しかし...
鏡維は、コートの胸ポッケから『つまみのピーナッツ袋』を取りだしながら言う。
「ピーナッツな、、緊急食にもってこいなんだが使わせてやるよ。交互に鼻の穴に詰めていく。先に鼻血が出た方が勝ちだ、、お笑い的にね」
ちょい笑いながら言いつつ、言い終わりに真顔で二人を見つめた。
(、、、、って、マジ?)
一瞬、間が開いた。
「お、おし、、サクサクいくか」
「おっけ、やってやるぜ」
熱い戦いが始まった。
ひとつ、ふたつ、みっつ...とピーナッツを鼻の穴に詰める二人。
途中から涙ぐむ両雄に、観客の声援にも力が入る。
好勝負に、見ている者は「いつまでも見ていたい」とさえ思っていた。
口呼吸で苦しげに汗をかいて、声を出しては気合いを入れて、両者共に頑張って一歩も引かない。意地と意地のぶつかり合いの様相だ。
だか、、、256個目。
ついに戒斗が鼻血を垂らした。
「うっ、う。ちきしょう、、昨晩にチョコさえ食わなければ」
負けたことに悔し涙を流す戒斗。
紫玖真、優しい顔で戒斗の肩をポンと叩いた。
「戒、、お互い力を出し合ったんだ。どちらが負けても、おかしくはなかった」
感動のドラマに、割れんばかりの拍手と歓声が起こる。
(ブッ、ブーーーーーッ)
二人は、鼻からピーナッツを吹き出しながら、ガッチリと深い握手を交わした。
「お前ら、、、。(おかしいよ)」
鏡維は泣くフリをして、目頭を押さえながら肩を震わせて笑っていた。
一方、ハナ垂れ小僧は、、欲しい物があれば『奪うこと』を覚えた。
次回、ふたりが鏡維に逆らえなくなった出来事が明らかに?