Invulnerability

嘉神幻斗=長身でロン毛のにいさん。紫水のクローン
空羅=幻斗の親友
セス=万能文化格闘娘
レイド=幻斗へ想いを寄せる少女
嘉神紫水=絶対神

日が昇り始め、孤高の絶対神を照らし出し始めた。
紫水は同調するように目を開き、今まさに戦場へ駆けてくる三人を見た。
「着たか、、猿」

幻斗と空羅とセスは、連絡を取り合うでもないのに、同じ場所に辿り着いた。
幻斗は白系の上下に白のコートと白ずくめ、空羅は黒の上下にこげ茶の皮ジャン、セスは紺地に豪華な花の刺繍の入った中華風格胴着を着ている。
とりあえず、セスが目立ちまくってるが、三人ともいかにもな感じだ。
「鴛鴦、、」
「紫水、、」
「幻斗に、、そっくりじゃ」
空羅は、仁王立ちして燃え尽きた鴛鴦を見ていた。拳を硬く握っている。
幻斗は、天敵を見るように紫水に目を向けていた。
セスは、幻斗と紫水をチラチラと見ている。

「そりゃそうだ、幻斗は私のクローンだからな。他の二人は初めまして」
優しい微笑みが、よりいっそう凄みを増加させる。
「とは言っても、、少し遊んだら、すぐにサヨナラしなきゃいけないがな」

空羅は、思念を飛ばした。
(幻斗、、とりあえず、奴の攻撃を凌ぐんだ。俺は、まず彼女に前世の記憶を渡す。それから、、彼女と二人で、何とか奴の隙を作ってくれ。そしたら、俺が一気に決める)
幻斗は、聞いたりした。
(前世って、誰なんだ?っか、お前、、いつからサードの能力が!?)
(雪羅が死んだ時に、意思が流れ込んできた。サードじゃなく、フォースさ)
そんな、一瞬のやり取りの間に、、ちゃっかり、セスが仕掛けてたっぷー。
(ちょっとぐらい待てよなー)
と、幻斗と空羅は思った。

「はにーにゃんぷー」
緊張感のない声でセスが叫ぶ。
猫だ、、ダッシュ猫投げ。それと同時に上段への飛び蹴りだ。
「む?」
紫水は、硬質バリアを張った。
猫、、弾き飛ばされ。
(にゃ、にゃー)
続いて、セスの蹴りが紫水を捉えた。
(がしっ)
「何っ!?」
紫水、左腕で払った。
投げをかけられた如く、セスが2メートルほど飛ばされる。

紫水の左ガードが上がった瞬間だった。
「うおおぉーーっ」
幻斗がショルダータックルからの右ジャブ・左ローキック・右ミドルキック・左膝蹴り・右ボディーブロー・ボディーへの右正拳突きを決めた。
紫水ダウン。
幻斗、深追いをせずに待った。

空羅は、瞬速で着地前にセスを抱きとめていた。
「えっ?!」
セスは、ちょっぴり驚きの声をあげた。
(自分が勝負を挑んだ時、闘おうともせず?子供をあしらうように、強さを見せつけて跳ね除けられた。
それから、稽古をつけてもらった。
「24時間、隙あれば殺す気でこい」
いつも厳しかった。そんな空羅が、、抱きしめてくれた。)
セスが、メロメロモードに入りかけた時、、自分の頭の中にビジョンが流れ込んできた。
前世のゼロの記憶、空羅や幻斗やデュイや葵と共に戦ったこと。
(私は、ゼロだったんだ。何だか凄いっちゃ。っか、空羅、、大好き。失ってはいけない、、いけないんだ。)
セスは、メロメローンな目から一転、おっきな目を凛々しく輝かせた。

「行って!空羅っ、あいつに会ってくるっちゃ」
『あいつ』とは以前に、セスが空羅へ話をしていた鶺鴒(seki-rey)のことであった。