「うぐぐぐぐ・・・」
本当のことなので言い返せない昭兎。
 昭夜がこうして昭兎に会いにきたのは今回が初めてだ。
だがアメリカへ連れて行くことを伝えたのは今回が初めてではない。
初めにアメリカへ連れて行こうとしたのは家族全員が
そろってアメリカへ行こうとしたときだ。そのままだが。
昭兎はそのとき行きたくなかったから
「日本でやりたいことがあるんだ・・・」
と言った。
すると「なにがやりたいねん」とつっこまれたので
「ゲ、ゲーム!!ゲーム関係!!」と言ってなんとかごまかした。
実際ゲームは好きだがゲーム作る側になろうとはあまり思ってない。
その場しのぎで言ったことなので
もちろんゲームデザイナー関係の専門学校とかに行ってるわけない。
「ひゃっひゃっひゃ・・・生活するのが精一杯なんじゃよ〜」
とりあえず今回も適当にごまかすしか!昭兎はおもったぜ!!
「それだったらこっちへ来てお父さんや昭美といっしょに暮らせばいいだろう?アメリカでだってゲームデザイナーの勉強はできるだろうし、実家にいれば食べることに困ることはないでしょうが」
正論である。ちなみに昭美とは昭兎の妹だ。
「うっ・・・スゴック!」
まったく言い返せない状況に陥ってしまった・・・。
「だろ?決まりだね。それじゃあ用意して。七時には関西空港に着かなきゃならないからね」
「ええ!?はやっ!!オレの分のチケットとかは?」
「アンタの分も用意してあるよ」
「うぐっ・・・」
絶句せざるをえない状況である・・・。
「で、でもわし今のバイトが気に入ってるんじゃよ〜」
昭兎は必死に抵抗するぜ!!
「今のバイトって・・・このゲームショップかい?ゲームショップの店員くらいどこでもできるって。アメリカならこんなちんけな店じゃなくてもっと大きな店がずんどこあるよ」
「・・・・・・」
もうなにも言えないのぉ。
「美由紀さん・・・」昭兎は覚悟を完了した。
しかし。
「ちんけな店ですって・・・」
声がした。女性の声だ。昭夜のものではない。
昭兎がよく知ってる声・・・
さよう!このゲームショップドリームドリームの美人店長、相田美由紀お姉様だ!!
買出に紀行していたのだがいつのまにか帰ってきていたのである。
「美由紀さん!!」
昭兎が歓喜の声をあげた!
昭兎の瞳にうつる美由紀は神々しくかがやいている・・・。
まさに女神といった感じだ。
「美由紀さん・・・美由紀お姉様ぁぁぁぁぁ!!」
昭兎が叫びながら美由紀に飛びついた。
「かわいそうに・・・こんなに涙をながして・・・」
美由紀が自分の胸にすりすりしながらないている昭兎の頭をなでなでしながら言う。
「なにがあったの?」
美由紀がやさしく問いかける。
「うん、あのね、あのババァがいじめるんだ」
昭兎は安心のあまり幼児化していた。
「ババァですと!?」
昭夜の戦闘力がはねあがった!
その力は最新型のスカウターでさえ測りきれないものだ・・・。
だがそれに気づいたのは実はずっと店内にいたシロだけだった。
後にシロはこう語っている。
(いや〜、あんなおっかない人間の顔をみたのは初めてでしたよ〜。寿命が256年は縮まりましたっス)
「いじめられたの?どんな風に?」
美由紀が再び問いかけた。
「うん、なんかいっしょにアメリカにこないと、ご飯をたき殺すぞっていうんだ・・・」
ボルカン!
「あ、アメリカ・・・?」
美由紀はかなり驚いたヨ!!
「あ、アメリカってどういうこと!?昭兎君!」
「えへへ、お姉ちゃーん」
「昭兎君!!ずどどえやあ!!」
美由紀の256往復ビンタが炸裂する!
「ウボァー・・・って痛いんじゃよー」
昭兎が元にもどった!!
「どういうこともなにもそのまんまさ」
美由紀の疑問に昭夜が答えた。
「・・・あなた、誰ですか?」
「昭兎の母親だよ」
「なっ・・・!」
美由紀が驚愕の声を漏らした。
「母親・・・なの?話がみえない・・・説明して!昭兎君!」
「実はかくかくしかじか!!」
「これこれうまうまで・・・なんですって!?」
わずか3秒で事体を把握した美由紀が声をはりあげる。
「ふふふ・・・まったくおせっかいな母親ですね。昭兎君の自由にさせてあげるのが一番でしょうに」
美由紀が昭夜をにらみつけながら言った。
「小娘がわかったような口きくんじゃないよ。昭兎の将来をかんがえるならこの方がいいのさ。だいたいアンタ昭兎のことをどれだけ知ってるっていうんだい?」
ドリームドリームの店内は今にも火花が
いや・・・フレアがおこりそうなくらいすさまじい空気に包まれてしまった!!
「あわわわわああああ・・・」
昭兎はあわあわいうだけ。
「昭兎が帰りたがらない理由がわかったよ。・・・最近の若い女は・・・うちの純粋な昭兎を誘惑するなんてね。下賎な・・・さかしいよ!」
「昭兎君もかわいそうに・・・こんな母親がいたんじゃ帰りたくないのも当然よね」
二人がほぼ同時に呟く。
「・・・・・・」
次の瞬間、二人が同時に動いていた!
ドラゴンボールばりの戦いが始まった!!
「み、みえん!!」
「はやいな!」
あまりのスピードに昭兎とシロにはなにがおこっているのかさっぱりだ。
「きし・・・ゲームでもしてるか」
「にゃ、僕もやるにゃ」
昭兎とシロは長引きそうだとおもったのでぷよぷよ〜んに興じることにした。
「256連鎖だにゃー」
「っていうかそれ物理的に無理っ!」
美由紀と昭夜の戦闘はヒートアップするばかり!
「このオバさん・・・やる!!」
「小娘が・・・言うだけのことはあるわ・・・」
互いにきししし!!(謎)