殊能力を分け与えました。」と雪羅の独演
(そんな、、私の能力って、まさか!?)
キョウコは、雪羅の話を聞いて表情が青ざめていた。
「?!嘘だー、、俺は俺なんだっ」
ゴンザレスは、その場に崩れるように膝を着いた。混乱と驚愕でパ二クリMAXって感じ。
「その後は知っての通り、薹霊大戦でサノス本体は幻斗に浄化されました。もうお分かりでしょうけど、サラサ(沙羅沙・深雪)を支配していた神聖の精神は、幻斗による浄化前に周辺で一番精神力の弱かったキョウコへ退避しました。つまり、ゴンザレスだけでなくキョウコも合わせて、、あなた方2人はサノスなの。」と雪羅
その場に、しばらく沈黙が流れた。
「、、悪と時は?どこへ(悪の精神と時の特殊能力は、、)」
マークが、やっとの思いでつぶやく。
「最強最悪の敵とは、俺の父が闘っているはずです、、勝てるかどうかは分かりません。ただ、父には幻斗から闇の宝玉が渡されているはずです。だから、勝ち目もあると思っています」と雪羅
キョウコはそれを聞いて、懐に手を入れながらぶるぶると震えてしまった。
「闇の宝玉って、、これなの?空羅が私に持っていろ!って」
キョウコは、黒く輝く宝玉を手にして差し出した。
「、、そんな。ゴンザレス、光の宝玉は?」と雪羅
(薹霊の宝玉なら、幻斗より預かっているのだけど、今は黙っておくか、、)
マークは心でそう思ったりした。けど、雪羅には筒抜けなんだょね
「宝玉なら、持っている。それより、そこへ案内しろ!場所は分かっているんだろ?(俺のやるべきことは、、)」とゴンザレス
雪羅は、キョウコ・ゴンザレス・マークを見ながら言います。
「全ての宝玉は、俺が預かります。場所は、あの山頂の城だよ」
光・闇・薹霊の宝玉を回収した雪羅は、指差したコナーの城を目指して走り出す。