Final_Fight

空羅=さまざまな人々の命を背負って戦ってきた男
嘉神紫水=絶対神
鶺鴒=美人占い師
シャチョキャラット=和製・ハーレー彗星の異名を持つ変態オヤジ

えっと、、
重力により衛星軌道を外れたおっさんが、大気圏突入を果たそうとしていた。
誰も覚えてないだろうけど、、セーラー服を着てた変態オヤジである。
(コスチュームが燃えちゃったので、生まれたままの姿になっちゃった。当然ながら、エッチな気分になっちゃったっ。あ、、シャチョキャラットちゃんのは、すっごく大きくて逞しいことを見せつけなきゃー)
「はーっはっはっはっはー、はーっはっはっはっはー、、ノー・ローソ」
裸のおっさんは叫んだ。だが、上空すぎる為に誰にも聞こえなかった。


♪この何処までも続く白い大地は遠く
もう張り叫ぶ声は、誰にも届かない
この何処までも続く白い大地に深く
また落ちてゆく、僕は誰にも癒せない
その小さな躰を包むように
鶺鴒の優しさに抱かれ、、


セスに聞いていた小さな店に入ると、なるほど薄暗くてそれらしい感じがした。
蝋燭の光に映し出されて、黒いローブ姿の占い師が座っているのが見える。
顔が見えるが、髪形とかは分からないような感じだ。
完璧二重瞼で鼻筋が通っていて、美形であるのは分かった。

何やら、前には女性のお客さんがいるようだ。
「んー、人相は、、、グラに似てますね」
「グ、グラニテー!?」
「っか、自分で言っておきながらだけど、グラっていったい何かしら?あはははっ」
「ぷー、、トモちゃん、お家帰るっ。ぴー(:-;」
言葉の意味はよく分からないが、とにかく酷い接客である。
女性客は、嘘泣きしながら帰っちゃったり。
「あの、、ふぅ、お金を貰い損ねちゃった。私、占い師に向いてないのかなー」

空羅は、そのやり取りを見ながら棒立ちであった。
占い師は、それに気付くと元気良く言った。
「お待たせしました。次の方、どうぞーっ」
「いや、、最近、胃の調子が悪くてね」
空羅は、仕方ないのでコントに付き合うべく椅子に掛けながら言った。
「そうなんですかー?脂っこいものや飲みすぎが続いてるのかもー。そんな時は、少しの間おかゆなんか食べるといいですよ。鶺鴒は、そうしてるなー」
、、お、オチがない。
「、、なるほど、俺もそうしてみっかなー」
空羅がそう応えると、鶺鴒はニコニコしてたりする。
「はぃ、お大事にー」
凄まじい天然っぷりだ。
「、、、っか、セスに『鶺鴒に会え』って言われてきたんだけどさ」
空羅は、気を取り直して切り出してみた。

(ガタンっ)
「くぅ?!」
鶺鴒が突然立ち上がったので、空羅は驚きの声をあげたよ。
「セスちゃんの友達なんだー。なら、もっと早く言ってくれればいいのにー」
鶺鴒は、薄手のローブをばっと脱ぎながら、壁にあるスイッチを押して、部屋の電気を付けた。
下は、ギャル系な服装だったり。
っか、似ていたあの人に。
(幻斗に、、会わせてやりたかったな)
「今、飲み物を出すから待っててね」
さらに、ニコニコしながら奥の部屋に行きそうになる。
「いや、いいんだ。それよか、、」
空羅の言葉に、鶺鴒は振り返って応える。
「最後くらい、ゆっくり話がしたいの」
(、、最後か)
空羅は、それを聞いて鶺鴒に従った。

鶺鴒は、何やら首に付けたネックレスを取り出す。
「これをあげます。家宝の守りのコインなの」
「そうか、ありがとな」
そういって、黄金の金貨を受け取った。
一見、そっけない言葉だけど、、今はもう、全てが共有すべき物なのだから、当たり前な言葉でもあった。
コインを、皮ジャンの胸ポケットにしまい込む。
受け取る時に手と手が触れ合った。
絶望に触れた指だから、、ひどく温かく感じた。

二人が言葉を交わして、グラスのジュースが無くなる頃。
鶺鴒は、涙を流しながら言った。
「その勇気に敬意を表して、、あなたが負けた時に一つだけ願いを叶えます」
微笑みながらVサインをして、空羅は『たった一つの願い』を伝えて店を後にした。