vol.7『泡沫の終焉』_end-second_edit-
激しい攻防の果てに、、それは起った。
(ゼロ、、私、一つだけ嘘を吐いていたの。ゴメンなさい、、)
「ごめんなさい、初音、ゼロ」
ゼロの初音への攻撃に雪羅が割って入った時、雪羅の胸をゼロの手が貫いていたのだ。
衝撃的な出来事に、
初音の双眸からは涙が流れ続けていた。
(私は、、まだ死ねない!もう少し、もう少しだけ)
ゼロは、雪羅の死に直面して虚しさを感じた。
虚しさ?虚しさだろうか、、守るべき物を失ったことがキッカケになったのか、初音の攻撃により意識が飛んだのか、、無の境地?闘争本能に支配された。
これが、皮肉にもゼロの望んでいた『最強』の2文字だった。
-----
デュイは、奏子と初音の情報収集に走りまわっていた。
途中で、手からビームみたいに気を放つ奴がいた。
(「恐ろしげな奴もいるんだなー」って感じー)
そしてデュイは、比良坂初音と銀の闘いの現場に辿りつく。
学校の屋上での『永遠ではない流れる時』を求める闘いを目撃した。
銀を道ずれに死んだ初音の後を追って、奏子が自害するのも見ていた。
「生まれ変わったら、、一緒におててを繋いで、美味しい紅茶を探しに行こうね」
奏子は、最期にそう言い残した。
、、デュイには止められなかった。
時空を越えたラストシーンに、部外者が立ち入れる訳がなかったのだ。
デュイが何もすることなく、、深山初音の結界は奏子が死ぬことによって解かれた。
つまりは、もう無敵では無くなったことになる。
デュイが現世に帰ろうと、宝玉を使って空間に黄金の穴を開けた時、手からビームな男が、させじと切りかかってきた。
長身に純白のコート姿のロン毛美形野郎だったさ。
「悪いが、試合を申し込む!」
「そんな暇ないしー」
美しい笑顔を見せながら、鋭い斬撃を送る男。
急所を外しながらも、少しずつ切られていくデュイ。
「じゃ、手短に、、私は嘉神紫水(kagami_shisui)。世界を導くために生まれてきた」
「俺は、神は信じませんのでー」
上段の攻撃を白刃取り、二本背負い状態で脚を跳ね上げて投げつける。
紫水、途中で刀を離して着地するや、デュイの胸にかかる宝玉を左手で握り、右手のビームをデュイの腹部に放った。
「のぁっ、やめれーーっ」
デュイが吹っ飛んで次元の穴に入った後には、薹霊の宝玉は紫水の手に渡っている。
(ちょい貸りる☆ねっ)
お茶目にウィンクしながら、バイバイする紫水であった。
----
擬態を解いた初音を相手に、化け物から見た『弱いはずの人間』が互角以上に闘っていた。
それは、ゼロが解放された潜在能力と闘争本能で闘っていたからだ。
やがては、鋼のような装甲を弾き、初音の急所を鉄指が貫いた。
-
初音は、雪羅が居てくれたことで救われたと思った。
自分のような存在に、自分の人生の意味を与えてくれた。
母親と自分を、永遠から解き放ってくれたことに感謝した。
そして、同じように後を追えることが幸せだった。
初音もまた、流れる永遠でない時を得て、幸せに天に召されていった。