--コナーの城--
「見えたー!1、2、3、、、っと思ったのに」と空羅
空羅は、城の出入り口直前で抜き去り回りこまれたのを感じた。
廊下の壁を背にガードを固める。
「残念だったな。」とコナーが前から横からの蹴りを10数発、一瞬で叩き込んだ。
空羅は、重い蹴りに腕が痺れるのを感じた。この腕はしばらく使えないだろうと思う。
(もう、少しなんだ。地上まで)と空羅
コナーはガード一方の空羅を掴み投げて、左のハイキック・右の膝蹴り・左の後ろ蹴りを叩き込んだ。
一瞬、2人の距離が少し離れた。
空羅は、このチャンスを見逃さなかった。
コナーが後ろ蹴りから構えに戻るまでに、ダッシュで間合いを詰めて再び無影脚を繰り出す。
数十発の蹴りが、コナーのガードを突き破りヒットした。
(ががががががががががっ、、、、、、、、、)
そして、追い討ちに鉄山靠を重ねる。
「ねりゃぁぁぁっ」
だが、空羅は今までのダメージが大きかった為、完全な威力の技ではなかった。
「、、、ぐぅ、やるなっ」
コナーはよろめきながら、2歩後退し踏み止まって言う。
空羅は、前転してやっと地上へ出ることに成功した。
大地の慈愛が、空羅の傷を癒していく。
「痛みだ、この痛みもこの世からなくなる」とコナーの叫び
続いて出てきたコナーに、空羅は攻勢をかける。
ダッシュからのタックル、右のローキック・左のミドル・接近しての左右の突きを連打する。
「それは、お前が世界征服をするからか?なら、無理かもな」と空羅
コナー、体ごと押されながらも全弾ガード。
「戦いの無い世の中を作ることがいけないことか?絶対の力で支配して、下等動物共を救ってやるのだぞ」とコナー
逆にコナーは、ワンツーとローキックから無影脚を繰り出した。
(どぐがががががががががっ、、、、、、、、、)
恵まれた体から繰り出される超・必殺技にガードを崩されていく空羅。
(キツイが、所詮にわか必殺技だ。どこかに突破口があるはず)「ぬぅぅぅ、、、いけなくはないが、人が闘えなくなってたまるかよ!そうだろっ?幻斗っ」と空羅の必死の絶叫だ
そして、技の終わり際の一瞬の隙に、ジャンピングアッパーカットで跳ね返し
コナーの起き上がりに、中断への飛び蹴りからのラッシュへともっていく。
1発1発に自分の鉄の意志を込めて、上下にガードを揺さぶり連打を浴びせる。
「何だこの技は、、うがぁぁぁ」驚愕のコナー
最後に放ったのは、ありったけの発勁を込めた崩拳だった。
「自然の極致、、、太極拳」と全ての力を出し切った空羅は答えた
コナーは、立ったまま5、6メートル以上も滑ったところで、両膝をついてうずくまった。
空羅は、右腕に骨が粉々に砕けたような感覚を感じていた。
(はぁ、はぁ、はぁ、、、、さぁ、どうだ)と仁王立ちの空羅
「驚いたよ、まさか私とここまで闘えるなんてな、、、おめでとう、入団テストは終わりだ」と相手を賞賛するコナー
「、、、、。」それを聞いた空羅には、もう返す言葉が見つからなかった
方膝をついたままのコナーを、満身創痍の空羅はただ見つめるしかない。
「とても楽しかったよ、空羅」
コナーの声が聞こえた瞬間に、空羅は空間が歪むような感覚がした。そして、、
(体が、、動かない!!)
「いくらお前といえども、時間が止まっちゃどうしようもないだろう」
コナーは言い、動けない空羅の顔面を左手で掴み上げた。
そのまま、体全体を押し潰すが如く、勢いを付けて城壁へと叩きつける。
城壁にめり込み、貼り付け状態となった空羅へ、コナーはトドメに崩拳からの鉄山靠で圧搾する。空羅の頭は割れ、体中の骨は砕け、全身からおびただしく流血した。
「グアッ、、」
口からも、大量の血があふれ出る。
(空よ、雲よ、心があるなら教えてくれ。人の心はどうして、こんなにも荒んでしまったのか、、、)
空羅は、薄れゆく記憶の中でそうつぶやき、観念したかのように静かに目を閉じた。
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「空羅、頑張って!諦めないで」と沙羅沙の声
「お父さん、もう少しもう少し待ってて」と雪羅の声
(、、、誰かの声が聞こえる。良く聞き慣れた声が、、)空羅には、もう夢か幻か分からない
「ヘイ、ゲレゲレ。そろそろ学校に行くしか!」
(違うよっ、チャッキー。今日は日曜だよっ、ね?お母さん)これが、走馬灯っていうものなのか
「そう、もっと寝てていいよ、、よく頑張ったよね。ゲレちゃん」と優しい母の声
(、、、うん、、、おやすみ、、、。)空羅は、何だかひどく眠くなってきた
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無敵を誇っていた空羅の命も、、ついにこの世から消え去り永遠の眠りに着いた。