初音を倒したゼロは、、駆け付けて共に闘っていた葵を次の標的としていた。
葵は、ゼロの猛攻を間一発で楯により防いでいく。
防具にヒビが入り、葵が死を意識した時だった。
デュイが、白銀の穴より過去から帰還してきた。
「ゼロ!?、、もう、闘わなくていいんだっ」
叫んだが、距離が遠かった。
間に割って入ろうとデュイが駆けつける前に、ゼロの鉄指が防具を突き破り葵の胸を少し霞めた。
激痛に前かがみとなった葵を狙う狂拳を、デュイはやっとのことで蹴り上げた。
続いて後ろ蹴りで少しだけ距離を稼ぐ。
食らったゼロは、2歩ほど後退した。
(どうすればいい、、ああなると気絶させることもできないぜ)
「葵、離れるんだ!少しでも」
葵は、肋骨を折られたであろう胸をかばって抑えながら、なんとか2メートルほど歩いたところで両手両膝を地面についた。
苦しみながらも、懸命に1cmでも離れようと這っていく。
ゼロは、手の平を見るように右手を上げる。
その手が輝いたように見えた!草薙条のゴージャス投げの構えだ(違。
ゼロが突進した。
デュイは、背後に葵が居るため避けることを許されない状態だ。
突進を止めるように、デュイはスライディング気味に回転後ろ足払いを出す。
ゼロはその足を狙い、右手を振り下ろした。
それを感じて、デュイは手をついて急停止して、上段の飛び蹴りを繰り出した。
丁度、サマーソルトのような格好だ。
それを落とそうとした、ゼロの左拳と相打ちとなる。
デュイの左足から流血した、、骨にヒビが入っただろうか。デュイもだが、ゼロも血だらけでバーサーカーのように荒い息だ。
(手加減なんかしたら、死ぬことになるな。葵、、『結果ではなく、過程が大切』なのだと教えてくれた人)
「守ってみせる!命を賭けてもっ」
デュイの覚悟をゼロも感じたのか、全身全霊を込めた最終奥義の構えに入っていた。
胸の前で腕をクロスさせて、気を高めていく。
「こぉぉぉぉぉっ、、」
次の瞬間、ゼロはトリガーを引かれたように突進していた。
デュイは、逃げる訳にいかなかった。
ゼロの鉄指がデュイのガードをぶち破り、十数回もデュイの胸に突き刺さった。
デュイの胸と口から、多量の血が流れ出す。
意思の力が突き動かしたのか、最終奥義を受けきってトドメの突きを弾いた。
そしてデュイは、逆に最後の力で最後の技を繰り出す。
密着状態から、丁度背負い投げ風の態勢で、ゼロの下アゴの骨に左手をかけて突き上げる。
(ガッバシッ、、ドガッ)
右手で胸に発頚を当てる。
ゼロの身体は、浮かび上がり空中で弓なりになった。
デュイは、逆さまとなったゼロの両リストを極めて、そのまま地面へ顔面から落下させた。
それらの動作は、まさに一瞬だった。
時が止まったように、床へ突き刺さったゼロの身体は、やがてブリッジを描くように背面へと崩れ落ちていった。
デュイもまた、力尽きて背後へ大の字に倒れ込む。
思い出したように、デュイの胸から血が噴き出した。
「デュイ、、死んじゃヤだ。葵を一人にしないでっ」
葵が、デュイに這い寄りながら言った。
やっとのことで、デュイを抱き起こす。
愛する人の温くもりを感じた時、デュイは薄れゆく記憶の中で、全ての空間が白銀の光に包まれていく気がした。
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痛みはなかった、死んだからだろうか、、?
横たわるデュイの前に、白いコートに身を包んだ見覚えのある男が立っていた。
「お前は紫水?、、」
「幻斗だ」
「あいつの子孫か?」
「ん、お前に薹霊の力を譲る。新しい世界を作れ」
「あいつは?ゼロを生きかえらせたい、、」
「死んだ人間は無理だ、、転生させろ」
「俺は、、おい!?」
デュイの前から男は消えた。
(カツゥ、、ン)
幻斗が去り際に放った薹霊の宝玉が、地面にぶつかって、、割れた。
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「なっ!割るんじゃねーよっ」
「きゃっ」
突然、叫びながら起きあがったデュイに、側に居た葵はビクッと驚きMAXさ。
一瞬、デュイの身体が白銀に輝いたっぽいけど、二人は同じ時を過ごせる嬉しさで全く気にならなかったっぽい。ぽいぽーい