vol.5『永遠の約束』-my_faith-
雪羅と初音が初めて出会ったのも、雪羅が集団で絡まれた時だった。
過去に、初音の母親=奏子と比良坂初音が出会った時と似ていた。
結界(使われなくなった教室)の中で、雪羅もまた咎を背負い、同じ時を重ねた。
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私(雪羅)は、空羅と沙羅沙の間に生まれたの。
正確にいうと、薹霊=幻斗によってrealの進化した存在=thirdであり、幻斗のアナザーとして、この世界に配置された。
realは、心で話ができる存在。
thirdは、、死者の記憶を全部引継ぐの。
そうやって、他の人とは明らかに違う人生を今まで生きてきた。
どうして私だけ、苦しい思いをしているのだろう?ってね。
あなたも良く似た思いをしてきたのかな?
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ねぇさまと私(雪羅)って、ねぇさまのお母さんと初音さんに似てるよ。
ねぇさまのお母さんは、気持ちを貫いて蜘蛛にしてもらったの。
ねぇさまと私も、意思を貫けるよね?
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(貫けるだろうか、、)
初音は思った。
貫く為に、、永遠の生が必要なのじゃない。
失う辛さから逃げない!、、でも、忘れないで私を。
雪羅も同じように、思ってくれているのだろうか。
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体育館での戦いの後で、雪羅と初音は白い糸に包まれた部屋にいた。
部屋は、ふかふかのベッドのように温かかった。
「ねぇさま、傷は大丈夫?」
「平気よ。それよりも、あの娘達のことを教えて」
デュイは、葵の入院している病院に来ていた。
あの日から、なんとか情報収集して探し当てたのだ。
葵は、同じ高校生で一つ上の学年だった。
怪我は、全身に渡っていたが打撲や亀裂骨折というものだったらしい。
病室についてみると、ベッドに葵の姿はなかった。
周りに聞くと、「屋上じゃないかな?」ということなので、向かってみた。
屋上の手すりを掴み、空を眺めている葵を見つけた。
デュイが近づくと、葵は顔を向けた。
戦闘時に完璧なガードをしていたのか、顔に傷は全く無かった。
デュイは、微笑みながら言う。
「痛みは和らいだ?っか、覚えてるかな?いろいろさ」
「2年のデュイくん、、気がつくと病院のベッドで寝てたの。ケガは、そのうちに治るみたい」
葵も微笑みながら言った。
「空が好きなのか?昔からさ」
デュイは、昔を思い出しながら聞く。
「空を眺めるのは好き。飛ぶために、風を集めてるのかもしんない」
「♪心に風を集めて、飛べる日を待っている、I_wanna_let_you_fly_so_high.濡れた翼、涙が染み込んでるせいさ」
「、、ちょっと」
「淋しさから逃げ出せても、まだ夢に届かない、迷う君が君を探す、オデッセイは今始まる、抱き締めろ、グロリアス♪」
「歌うなー」
二人とも笑ってた。
(葵、現世でも必ず守るからね)
ゼロは特訓を積んでいた。
対初音&雪羅用のものだ。
小さいミカルに、思いっきり石を連続で投げてもらっていた。
「お兄ちゃん、手加減しようか?」
ゼロは簡単に避けられなかった。
意思を覗ける相手からの攻撃は甘くなかったみたい。
「ミカル!手加減したら、おやつを取り上げるぞ」
「むー、ヤだ!」
ミカル、思いっきり投げた。
一つの石を避けて移動したゼロの顔面に、すでにそこを狙って飛来していた石がぶち当たった。
「うごぁーっ」
「無様だな、ゼロ。ミカルちゃんケーキ食べる?」
デュイが、ケーキの箱を手に微笑みながら立っていた。
「何だと!お前がやってみろ」
ゼロが吠えたけど、聞いちゃいない。
「わ、ありがとー」
「ジュースもあるよ。なっちゃんね!田中麗羅いいよなー、、あ、ミカルちゃんはholder5のAKINOに似てるな。将来モテモテかも、パプアニューギニアの珍獣モテモテね。今度、おしるこ食べに行こうかー?」
「うんっ」
パクつくミカル、しゃがみこんでしゃべるデュイ。
「ミカル!知らない人から、食べ物をもらうな。デュイ、、勝負してやるっ」
「知らない人じゃないもん。お兄ちゃんの知り合いじゃんか」
「そうせくな、お前の分もあるから食え。おいしいねー、ミカルちゃん」
強引に、ひとまずの休憩みたいだ。
食べ終わりー。
「おし、ミカルはさっきみたいに石を投げてくれ。んで、、んごー」
ミカル、素早く投げていた!デュイの顔面にヒット。
「だーっははははっ」
「まだだ、、合図してからね(説明の途中なのに)。っか、笑うな!ゼロ」
デュイ、軽く咳払いして続ける。
「合図したら、ミカルは石を投げつつゼロに俺の行動を伝える。ゼロは好き勝手に骨破拳で来い」
全員、身構えた。
「いいぞっ」
ミカル次々と石を投げるも、デュイは全弾回避。
「あれー?」
背後からのゼロの鉄指も避け、手首と肘関節を決めてサンセットスプラッシュ(変形一本背負い)気味に投げつけた。
「ぐぅ、、な、なんなの?ミカル、ちゃんとやったか?」
ゼロの問いに、ミカルは可愛らしく首をかしげながらいう。
「意思が、、見えなかったの。おかしいなー」
デュイ、汗もかいてないのにマユゲワイパーして自慢ゲだ。
「何も考えずに動いたからさ」
(何て、、奴だ。味方でよかったぜ)
ゼロは、いずれ闘わねばならない気がする相棒の強さに驚きを隠せなかった。
次回、vol.6「闘いの意味」にご期待ください。